25話 TS化した僕は特権まみれになる
課長の肩を揉んで自ブースに戻ると、みんな戻ってきていた。
「いっちゃん!」
あらオネェさん。何故に焦っているのかな?
課長は僕の前に立ち、みんなからの突撃をブロックしてくれた。
「ユーキちゃんは辞めないよね!?」
[辞める辞めないは個人の自由な気がするんですが…解雇は別として]
「辞めちゃうの!?」
[辞めなくても良さそうなのでそのまま居る予定ですよ?]
「西脇。朝のカウンターでの件、報告を聞こうか」
「ウッス。結論から言うと、カウンター業務の連中が岩崎の事を漏らしたのと、昨日の告解室召喚を見たメンバーの情報から間違いなく凄腕の女性聖職者がいると判断したとの事です。連れ出してナニをしようとしていたのかは言いませんでしたが、中層域での件はブラフでした」
ほうほう?僕は戦えないのに連れ出そうなんて無駄な事を。
あと西脇さんの口調がぜんぜん違う!?
「其奴らは始末したか?」
いきなり怖い事言い始めた!?
「俺の試験体になるという契約書に二名ほどサインさせたッス」
「まあ、妥協点か」
なんか怖いお話ししてますよ!?
「ユーキちゃんユーキちゃん!」
[はい。なんでしょうか?]
「もっと凄いところ見せつければ良かったね!」
[はははこやつめ…問題の一端を担っていた事を理解してないな!?]
社員食堂でお昼を食べていると巽さんがやってきた。
[今日は巽さん。今日はお休みでは?]
「ええ。お休みでしたが…まあ、色々ありまして…」
そう言いながら僕の正面に座る。
寝てないっぽいな。かなりキツそうだ。
恐らく巽さんが文箱を持って実家経由の中務省に行き、緊急で色々手配していたんだろうけど…そこまで無理しなくても…
「要件はこちらをお渡しするためです」
そう言ってテーブルの上に置いたのは蒔絵漆塗りの文箱だった。
[もの凄くお高そうな代物なんですけど!?]
「中に姫に関する重要書類と身分証明書一式が入っております」
[出来上がるの早すぎません!?]
「急を要する事態が立て続けに起きてしまったので」
うちの会長とか会長とか会長ですね!分かるとも!
「そして今頃会長は身柄を拘束されているかと」
[更迭どころの話じゃなかったみたいだからねぇ…]
「───まさか公安と共に法定速度をぶっちぎって首都高を走るなんて思ってもみませんでした」
[なんか、ごめんね?]
「いえ!姫は悪くありません!全面的にヤツ等が悪いので!」
複数形だねぇ…課長の話に出ていた人達も捕まえるのかな?
「それと大変申し訳ないのですが、祓戸の大神への口添えの程を」
[そっか。時間が経てば経つほど色々支障を来すしね]
「はい。各方面から泣きつかれてしまいまして…特に実家から」
巽さん、心身共に疲れてるんだろうなぁ…ご飯もろくに食べて無さそうだ。
[巽さん巽さん]
「はい?」
僕はきつねうどんセットに付いていたミニいなり寿司を箸でつまんで巽さんに差し出す。
[はい、あーん]
「ッア!!?」
[早く。おいなりさんお食べ?]
「あ、ああああありがとうごじゃひましゅ」
無茶苦茶きょどり&どもりながらいなり寿司を食べてくれた。
[おいしい?]
「最高です!」
今まで見た事もないような満面の笑みで答えてくれた。
───あと、周辺の方々。なんで急に机に突っ伏して悶えているのさ。
全員が同じような行動していて軽くホラーなんだけど…
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