616話 空港開放と、拠点防衛
SIDE:日本
「5分後に結界を起動させる。飛行機は上空旋回を、離陸機に関しても5分は離陸しないよう指示を」
「ちょ!?間に合いませんよ!?」
職員は悲鳴をお上げながらもどこかへ内線を掛ける。
「それは今回の解決策になり得ると?」
与古田は首をかしげる。
「むしろこれで解決できなければ巫女様か神の御業以外での解決法は望めないな」
藤岡はそう言い切った。
「準備完了しました!」
5分経たずにアナウンスが完了したと連絡が入り、職員が声を掛ける。
「では、結界球を起動させる」
藤岡はそう言った瞬間、その範囲にいた者全てが体の中を清々しい何かが駆け抜けていくような感覚を覚えた。
しかしそれは妖魔やモンスターに対しては───
起動から3分。
空港内各所から人が煙を上げて消滅したと言う報告が相次いだ。
「やはり手引きがあったか…」
「ヒトガタも吹き飛ばされ、消滅したようですね」
「敵対反応者も近くで倒れているだろうな」
「巡回している強行班を向かわせます」
テキパキと話し合いをしながら指示を出す藤岡と巽を佐々木と与古田は呆然と眺めていた。
「……これ、我々要らなかったのでは?」
「ですね」
「人手が足りんからな?余裕があるのなら手隙の人員で事情聴取を頼む」
「そこで白目剥いている警官も起こして手伝わせてください」
「「あっ、はい」」
その場は完全に藤岡と巽の独壇場となっていた。
SIDE:友紀
ちょっと現状について行けません。
と言うのも、本部の主戦力が抜けた直後からこちらへの攻撃が集中している気がするのですよ。
ヒトガタだけではなく、武装勢力の乱入等も。
すぐに白城さんとメリアさんを呼び、周辺の一掃をお願いしましたが…明らかに僕を狙ってますよね?
「まったく…戦力配分まちがえてますよ」
僕は事務処理をしながらそう愚痴る。
「相手も手札が尽きかけているのでしょう。明日には各所結界点が回復するはずですから問題はかなり解決されるかと思います」
白城さんがどこからかお茶を取りだして僕に勧める。
「白城さんありがとう」
「どういたしまして」
ふんわりと微笑む白城さん。
「掃討が完了したそうですが…追撃と捕縛を行いますか?」
「こちらの管轄内だけで十分だよ」
「…大丈夫ですか?」
「頼りすぎはいけないって事を理解してもらわないと」
「そうですね…ではそのように」
僕が飲み終わったティーカップとソーサーをしまうと白城さんはブースから去っていった。
「戦争は数ッスね…実力差がある場合は特に有効ッス」
タイムさんが姿を現した。
「ゲリラ戦でも位置が割れたら無意味だからねぇ…情報収集ありがとうタイムさん」
「こういった諜報関係は自分とフィラが得意ッスから」
「そのフィラさんは?」
「精神衛生上悪い不倫カップルを見たらしくふて寝しているッス」
「あー…ご愁傷様。と言うかこの時間からそんなのが往来歩くんだ…」
僕は少し遠い目をしてしまった。
「あとでフィラさんを癒やさなきゃ…」
「2時間ふて寝したら回復するッスよ」
少しブスッとした顔でそう言い放つ。
「もしかして、捜索序盤で出会した?」
「そうッス。しかもゲスな会話だらけだったせいでフィラが殺意を抑えきれなくなりそうだったので自主的にダウンしたッス」
「……本当に、二人ともお疲れ様」
その部分の日常はあまり守りたくないなぁ…なんて思ってしまう僕は悪い人かな?
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