756話 懐かしの商店街
「~~~♪」
「「うぁぁぁぁ……てぇてぇ」」
幼児姿の僕と護衛兼保護者2名で実家近くの商店街に来ております。
ただ、護衛なタイムさん達がデレッデレなんですよ…
「半ズボンにお膝…イイ…」
フィラさんの暴走率が高い気が…あー…前もこんな感じだったかぁ…
そんな事を思い出しながら2人に手をしっかりと握られて商店街を歩く。
「よぉ!巫女殿、久しぶりに見たら逆成長しやがって!昔を思いだしたぞ!」
「あははは…流石に分かりますよねぇ、村井さん。お肉を買いに来ました!」
「おっ?嬉しいねぇ~」
肉屋の村井さんは老いを感じさせないくらいの筋肉もりもりのおじさんだ。
「村井のおじさん所は親族経営のお肉だから安定して良質だし!」
「そう思うなら頻繁に来てくれても良いんだぜ?で、今日は何を作る気だい?」
「生姜焼きを50人分作るんですよー」
あっ、村井さん固まった。
「マジか…まああるから良いけどよぉ…カットに少し時間掛かるが良いか?」
「大丈夫です!あと、だぶついている肉ってあります?」
「いきなりぶっ込んでくるなぁ…和牛の類が在庫少しある位だな。鳥と豚が多い」
ちょっと顔を引きつらせながらも答えてくれる村井さんは相変わらずだ。
「10万円分適当に下さい!」
「……昔言ってたなぁ…お肉10万円分買いに来られるように頑張るって…おいちゃん思い出して涙が出らぁ」
「僕としてはオマケよりも仕入れをお願いしますね?近々また買いに来ますので」
「応よ。カットの間、他の連中に顔出ししてやってくれ」
「はーい。あっ、先にお会計!」
「仕事をしてからだよ!良いから皆に顔出してやれって!」
村井さんは本当に仲間思いだなぁ…
僕は苦笑しながら近くのお店に買い物序でに挨拶しに行った。
皆さん懐かしがっていたけど、何人かには泣かれた。
この姿が無茶苦茶懐かしかったと言うのと、昔のあの事を思いだしたらしい。
3日ほど兄さんが行方不明になった際に、僕が泣きそうな顔でここに兄さんを見なかったかと聞いて回っていた事をね…
あの時は…うん。佑那が一番平然としていた。
「ゆーとにいさまはぜったいだいじょぶ!なにかあったときすることいってたよね?」
って幼児に諭された小学生というね…
結構色々買い込んで肉屋に戻ると切り終わったのか村井さんが待っていた。
「おう、出来てるぞ」
「はい。10万円です」
「おう、毎度!ほらよ、どんどんしまっていけよ」
村井さんは包みをどんどん渡してくる。
タイムさん達が素早くしまっていくのを村井さんは頷きながら全部渡し終え、満足げな顔をした。
「村井さん村井さん」
「おう、どした?」
「近場への配達とかお願いできますか?」
「まあ、娘が車持ってるから大丈夫だが…何かあるのか?」
「注文したらうちの1階の食堂に届けてくれるかなぁ…と」
「大丈夫なのか?」
「うん。村井さんのおところのお肉とカット技術を知って欲しい!」
「そんな嬉しいことを言ってくれるのはお前さんだけだよ……いけねぇ、年取ると涙もろくなっていけねぇや」
「その筋肉で年寄りとか僕に喧嘩売ってます?」
「お前さんはむしろ縮んでるだろうが!」
そう言いあって笑い合った。
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