959話 やっぱり邪幼女神様が邪神なのはおかしい


 みやさんが完成させた物は執事のお姉さんが自身のプライベートボックスに入れて保管しておくようだ。

『…にゃふ…』

 なんか凄く悩ましいため息吐いているんですけど?

『私はこれで精一杯です』

 マヨ鮭のムニエルと鮭クリームスープ、鮭とポテトのバター炒め…

「これ、みやさんの優勝じゃあ?」

『まだ全員分作れてにゃ…ぅう』

「時間を1時間に区切っただけでそれが絶対って訳じゃないから…ね?僕と一緒に作ろう?」

『はいっ!』


『みやさんがムッチャ上機嫌』

『巫女様の側で料理できるのが嬉しくて仕方ないんやろな』

『なあ、さっき執事の姉さんがちょいちょいブロック&アシストしていたけど?』

『ああ、あれ何でやろな?』

『…お前ら、理由分かったらあの執事に感謝しまくるぞ』

『知ってるのか為朝!』

『何故為朝』

『みやさん、何か思いついたってアレンジしようとして止められてるんだよ。アレ』

『?別に良いじゃん』

『その料理に途轍もなく合わない調味料等を使おうとしているんだぞ?ジャムとか』

『!?』

『アレンジメシマズタイプか!』

『巫女様の前ではそんなことしないんやな』

『多分注意されているんだろうな…時折巫女様見てるし』

『その目でのやりとりがてぇてぇ…』


「よし。完了!」

『ありがとうございます…』

「うん。無理して作ろうって品数増やしてしまったのがいけなかったね」

『はいぃ…皆さんに沢山食べて貰いたくて…』

 落ち込むみやさん。

「子ども達もみんなも大喜びだね。その気持ちが大事だよ」

『…はいっ!』

「というわけで配信はここまで!鮭が2尾余っているので…うん。1尾とプラスアルファを付けて2名様…うーん、出来れば飲食店の方で周りに振る舞って戴けるような方が…まあ高望みですね。

 兎も角2名にプレゼントという事で〆切は本日23時59分までで!発表は廣瀬お姉さん達に任せますので!本日の配信終了です!」

 それだけ伝えて配信を終了した。


 少し早い時間だったものの、神様方は配信を見ていたらしく食卓で待機していたため普通に配膳を行った。

 飯櫃ギュウギュウな押し寿司状態だったはずなのに…あっという間に1つめが無くなって2つめの飯櫃にも手が伸びていた。

 炊飯器でピッタリじゃ無いけど少なくとも2.2升分はご飯炊いたんだ。

 そして具材をたっぷり入れたから少なくとも50人前は超えているんだけどなぁ…まあいつもの事だけど。

 あと、ハヴァスターイ様が一番食べるのが丁寧なだけに出遅れている。

 モキュモキュと小さなお口いっぱいに頬張ってはいるものの、しっかり味わって食べている。

 そしてお茶碗が空になってからおかわりをしようとしているのだから偉いとしか言いようが無い。

「邪神が一番良い子な件について」

 そう呟きながら飯櫃に入りきらなかったのでおにぎりにしていた五目寿司をハヴァスターイ様の横へソッと差し出す。

「…いいの?」

「行儀良く丁寧に食べる方へのご褒美です」

 嬉しそうな笑顔を見せるハヴァスターイ様。

 …邪幼女神様はエネルギー枯渇状態だからこんなに食べているのだろうか…

 なんてちょっと本気で考えた。


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