698話 DA 巫女ラップ


 とりあえず兄さんは平成放送のポーズを全部やった。

 僕殆ど知らないから動画見ながら確認していたけど、再現率高過ぎワロタ。

 変身後も含めてね。

「これはと思ったのは3つ位ですね」

「えー?厳しくない?」

「では、昭和のヤツをするか…」

 …兄さん、そのスーツをどこから手に入れたのか含め確認したいんだけど?


「幾つか聞きたいことがあるんだが」

 ミツルギ姉様が兄さんに声を掛ける。

「ああ、さっきの内容で足りない部分があったか?」

「プログラム状の術式といっていたが、どのレベルのだ?」

「3次元立体術式はこの世界の神代呪法にあるのでな。一次元上の方式で術式を組んだ。2年掛かったが」

「…術式構文ガン無視になるから立体術式が限界だよ?規模にもよるけどあの形状に入れる通常術式ならここも、他も大体127段の17万字から33万字くらいだよね!?」

 ゆる姉様が信じられないと言った様子で声を荒げた。

「ああ、普通は数式混じりで誤魔化している…が、通す力の向きや揺らぎを回文術式にし、同時に数術の在り方を次元立体展開する事でこれまでの3乗の「ストップ。ゆーくんの思考がパンクしているぞ」…むっ?」

 何を、言っているのか、分かんない。

「分かんないけど、HDD型のスパコンから細胞モルコンピュータに切り替えた感じ?」

「それは処理に関してだろう?いや、記録も確かに出来るがその考え方もどうなんだ?…ただまあ、処理と記憶域に関しては近いか」

「「もうやだこの兄弟…」」

 ?ゆる姉様方が頭抱えている?

「でも、兄さん」

「なんだ?」

「あの杖状の剣なら、巻物型や二重螺旋型の術式とかももの凄い沢山書けそうじゃない?」

「「「あっ」」」

 お二方は兎も角、兄さんェ…


「紅葉さん達が下で特訓しているんだけど、兄さんに余裕があるなら少し喝入れて欲しいんだけど」

 兄さんは僕の出した白玉団子を一口食べ、首をかしげる。

「お前の頑張れコールの方がよくないか?」

「技術的な指導も含めてだよ…精神的なものでどうにでもなるわけじゃ無いし」

 あ、もう一個食べてまた首かしげた。

「まあ、それはそうだな…友紀。この白玉団子、いつもと違う気がするんだが」

「美味しい?」

「ああ。ただ、技能とかではない美味さだ」

 レシピも手順もまったく同じなのに兄さん気付くんだ…

「今日はお試しに声を出してみたんだ」

「声?」

「うん。あっ、あとちょっと会社の人から前に聞いた事もした」

「どういう事だ?」

「皆居る前だと恥ずかしいなぁ…えっとね?メイドカフェ?でやっている事」

「「!?」」

「まさか…おまっ」

「美味しくな~れ♪キュンキュンュ~ン!」って…兄さん」

「………それが物理的に、いや、今も物理的に作用しているが…おめでとう。瞬時に神二柱を殺すとは」

「えっ?あああっ!?ゆる姉様!?ミツルギ姉様!?」

 ゆる姉様が鼻血を流しながらキラキラして消えたああああっ!?

 あっ!?ミツルギ姉様、涙を流して、幸せそうにサァァッて風化するように消えたんだけど!?

「ふむ。尊死の亜種、キュン死か…俺も耐性がなければ心停止起こしていたな…まあ、未だ心臓がバクバクしているが」

「うううう…恥ずかしかったのに…」

「控えめに言って最高だった。もういっそ巫女メイド像でも建てて崇めさせたらどうだ?信者爆増すると思うぞ?」

「いや、信者とか要らないんで」

「…本当に、お前のトラウマ根深いなぁ…」

 いやガチで要らないッス。マジで。マジで。

 ああああっ!嫌なことを思い出した!おのれ香也っ!


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