944話 通常業務と、通常運転


 SIDE:協会本部


「巫女様はお休み…そんなぁ…」

「はい、次」

「あのっ!コレを巫女様に「規則上プレゼントなどは受け取り及び受け渡しは出来ません。はい、次」えー!?」

「ぼぼぼく、巫女様とけっ、結婚した「無理です駄目です。身の程を知って下さい。はい次」ノォォーッ!?」

 協会本部カウンターは昨夜からずっとこの調子だった。


「ファンと思い込みの激しい輩がわんさか…なあ、全員斬っていいかな?」

「良いんじゃないですかね?私も似たようなことを考えていましたので」

「落ち着いて!まとめ役な貴女達がそんな状態でどうするの!?」

 今にも人を殺しそうな顔をしている2人に長谷川は疲れたようなため息を吐く。

「部長、止めないでください」

「そうだぞ。もし思い込みの激しい奴が岩崎に襲いかかってきたらどうするんだ。奴等は触っただけでも結婚したとか言いかねんぞ!?」

 藤岡の台詞に長谷川は動きを止め、思案顔で頷いた。

「…………確かにそう言う人もいるわね。握手を求めてきたから応じたら婚約ありがとうとか訳の分からないことを言ってくるような奴もいるし」

「「えっ!?」」

 まさか身近にそういった経験者がいるとは思わなかった2人は思わず一歩引いてしまった。

「いや貴女分かるでしょ。大学の時の…坂井って」

「ああ!あのストーカーか!あの後幼女に対して「真実の恋を見付けた」とか言って迫って逮捕されたな!」

「落差が凄すぎて風邪ひきそうなんですが?」

「世の中どんな人種が居るか分かったものじゃないという学びを得たよ」

「私は一生知りたくなかったわ…」

 今だカウンター方面から言葉で切って捨てられる騒ぎをBGMに特務課は通常営業だった。



「兄さん戻ってこないですねぇ…」

 佑那がため息を吐きながら白獅子の突進を躱す。

「ガウッ!」

「本当にね…僕としては無事かどうかの確認が出来ればいいんだけど…佑那、どうしてそんな簡単に避けきれるの?」

「殺気がないから緊張感無く避けることが出来るのですよ」

 フェイントを入れながらの突進すら簡単に躱していく佑那に僕は少し思案する。

「白獅子さん、半殺し感覚だったら戦闘訓練になりますか?」

「ぅう?…がうっ!」

 頷いたのでGOサインを出した。

 直後、佑那は空を舞った。

 うん。きちんと野性の殺気をぶつけてきているね。慣れないと身を竦ませるような気迫だ。

「おお、ガードはしているけど…避けきれてないよ!」

「無茶言わないでkギャ!」

 空中でバンバン跳ね飛ばされている。

 白獅子達も楽しそうだ。

 おっ?佑那が回転しながら攻撃をいなしている?

「佑那普通にできるじゃないか」

「かなりッ!必死ッ!なんですガッ!?」

 ああ、また跳ね飛ばされた…お昼の配膳先にやっておこうかなぁ。

 そろそろメイドさん?が出来上がる頃だと思うし。

 戦闘出来るメイドさん…どれくらいの強さなのかもそうだけど、やっぱりメカっぽいのかなぁ…それとも使い魔みたいな感じなのかな…

 うん。急いで神様方の分も配膳してこよう。


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