1021話 邪神を泣かす幼女
神域に行くとハヴァスターイ様がお菓子の仕分けを行っていた。
「ハヴァスターイ様」
「今日、沢山買えた。ありがとう」
「いえ、色々ご迷惑を掛けたようで…」
「どこにでも力の差を理解出来ない愚者はいる。神は
「分かり難く、ですか」
「そう。神の意図をアッサリ万人に気付かれたら駄目。でも、曲解も駄目」
「難しいですね」
「そんなもの」
ハヴァスターイ様は小さく微笑み仕分けの手を再び動かし始めた。
と、フワリと甘い香りがし、マイヤが姿を現した。
『マイヤもお手伝いする』
「マイヤちゃん!?」
…ほんと、ハヴァスターイ様はマイヤ大好きだなぁ…
箱庭に戻り吹き飛ばされている佑那に声を掛ける。
「はい、佑那の分」
「ありがとう。んっ?ナニコレ」
「リストバンド型結界の自作版」
「兄さんの、手作り!」
そんなに興奮されると…なんか、嫌だなぁ…
「でもなんで?」
「課長のリストバンドが使いすぎで効果を失ったみたいだから酷使しているメンバーはもう少ししたら同じようになるかなぁって」
「あー…了解。兄さんありがとう。でも課長さんは出張行ったときとかにトンデモ攻撃受けたりしたからでしょ?」
「だとおもうけど、細かなダメージって佑那辺りは受けまくっていそうだからねぇ」
「…」
ソッと目を逸らしたよこの子。
自覚はあるようで大変結構。
「佑那はここに出入りしているから問題無いけど、エネルギー補充に関しては僕が供給するか箱庭に居れば自動で補充出来るから」
「ソーラーパネルみたいな感じ?」
「んー……そんな感じと言って良いのかなぁ?」
「でもこれで修行が捗る!修行中外せなかったから緊張感がね…」
そういうデメリットもあったかぁ…
「とりあえず外出時は着けるけど、修行時は外す感じで運用するね」
「うん。宜しく」
僕はその場を後にした。
「あれ?マイヤお帰り。ハヴァスターイ様の所は良いの?」
『うん。作ったおかしあげたらなんか泣いちゃったの。マイヤにすごくあやまってたんだけど、マイヤありがとうの方が良いよ?って言ったらまた泣いちゃって』
少し困惑したような顔でそう説明するマイヤ。
「指輪はあげた?」
『うん。すっごい泣かれて、ギュウギュウだきしめられた』
あー…だろうねぇ…
「でも渡せてよかったね」
『うんっ!ハヴァスターイおねーちゃんがね、マイヤにはめてほしいって言ったからマイヤがはめたの』
んんっ?
これは、ちょーーーーーーっと、雲行きが怪しく?いやいや…まあ話を聞いてみようじゃないか。
「えっと、マイヤがハヴァスターイ様の指に、嵌めてあげたと」
『うん。左手をさしだしてきたからひとさしゆびさんにしようとしたらくすりゆびさんにって言われたの』
ハヴァスターイ様アウトぉぉぉっっ!
誰がエンゲージ結べ言うた!?
『ずっとおともだちの約束って!』
いたいけな幼女を騙す辺り流石邪神…しかし許さん!
「あははは…ちょーっとハヴァスターイ様とオハナシしてこなきゃいけないなぁ」
『?』
「タイムさん」
「ラジャーッス!逃がさないッス」
例え抵抗されても、これは許さん!
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