699話 I Believe~あたらしい住人(?)


 ゆる姉様とミツルギ姉様が復帰したので僕と兄さんは箱庭へ───

「いや待って?兄さん。紅葉さん達をちょっと指導してきてって」

「…了解」

 なんで残念そうなんだろう…


 箱庭の中をマイヤとお散歩する。

『リムネーも一緒だったら良かったのにねー』

「そうだね。リムネーが忙しいのは申し訳ないけど…」

『パパに頼られるのは嬉しいことだから。でも、独りぼっちは寂しいよ?』

 マイヤが小さくなって僕の肩に乗る。

「そうだねぇ…おにぎりとかサンドウィッチを用意してまた皆で………なに、あれ」

 草原を南下していると、小さな一軒家があった。

「えっと、どちら様の家?」

『?』

 いや、マイヤさん。どうして不思議そうな顔をするの?

『白獅子さん達のお家だよ?』

「えっ!?」

 でも扉とかあるよ!?

『??白獅子さん達、人になれるよ?』

「ふぁっ!?」

 なんですと!?

『パパ知らなかった?』

「初耳だよ!?」

 驚く僕にマイヤは『あれぇ?』と言いながらフヨフヨその家の扉へ飛んでいき、ノックをした。

「はーい」「はいはーい」

 家の中からそんな大声が聞こえてきたかと思ったら、幼女と女児が扉を開けた。

 両方とも白髪でお目々くりくりだ。

「あ!ましゅたーのおとーとさんだ!」

「くっきーのかみさま!」

 幼女の方が、認識がマトモ、だと?

 あとクッキーの神様って。なに?

 更に言えば、うちの周りって幼女女児率高くない!?

「なーに?誰か来………えっと、巫女神様。ども、はじめまして…」

 寝癖がつきまくった高校生位の女性が僕を見て固まった。

「ども。もしかして白獅子の皆、人の姿になれる?」

『パパ、みんなここの食べ物沢山食べて、マイヤのおやつ一緒に食べてたらなれたんだよ!』

 うちの食材が悪いの!?あと、マイヤのおやつだけど全部そうってわけじゃ無いからね?

「友紀。ここに居たか」

 兄さんがやってきた。

 いや、早すぎない?

「教えてない?」

「面倒だったから神域レベルの負荷掛けて式神と戦ってもらっている」

 何というスパルタ…超実践的だし。

「しかし…本当に人間型になっているんだな…まあ獣人といった感じだが」

 耳と尻尾あるしねぇ…

「もしかして全員?」

「いや、現状8体だけだな」

「しかし…どうなって…あー…結晶食べたのか。よく破裂しなかったな」

「「「ハレツ!?」」」

 ビクッとする白獅子娘達。

「マイヤが様子を見ながら大丈夫と判断して与えていたっぽいよ?」

「マイヤが?でかした。力もかなり追加されているし、良い事だらけだ」

「えっ?良いの?」

「ああ。どうせ耳と尻尾は隠せるだろ?」

 兄さんの問いに白獅子娘達はすぐにそれらを消した。

「うわ、こうなったら人だよね」

『小さくなれるの?』

「マイヤちゃんゴメン。人化しているときは固定なんだ…」

『そっかー』

 残念そうなマイヤ。

 と言うか、待って。

「うちの食材とか食べていたらとんでもない事が起きる可能性が高い?」

「今更可能性というオブラートに包もうとしてもなぁ…」

 そこは重要だよ!

「ここの食材含め友紀関連のあらゆるモノはトンデモ案件だ。諦めろ」

「岩崎家トンデモナンバー1に言われたくないよ!?」

「友紀。世の中には五十歩百歩という言葉がある」

 つまり兄さんも認めるから僕も認めろと…これ、脅しじゃない?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る