293話 3day AM未明~突撃!実況中継
「何事だっ!?」
執務室内は煙が立ち籠め周辺が見えなくなる。
「大統領!」
執務室付近に待機していた軍人達が武器を持って駆け込んでくる。
「わたしたちの罪をおゆるしください。わたしたちも人をゆるします。
わたしたちを誘惑におちいらせず、悪からお救いください」
煙の濃い箇所から声がし、軍人達は迷わずその方向に発砲する。
その間、シークレットサービスが安全な場所へ連れ出すべく大統領の下へ素早く移動し───見えない何かに弾き飛ばされた。
「っ!?」
誰かが窓を破り、風を入れる。
硝煙の煙と砂埃が風に攫われ、そこにはカソックを着けた一人の青年が立っていた。
「───神の代理人として、神罰を執行する」
ただし、その青年の顔の四分の一は白いマスクに覆われ着ているカソックも弾痕で穴だらけになっていた。
「早く!大統領をお連れしろ!」
「無理だ!見えない何かに遮られている!」
「くそっ!」
再び軍人達はAPC9を構え、二方向からの十字砲火を迷わず行う。
しかし青年は平然と発砲している軍人のへと歩いて行き、銃を奪い取ると相手の耳元を掠めるように手を突き出す。
直後、その軍人はその場に倒れた。
「っそ!」
再び発砲しようとマガジンを入れ替える軍人のその横で邪魔をされまいとシークレットサービスが援護射撃を行うものの、青年は何事もないように歩いてシークレットサービスの首を掴む。
すぐに相手は気を失ったのか崩れ落ちた。
「緊急!執務室が襲われている!」
『あの白獅子が周辺を塞いでいる!突入したくても出来ない!』
「───地は貴方のために呪われた」
「っ!?」
青年が静かに言葉を発する。
「悪魔の誘導にかかり戦を起こした。神の名の下に宣誓をしておきながら神を蔑ろにし、剰え神に弓引くとは…恥を知れ」
誰一人として身動きを取ることができない。
その身から発せられた強大な神気に恐れ戦いていた。
「別の神より『洗脳ってわからないくらいの誘導を一帯にかけられていた挙句、ダンジョンのヒトガタが数年前から紛れ込んでいたようなのでダイナミックお邪魔します方式でホワイトな官邸に乗り込んでトップをぶん殴って正気に戻してほしい』と依頼を受けていてな。一発殴らせてもらう」
その台詞に大統領は分かりやすく絶望した。
「───いや、凄まじいなすりつけ工作しおったよあの白獅子ニキ」
「……凄いねぇ…修道服着けたらどこぞの信徒と勘違いするよねぇ…」
「しかも神の代理人と名乗るのも間違っていないし」
「思考誘導の権化だ…」
「でも確りと別の神よりって言ってるし…神から殴れと言われたから罪に問えない」
「白獅子ニキの束縛制限を解いたらどうなるんだろう…」
「破壊神?」
「二つ名のままじゃん!」
『神父!』
『ィエエエエイメンッッ!』
『qあwせdrftgyふじこlp』
『なんか余裕のあるような無いような悲鳴打ち込んでいる人がおるぞ』
『www』
『兄者生きとったんかワレェ!』
『あ、大統領ぶん殴った』
『水平にとばされた!』
『直後なんか光の帯出して捕まえた!?』
『Mrなカラテなのか師匠なのか神父なのか…』
「…堂々と正面から出ていったね…」
「しかも真っ直ぐどこかに向かっているし…えっ?もしかして敵の居場所分かる?」
「………まあ、白獅子ニキだし」
「そだね」
「あ、跳んだ。つーか飛んだ!?」
「跳んだ瞬間をスローで確認すると…スーツに着替え直してるぅ」
「芸が細かすぎない!?しかも髪型オールバックだよ!?」
「目の部分に変なモノクル?ポイの着けて…もしかしてソレで居場所特定してる!?」
「白獅子ニキ…上位世界でもソレの開発、必死なんだけどなぁ…多分知らないんだろうなぁ…」
「僕ちょとリークすりゅ」
「お願…なんか手を突き出したら建物の一部が吹き飛んだ!?」
「まあ、破壊神だし、もう驚かない……ちょっと待って!ズーム!解析!」
「………うわぁ。上位悪魔の擬態って、悪魔召喚事件前に既に出てきている奴いたのかぁ…」
「ICHIGEKI☆」
「本当に、もう白獅子ニキ一人で良いんじゃないかなぁ…色んな意味で」
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