613話 空港での騒ぎと、買い取り依頼と


 SIDE:日本


「とんでもない事になっているな…」

「…まさか28名登録している聖職者のうち20名が及び職業詐欺…でしたね」

 藤岡と巽は揃って深いため息を吐く。

 警察や特殊部隊が元聖職者や詐欺師を捕まえていくが、中には暴れた人間もいたが数秒で鎮圧されていた。

「まあ、中身が変わっているなどの問題が無いだけマシですが…肝心の妖怪の姿がアレでは…」

「件のヒトガタか…電波系の通信機器が使えないのが痛いな」

「先程メッセージを送りましたが…確認したか怪しいですから」

「「……はぁ」」

 二度目の揃ったため息を吐く。

「あのぉ…協会に聖者職の方を派遣してもらうのは…」

 空港の管理職員が藤岡へ申し訳なさそうに声を掛ける。

「現在あのヒトガタを専門に倒せるものが他の所にでているのです。生憎と電波などを使う通信機器は使えないので…どうか、されましたか?」

「使えますよ?」

「んっ?」

「いえ、スマートフォン等通信機器、使えますよ?」

「「!?」」

 藤岡と巽が慌ててスマートフォンを取り出す。

「何故だ…協会本部周辺と、あのマンション付近は使えなかったよな?」

「ええ。襲撃後大田区内を巡回した際数カ所で確認しましたが…使えませんでした」

「あのぉ…それで、派遣の方は…」

 急ぎ香也へと連絡をするが、やはり繋がらなかった。

「…だめです。やはり繋がりません」

「電波系のジャミングを受けている可能性が高いか…専門の者へは別ルートで連絡をしていますのでもう暫くお待ちください」

 藤岡はそう言い、微かに目を細めた。

「ところで、その背中から生えている尻尾…珍しいですね」

 直後、担当者の体が爆ぜた。



「職員に悪魔憑きがいるとか笑えんぞ」

「簡単に体を爆破させ逃げるとは…」

「これは職員内に複数の悪魔憑きがいるかも知れないな」

 腰を抜かしていた警察官を起き上がらせ、どうしたものかと考える。

「姫様に何か良い道具がないか、あればそれを空港側に買い取ってもらっても構わないか…聞くのは如何でしょう」

 巽の提案に少し悩む。

「空港側に聞くのは岩崎に1度聞いてからだな」

「では私が空港側に担当者を寄越すよう伝えてきます。粉々になりましたし」

「ああ。頼んだ」

 ガクガクと震えている警察官をそのままに藤岡は電話をし、巽は部屋を出て行った。

「ああ、岩崎か?藤岡だ。済まないが空港がヒトガタと悪魔憑きに中途半端に占拠されていてな…今も空港関係者に取り憑いていた悪魔が目の前で爆散して逃げ…

 いやこちらは大丈夫だ。悪魔も瞬時に斬り捨てたので問題は無い。で、だ。岩崎、空港側に回せる魔を払うアイテムか結界関連のアイテムはないか?場合によっては空港に買い取らせ───いいのか?それは……ああ、うん…いや、金額は全て岩崎に…いやいや、あー…まあ、そうだな。では一度そう言った形を取って税制面は相殺する。それであれば金額に関してもこちらで考えられるからな…ああ、宜しく頼む」

 通話を終了し、息を吐く。

「……半径およそ5.5キロの結界か…念のためあの人にも連絡をしておくか…」

 藤岡は息を吐くと次いである人物へ連絡を入れた。


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