781話 1階食堂の進化と知らなかった現状


 静留さん、辣腕どころか豪腕経営者らしい。

「自他共に厳しいが冷徹ではない。見極めの化け物、理詰めの鬼、コストはカットはしないが妥協は許さない。これが静留さんの基本的な評価ですね」

 何処の武将かな?


「兄さんに対しては大好きフィルターが掛かっているからだと思うけど、僕は?」

「弟フィルター?あと、ガッチリ胃袋掴まれているから…ママ?」

 いやそれどういう事かな?

「知ってる?静留さん偶に1階食堂で食事しているらしいよ?大使館の人達も日増しに国が増えてるとか」

 今更だけど、1階の食堂って神様が勝手にオープンさせているって体で本当に大丈夫なのかな?

 まあ、実際神様方が厨房に立っていたり給仕したり飲んでたりするから何か言ってきたとして…悲惨な状態になるか。

「って待って待って。大使館職員の食事の場になっている事実が怖いんだけど!?」

「なんかここだったらスパイ行為や諜報活動云々で神経すり減らす必要も無いし安価で最高の飲み食いが出来る約束されただ!って。偶にお土産をウェスタさんに渡してそれを調理して振る舞う光景もあるし」

「佑那…そんな情報は僕にも伝えて…ウェスタさんが困った状態になるのは避けなきゃいけないし」

「?ウェスタさん、食堂で皆のママしてるよ?」

 なんという処女神…皆の姉を通り越してママ、だと?

「兄さん兄さん。色々手遅れなんだから開き直って!」

 僕そんなに神経図太くないからね!?



 お夕飯を終えて一息吐く。

 今日は巻き寿司でした!飯櫃3つ分の巻き寿司…僕の腕がパンパンだよ…

「あれ?結羽人兄さんは?」

 食事を終えた佑那が今更そんな事を聞いてきた。

「出張?」

「…あー、別の世界に行ってるのね。え?このタイミングで?ヤバいんじゃない?」

「ハヴァスターイ様方がいないだけだよ?」

「ミツルギ様とユグドラシル様も今居ないんだよ?」

「えっ?聞いてないけど?というかさっき居たよ?」

仲良く奪い合ってたなぁ…巻き寿司を。

「は!?いつの間に…」

「普通に巻き寿司ロールでむさぼり食ってた」

「……恵方巻きの時期じゃないのに何やってるの…」

「神様方のは切るだけ無駄だと悟ったから…今じゃ基本2分の1カットだよ」

「兄さん、今度うちは4分の1カットでお願いします…じゃなくて!戻って来たって事ですか!?」

「多分食事の時間にはこっちに来るって事じゃない?」

「あんなに「拙い!」って言いながら食事にはここに来る意味は…」

 えっ?

「そんなに危険な状況なの!?」

「ミツルギ様の所はそうでもないらしいですが、ユグドラシル様の所は隔離の外から侵蝕を始めたらしいので」

「うわぁ…明日、ちょっと詳しく話聞こう…あ」

 そうだ!

「フィラさんフィラさん!」

 フィラさんを呼ぶと影から姿を現した。

「えっ?何?どうしたの?」

「ちょっと買い物お願い!」

「何を?」

「1トンの水タンク!」

「…まあ、収納すれば問題無いか…」

「2つ!」

「2つも!?…まあ、スペースに余裕はあるけど」

「はい、25万渡すから、足りなければ最悪1つでも良い!」

「あー…うん。分かった、買ってくるわ」

 フィラさんはそう言って姿を消した。

「…兄さん、無茶振りが過ぎると思うんですよ」

 佑那に少し呆れられてしまったけど、多分待ったなしの世界は1分1秒を争うと思うんだ。


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