894話 アナログとデジタルの融合は神仏融合と似てる
「待って待って!…あぁ、扉閉めちゃった」
せお姉様が駆け寄ってきた。
「祓戸様もあちらへ?」
「違う違う。配信カメラ何台か飛ばして状況確認をね?」
「あ、ではすぐ送りますよ」
廣瀬お姉さんはそう言うとすぐに扉を開いた。
「…あのさ、あちらとの境界をこんなに簡単に開けるの私達でも無理…と言うか、今欲界自体には入れないって騒いでるのに何で!?」
そんな突っ込みをしながらもせお姉様は3台の配信用カメラを扉の向こうへと飛ばした。
「?不定期でお仕事に行くための私専用の扉です。あと、京都の冥界行きのダンジョンからでも入れると思いますが?あちらは
主神クラスや現世に降り立てる方しか経由していけないと考え、私はご提案できなかったのですが」
………んっ?
「廣瀬お姉さん。京都で冥界行きのダンジョンって、小松ダンジョン?」
「はい。六道ダンジョンとか居らずダンジョンと呼ばれているところです」
うん。それなら問題無いかな。
「せお姉様、神さまはダンジョン内だとどうなのですか?」
「ダンジョン内は異界。現世に降り立つのが問題だから自身の周囲に結界を張って移動すれば問題無いよ」
「僕、京都行ってそのダンジョン前で神域展開して神降ろししたら良くない?神さまとその部隊をそのままダンジョンに突入させるとか」
「負担掛かりすぎませんか?」
「負担も何も…ここと僕が展開する神域を繋げば良くない?」
「「……あー」」
廣瀬お姉さん、絶対に僕を使わないように考えていたな?
と言うわけで部長に現状と出張願いを電話で打診してみた。
『ええ。では明日、明後日の2日間と言うことですぐに処理します』
「えっ?いやあの、日帰りで大丈夫ですよ?」
『藤岡課長と巽さんも一緒ということで処理しておくから大丈夫よ』
「あの、本当にすぐ終わるんですけど…」
『良いの良いの。派手に仕事した感を出す必要があるんだから。2人には私から連絡するわ』
……良いのかなぁ。あっ、
移動のチケットとかは不要なので!
『えっ?』
「タイムさん。京都駅はポイント作ってた?」
「勿論ッス!お酒の買い付け頼まれたらいけるようにとポイント設定しているッス」
『…宿泊費だけこちらで申請しておくから必ず領収書は持ってきてくださいね?』
そう言って部長が電話を切った。
あー…そっかぁ…僕がこっそり行って送り込めば終わりのお仕事だった…
「まーたこの子自分が夜中こっそり行けば解決したとか思っているよ」
「それがご主人ですから」
せお姉様とタイムさんがウンウンと頷き合っている。
なんか酷くない?
「せお姉様。あちらに送り込む神様方ってすぐに手配可能なんですか?」
「明日の朝までには揃うよ。行くのは主に仏教関係の面々だから」
「それまでに観自在菩薩様が危機的状態になっていないかが心配です」
「えっ?ナイナイ。多分寝返った神将連中を書類地獄に叩き落としていってるはずだから逆に他化自在天が逃げないかが心配なんだよ?」
……えっ?
「出禁の話でしょ?僕が聞いている範囲だと書類地獄でトラウマとなった方々が多数出てその姿を見たり声を聞いただけでパニックになったらしいし」
PTSDですよね?それ確実に駄目なヤツですよね!?何やってるのあの菩薩様!
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