407話 物資現状と過剰防衛指示

 三沢市開放の一報が届いたのは私がクッキーを焼き始めた時でした。

 制圧完了って…制圧って…

 少し微妙に思いながらも蒸しケーキとカップケーキの準備を始めます。

 そして蒸しケーキが出来上がったタイミングでつがる市と東北町の軽い掃討を終えたものの、物資が足りなくなるので一度拠点へ戻ると通信兵さんがわざわざ言いに来てくれました。


 お米やお野菜を渡さないと(お裾分け感)

 倉庫のリンクを確認してお米などを………おー…

 倉庫の中が凄いことになってるぅ…

 かなり微妙な気持ちのまま軍病院へ。

「あ!どうしましたか!?」

「支援物資を追加しに来たのですが」

「良いんですか!?」

「あ、はい。大丈夫です…が、大変なんでしょうか…?」

「はい…消費が…凄くて」

 そんな話をしながら倉庫に入ると、三分の一ほど減っていますが…

「もしかして、かなりばら撒いて…」

「はい…支援物資転送コストでまかないきれない分はタイム様のゲートを使い…」

 まあ、それしかできませんよね…生き残っていた方が多かったと喜ぶべきですから。

「救急機甲医官殿にも無理を言って詰め込んだのですが…」

 ………えっ?

「一体どれだけの物資を…」

「救急機甲医官合計6000名分詰め込みましたが…」

「それでも足りないと…まあ、そうでしょうね」

 自分の見込みの甘さにため息が出てしまいます。

「とりあえず、お米を出します」

 私はそう言って40俵の米俵を取り出し、その横に各種野菜を並べておきました。

「………お米がおよそ30,000人から33,000人分ですか。ありがとうございます」

「問題は四国支援部隊ですね…」

「あちらは現状ある物資で何とかしていただきたいです…」

 ため息を吐く支援物資調達官さん。かなり苦労してそうです。

「それでも、この施設があったおかげでかなり助かっていますから!一人でも多く助けられます!」

 支援物資調達官さんはとても良い子!

 ちょっと抱きしめたくなりましたが、自重。

「何かあれば連絡の方、よろしくお願いします」

 それだけ伝えこの場を退散s───

「緊急事態ッス!相手方が侵攻してきたために2部隊が完全に身動き取れない状況ッス!」

 タイムさんがこちらへと駆け込んで来た!?

「それこそ白城司令武官案件では?」

「白獅子や神兵を勝手に使って良いのか迷いながら拠点襲撃対応をして居ッス!」

「えっ!?拠点も襲撃受けているのですか!?」

 飽和攻撃かな!?飽和攻撃でしょうね!

「白城さんに警戒レベル最大にして専守防衛を指示してください」

「畏まりました!」

 私の指示に通信兵さんが即座に動く。

「専守過剰防衛…ッスか?」

「そう。飽和攻撃対策として防衛火力を上げるの。まあ、湖の向こうから攻めてきている場合はミサイルを飛ばすでしょうし、基本防衛戦術による防衛ではなく、防衛による敵基地攻撃に限りなく近い…かな?」

「それってどうなんッスかね?」

「通常はグレーだけど、今回はね」

 信念であり矜恃だからこそ使うでしょう。私はそう確信しています。

 盾である白城さん。矛であるメリアさん。

「恐らく幾つも持っているはずの隠し球を使うでしょうね」

 私は確信を持ってそう告げた。


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