24話 TS化した僕はややこしい話を聞く②
[もうお腹いっぱいで胃もたれしています]
「何も考えずに前線で戦いたい…それ以上に岩崎によしよしして欲しい…」
二人揃ってため息を吐く。
「───まずはさっきまでの話のまとめだ。ダンジョンに対して資源と見て民間の探索者を管理及び補助支援目的なのがうちで、危険呪物等の処理や管理、危険ダンジョンの殲滅を目的としているのが防衛省・中務省共同部局の対ダンジョン殲滅部隊」
[理解しました]
「でも色々やらかして越権行為を行っている」
[……ですねぇ]
「おかしい事に気付かないか?」
[えっ?]
「危険物件や今は神域だが問題あり物件を協会が所有しているという事が、だ」
あっ!
「岩崎に住居提示しただろ。アレを含め協会が所有している物件数は11件だが、それらの大半が呪物仮置き場として利用していたらしい。更にその物件自体が問題ありという代物でな…本来そういった所を管理するのは中務省だ」
[もの凄く、嫌な予感が…]
「巽が確認したところ、そもそも連絡もないらしく、報告義務違反な挙げ句完全に越権行為との事だ」
[違法行為ですよね?]
「あの事件以来、ダンジョンとなりそうな歪みを発見した場合は速やかに関係機関に連絡。それを怠った場合の罰則は被害発生時に加算される。更に国家転覆罪も適応可能だからな」
[でも関係機関が私物化していたわけですからねぇ]
「会長は言い逃れできないな。何しろ二束三文で協会側が買い上げており、呪物をそこに置いているらしいからなぁ」
[魔窟化してそうで怖い…]
「はじめに提示していたあの特級事故物件は中務省も揉めたため知っていたんだが、あれも表向きは浄化完了といって経過観察中扱いだったんだよ」
???
「呪物の報告義務だが、浄化できれば報告はしなくて良いんだ。問題の場所は呪殺テロ。なので中務省は協会から民間ギルドの揉め事であり、職員によって浄化は完了していると報告したんだ」
[じゃあ、完了しているから問題無かったのでは?]
「フロア隔離中だぞ?未だに危険地帯だ」
[中務省確認しなかったの!?]
「いや、確認時には払われていた。ただ、時間とともに元に戻ったんだ」
[報告案件じゃないですかヤダー!]
「その件の直後、呪物等の管理委託をすると協会長名で通達が出た。このためほぼ全職員がうちもそういったものを取り扱っても良いのだと勘違いした」
[うわぁ…うわぁ!…]
「あと、個人情報漏洩の件だが、長谷川部長が調べた結果、どうやら外部にも事業部及びカウンターから漏れているようだ」
[もしかすると、今朝の騒ぎもそこからかな?]
「騒ぎ?」
[はい。西脇さんが対応してくださったんですけど、なんでも協会には凄腕の神職者が居ると。ダンジョン中層域で厄介なモノが居るから対応して欲しいと騒いでいたんです]
「あぁ、多分呪物を何とかできるという噂と情報漏洩が合わさったんだろうな…西脇が対応したのなら相手から情報を聞きだしているだろうから確認しよう」
[そうですね]
「で、だ。あのマンションのフロア全体なんだが、安心しろ。岩崎個人の所有物件だ。邪魔はされないし、できない。これは個人の権利もそうだが、中務省が政府に働きかけて緊急で決定したんだよ「神の使者は外交官と同じ特権を有する」とね」
[えっ?僕!?]
「住居等に関しては国が。外交特権内に租税の免除もある。良かったな家賃が永続無料になったぞ?」
[あの、これって…もしや…]
「決定は本日8時。あの件は9時過ぎていたな?」
大炎上確定ですやん…あ、でももしかするとせお姉様これ分かっていてやったのかな…いやないな。
「本当に異例中の異例だったらしいぞ?あの国会議事堂で文箱を開け、読み上げた後に即決したらしい」
そしてその後あのアナウンスって地獄か!?いや地獄だわ。
「糾弾大会の最中に室谷室長に電話が入り顔面蒼白。岩崎に特別外交特権の付与が8時に議会決定即時発動の話をした瞬間会長発狂して人語を話さないしなぁ…」
[課長。お疲れ様です。肩揉みましょうか?]
「肩でも胸でも良いぞ」
あ、まだ余裕あるわこの人。
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