795話 佐々酒販店の矜恃と覚悟
「酒屋さんまで護衛ヘルプ」
「「行きます!」」
白城さんと板額さんがキリッとした顔で立候補してきた。
板額さん、前に佑那と出たときお酒買ってもらえなかったからって…
「主殿が凄まじい勘違いをされている気がしますが…」
「板額さん、前に佑那と出たときお酒買ってもらえなかったからって」
「どうして言っちゃうんですか!?せめて心に秘めておいてください!」
あまり揶揄うと板額さん泣いちゃうかも知れないからそのまま行こう。
というわけでやってきました佐々酒販店。
「いらっしゃーい。お酒の回収が先?それとも購入が先?」
店員さん、本気で購入する気持ちがあるかどうか判別してないかなぁ?
「おつまみが…凄い…」
板額さんがおつまみコーナーに捕まってるぅ…
「ふむ、これは…世界中のアルコールが集まっていると言っても過言ではないのではないだろうか」
白城さん、それは過言です。
後で買いますからと2人を宥めながら奥の倉庫へと向かう。
洋酒樽の倉庫を通り、その奥にある日本酒専用の保冷倉庫へと入った。
「「「おおおお…」」」
日本酒倉庫の中は…なんか凄かった。
ずらっと並べられた酒瓶と樽。そして冷蔵倉庫なのに更に保冷庫がある不思議。
いや多いな!?
「ここの日本酒は特別なお酒もそうだけど、もし停電になっても一番大切な保冷酒は最大でも5日は保つようになっているから…もし何かあったときは持っていってね?腐らせるのは忍びないから」
店員さん、それフラグや…アカンて…
「いやいくら何でもそれは…」
「いいのいいの。お父さんももし何かあればそうするようにって話だし…ああ、これこれ。この懐かしい形状の物なんだけど」
僕が何か言うのを遮るように店員さんはそれらを指した。
「牛乳輸送缶?にしても大きい」
金属製でしっかり蓋のされた牛乳輸送缶…と言った方が良いのかな?それが6つ置かれていた。
「見た目はだいたい40リットルぐらい入るのかな?といった大きさだけどその数倍は入るらしい。蓋の所にメーカー名と試作番号が書かれているから決まったら連絡して欲しいって。で、「まだあの水は言いつけ通り入れていません」って言伝」
「…分かりました」
まずは神米のみで作られたお酒各メーカー3種.これらの中から選べと。
容器を全て収納し、樽酒を見付けた。
「あの樽酒は買えますか?」
「4斗樽の方?大丈夫だよ」
「ではあれも買います」
「良いの?」
「どうせ味見と言って皆に飲んでもらった後我慢出来ない神様方が騒ぎ出すので」
「……巫女様も随分苦労しているんだね…」
「暴走を諫めるのも僕のお仕事なので」
そう言うと後ろで白城さんと板額さんがウンウンと頷いていた。
「お会計は───37万8,650円だね。カード払いね…はい毎度」
樽酒の他幾つかのお酒とおつまみなどをまとめて買う。
店員さんはいつも通りお会計を終わらせる。
「あっ、そうだちょっと良いですか?」
「ん?何?」
「3秒だけ目を瞑ってもらっても?」
「?いいよ」
店員さんが目を瞑ると同時に僕は【此処ヲ遊戯場トス】店内及び倉庫内に展開。同時に対邪自動迎撃の【聖慈母の風格】の範囲も同じ広さに拡張する。
金色と銀色の光が周辺を駆け抜け、レジ後ろにあった神棚が消滅した。
「───はい。もう大丈夫ですよ」
僕がそう言うと店員さんは力なくその場にへたり込んだ。
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