368話 目覚めと新規住人…人?

 ゆっくりと、目覚める。

 揺蕩うような、そんな心地よさに甘えてギュッと抱きしめる。

「起きたか?」

「んぃ?…むにゅ…」

 優しい声。

 僕はもう少しそのままでいたくてそのまま抱きしめていると、

「大人になっても甘えん坊だな…もう少し時間はあるだろう。そのまま寝ておけ」

 そう言われて僕はその微睡をもうしばらく楽しむことにした。



「んぅ?…兄さん?」

 起きたら兄さんに抱きついていた件について。

「ああ。おはよう。やはりだいぶ疲れていたようだな」

「疲れて、いたのかなぁ…?」

 自覚はないけど、兄さんに言われるのなら…って少し前からずっと言われ続けてるよね!?

「お前は半神状態だからと食事を抜いたり人の範疇を超えるような事をしていると心まで人から離れるぞ?」

「えっ!?…あっ!」

 言われて気付く。

 そういえば、思考がちょっとブレていたような…

「…どれだけ人の営みをオミットしていた?」

「……3つ、かなぁ」

 思い切りため息を吐かれた。

「お前なぁ…どれだけ…まあいい。少なくとも食事と睡眠は俺が管理するぞ?」

「えっ?でも兄さんお仕事…」

「今は獅子達が駆け回っている。ここからも5頭回しているぞ」

「いや、全部回してよ…他の世界が大変なら」

「ここの防衛をの為にも最低5頭は必要だ」

 防衛?

「攻撃されているの?」

「いいや。今のところは無い。が、来る可能性は高い」

「神兵さん達もいるし…」

「居るから5頭削っても問題無いと判断したんだ」

 兄さんがここの戦力を一番把握している件について。

「もう少し戦力が欲しいんだがな…」

 そもそもここ、突破できるのだろうか。

『パパ達おはよう!』

「おはよう。マイヤ」

「ああ、おはよう」

『新しいモフモフ増えたよ!』

「「……んんっ?」」

 マイヤの台詞に兄さんと僕は顔を見合わせた。



「「「きゅうっ!」」」

「……いや、これは今来たな?」

「「「きゅうっ!」」」

 三人?とも頷いた。

 屋敷の前には熊の皮衣を羽織った児童が三名立っていた。

「山の神としてここで育てたいと…キムンカムイだな?」

「「「きゅっ!?」」」

 驚いてる驚いてる。

「でも山は無いよ?森はあるけど」

「あるじゃないか。森の奥に」

「えっ!?でも向こうは立ち入れなかった…ような?」

 いや、そもそも行ってない…気がする?

「キノコやタケノコのエリアの奥だ」

 あれ以上奥があったのか…

「まあ、僕はあまり行かないし、住みたければどうぞ?」

「「「きゅううっ!?」」」

 驚く三人?頭?を見て兄さんが「これは困惑しているんだよ」とツッコミを入れた。

「いや、多少は労働力として使ってやれ。山と森の防衛と、森の恵みを収穫してもらうとかが良いんじゃないか?」

「あ、そうだね。大丈夫?」

「「「きゅうっ!」」」

 自信たっぷりに頷かれた。

「自分たちで食べても良いんだからね?」

「「「きゅーっ!」」」

 両手を挙げて喜んでいる。可愛い。

「よし。このボックスに放り込んでくれたら良い」

 そう言って兄さんが玄関横に木箱のようなモノを設置した。

「え?兄さんこれ何?」

「アイテムボックスだ」

「まんまだった!?」

「入れるのは良いが、取り出すのは決められた6名しか出せない代物だ」

 良い物なのかちょっと分からない微妙なモノだ!

「盗難防止や害意感知、防衛機能も付いている上位世界の骨董品だ」

 慌てて鑑定をする。


【箱】上界遺物:ヤレケンソス朝時代の軍用物資保管箱。

 設置をすれば半径2キロをテリトリーとし、害意サーチをし、防衛結界・迎撃結界・緊急迎撃機甲兵を展開する。

 容量は重量計算で95892トグベ(43100トン)。使用率11%

 現在魔力100%、予備魔力220%、緊急迎撃機甲兵42体待機。


 ナンカ、スゴイノガアルンデスガ…


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