2話 TS化した僕は理解する

 お昼のTS事件の後、午後は緊急で検査を受けてその日はそのまま病院で一夜過ごす事になってしまった。

 メイド服で。

 いや、なんでメイド服?

 僕倒れた時は普通の格好だったよ?

 目が覚めたらメイド服だったよ。

 そんな現実お断りだったから無視していたけど(ただ現実から目を逸らしていただけです)、僕の服は何処へ消えたのかな!?

 ───ちなみに、下着も女性物でした。

 マジで誰なのさこれ用意した人。サイズピッタリすぎて怖いんだけど…

 で、朝。

 体感で6時少し過ぎた時間に目が覚めて、即悲鳴を上げた。

 だって目を覚ましたら同僚が瞬きせずジッと僕を見てるんだよ!?

 怖すぎるよ!

 看護師さん達ももの凄い勢いで駆け込んできたし。

「失礼、ダンジョン探査者協会の巽と申します。岩崎たnゲフン…岩崎様に異常が無いか心配で早めに来てしまいました。ああ、ご安心ください。私は警護も兼ねておりますのでご心配なく」

 いや貴女医療班ですよね?

 あと看護師さん達も「あ、これヤベぇヤツだ」って顔してそそくさと退室しないで!?

[あ、そう言えば…巽さん。ちょっと聞きたい事があるのですが]

「性癖の開示はあと3レベルほど親密度を上げていただければお応えできますが」

[僕の服は何処に消えたんですか?]

「無視ですか…服?」

[はい。僕の服です]

「?」

[そんなに不思議な事を聞いてます?僕]

「……ああ!岩崎様の服であればその服がそうですと言う回答以外できません」

[もしかして、この服も巻き込まれた!?]

「検査の際に服着用のままでと言われませんでしたか?」

[言われました]

「それはその服が岩崎様の防御機構だからです」

[ぼうぎょきこうってなんですか?]

「カワッ…防御機構とは上級ハンターの一部が装備するような着る要塞のことで、所有者以外が触れたり、害をなそうとした場合…様々な攻撃を行ってくる代物です」

[なにそれ怖い。怖くて洗濯できないよ!?]

「防御機構は常に清潔に保たれますし、スキル同様幾つかの形態があるとの事ですが…」

[スキルのように……8種類+αってなにさ]

「どのような衣装があるのですか?」

[メイド、修道女、巫女、カジュアル、清楚、ソフト、チャイナドレス、男装って、何か悪意以外感じないんですけど!?]

「何故、何故レディース診察衣レディースハーフコートが無いんですか・・・!ここは医療機関ですよ!?看護服はあって然るべきでしょう!?」

 巽さんが失意体前屈をして慟哭してる。

 毎度の事ながらとばしてるなぁ。

[でも流石にこのままは嫌だから・・・カジュアルにしてみよう]

「えっ?」

[へぇ…ちょっとゆったりとしたタートルネックにデニムのパンツかぁ。

 まあ、カジュアルと言えばカジュアルなのかな?]

「そ…」

[巽さん?]

「その隠しきれない胸が強調された格好は誘ってるんですか!?」

[いや、巽さん女性ですよねぇ!?]

「徹夜明けの私に特攻掛けてくる岩崎様が悪いんです!」

[はぁ…疲れているんですね。一時間だけですよ?]

「えっ?」

[一時間くらい仮眠を取れば少しはまともな思考になるかなぁと]

「えっ、と…まさか、膝枕していただけると?」

[です]

「~~~~~~~!!!」

 どうしてそんなに顔を真っ赤にするのかな?

[ほら、早く]

「えっと、はぃ……失礼します」

[お疲れ様。色々大変だけど、今この時だけはゆっくりと休んでね?]

「すぅ……」

 余程疲れていたんだろうなぁ。

 巽さんは医療班と言っても医療強行班というダンジョン救急隊員だ。

 恐らく昨日は昼から深夜過ぎまでのシフトだったのだろう。

 僕にはとてもじゃないけどできない過酷な班だ。

 暫く頭を撫でていたけど、ふと魔が差した。

 ───そうだ。スキル、使おう。

 使うスキルは【慈母の癒し】

 疲れている巽さんにピッタリだ。

 というわけで、スキル発動!

「岩崎さん。朝食d…」

 あっ…

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