369話 軍用品と民生品
「何このトンデモボックス!」
「ほら、とっとと登録するぞ」
兄さんは僕を掴んで箱の所まで行くと、手を箱の上に触れさせた。
「マイヤちゃんもおいで」
『はーい!』
ペタリ
「キムンカムイは代表者を」
「きゅっ!」
ペタッ
「所有者岩崎結羽人が認める三者に仮使用権限を与える」
【仮使用権限を許可します】
箱から声がした!?
「キムンカムイは手を離して後ろに下がるように」
「きゅ」
「所有者岩崎結羽人が認める二名にコマンダー権限を与える」
【指揮官権限を許可します】
また箱から声がした。
ただ、特殊なエフェクトとか術式とかは全くない。
ただの木の箱に手を置いているだけという何とも地味な光景だと思う。
「現在ボックス防衛圏内にいる生物および圏外神域内にいる13生命体に対して敵対外マーカーを付与」
【敵対外マーカー付与完了】
なんか、凄いテクノロジーだ!見た目木箱なのに…
「友紀、これの説明は後でする。先に朝食を作った方が良いぞ」
「あっ!ありがとう!」
僕は急いで食事を作るために屋敷の中に跳び込んだ。
みんなにご飯を提供して箱庭に戻る。
キムンカムイは既に居らず兄さんとマイヤが箱の前で待機していた。
「では説明を続けるぞ」
兄さんはそう言って木箱の蓋をポンと叩く。
───兄さんの説明を要点だけ箇条書きでまとめると、
・要塞作成機能があり、害意を検出したら、瞬時に防衛要塞が作成される。
・同時に軽装迎撃機甲兵12体、重装迎撃機甲兵12体、機動迎撃機甲兵12体。航空迎撃機甲兵4体、決戦用迎撃機甲兵2体が起動する。
・重装迎撃機甲兵は対下級邪神クラス。決戦用迎撃機甲兵は白獅子5体分。
・迎撃システムは箱内の物資が無くなるまで起動し続ける。
・魔石や魔水晶などが燃料代わりで、フルで4日消耗戦をやられても保つだけの物資が入っている。
・僕とマイヤはボックスの中を常時確認できる。
・この箱、学習機能もある。
……控えめに言ってオーバーキルアイテムです。
愕然とする僕に兄さんは小さく肩をすくめる。
「まあ、あの世界から見てもオーパーツ扱いだったからなぁ…因みに民生品も6つほど持っている」
「このタイプは?」
「………2つ」
持っているんだ…このクラスのモノを2つも…
「一つは貸し出し中だ」
兄さん…こんなモノがあるなら白獅子全部回しても良いと思うんだけど…
「兄さん。ここを突破できる相手がいるの?」
「ゼロでは無い。ただ、確実にここへ攻め入るだろうから備えあれば、だ」
どうして断言できるのかは分からないけど…兄さんがそれで良いなら、まあ。
「実家も襲われたみたいだしな」
「ちょ!?えええっ!?」
大変な事になっているって事じゃあ!?
「落ち着け。実家はそれを見越してトラップを仕掛けていたんだ」
僕の頭をガッチリ掴んでそう言ってくる。かなり、痛い!
トラップ?
「あの家に襲撃があればあの部分だけが世界から隔離されて反転する。そして反転と同時に元の家が姿を現す」
「……因みに襲撃って」
「ダンジョンの深層部隊だろうな」
「周りに被害出てるよね!?それ!」
「落ち着け。あの一帯は事前に根回し済みだ!それに玉藻が万が一に備えて待機している!」
「…でも、どうして」
「神々の中に裏切り者がいるんだろうな。家に直接ダンジョンを繋げていた場合、間違いなくこの世界の神の中に内通者がいる」
兄さんが好戦的な笑みを見せた。
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