603話 レッツパー(襲撃)と、祭り


 配信を終えて楽器を見る。

「えっと…コレどうしよう」

「箱庭に持っていったら?」

「あ、私のピアノとヴァイオリンもあげるわ」

「「えっ!?」」

 いやいやいやいや…少なくともこのピアノはヤヴァイ。

 このグランドピアノは一千万円を軽く超える外国メーカーですよ!?

「神様のところにあれば劣化や調弦要らずの最適状態に…なったら良いなぁって。私の所にあってもあまり弾かないし勿体ないもの」

 いや、だからといってポンとそんな代物を…あ、はい。お夕飯は豪華ですよ?


 神域に入ると、ダイニングとリビングがなくなっていた。

 代わりにだだっ広い宴会場が出来上がっていた。

「いつも通り食べ飲み放題だから…ああ、向こうのテーブルに置けば良いのか」

 作り置きしたものをテーブルの上にドンドンと置いていく。

 そして日本酒を置いた所で足りないものに気付く。

「タイムさんタイムさん。ちょっとお使いをお願いしても?」

「何を買ってくるんスか?」

「ハイボールやチューハイ。各2ケース。あとジュース」

「ジュースッスか…」

「うん。果汁100%系のジュースを適当に…3万円で買える範囲で良いのでおつまみやタイムさん達のものも」

「良いんッスか!?」

「多分2万円で殆ど買えるから…後は任せる」

「行ってくるッス!」

 タイムさんは大喜びで転移をした。

「───うん。ポテサラ2種類作ろう」

 あの主神が来てもこれである程度は満足でしょ。多分。



 部屋に戻り、静留さんと佑那に料理を出す。

 カレーやワイバーンカツ。そして特製ひつまぶしも…神気抜きという手間を掛けた一品だ。

 そして白米飯櫃1つと豚汁。

 カレーは………極辛を用意してある。

 さあ、これを食して兄さんに近付いてよ。

「「その隠し切れていない昏い笑顔は、何?」」

 おっといけない…アルカイックスマイルを…

 ヴィーッ!、ヴィーッ!

 サイレンが鳴り響いた。

『テロです、テロです。現在正面エントランスにて元自衛隊部隊が突入を敢行しようとしています。なお、穢れを使い結界を破壊しようとしています』

「ただ今戻って来たッス!神域の神様方凄い形相でアナウンス聞いていたッスけど…伊邪那美様と天之御中主様がチューハイ片手に降りていったんスけどぉ…」

 タイムさんがちょっとおっかなびっくりな感じでやってきた。

「あとでお徳用するめいかとマヨネーズを差し上げれば満足してくれるよ…」

「安すぎないッスか!?」

「天之御中主様辺りならそれで十分喜んでいただけると思う」

 さて、僕は箱庭に行って───

 ヴィーッ!、ヴィーッ!

 えっ?また?

『テロです。テロです。現在屋上部にて元自衛隊部隊が突入を敢行しようとしています。なお、穢れを使い結界を破壊しようとしています』

「「ええー?」」

 静留さんと佑那が食事の手を止め、顔をしかめる。

 いや、もうちょっと危機感持とう?

 そんな事を思いながら箱庭へと向かった。


「白獅子さーん」

『ガウッ!』

 今日は3体居るんだ。

「ちょっとお願いがあります。マンションが今襲われているのでお手伝いに行って欲しいです。お駄賃はクッキー15枚ずつです」

『ガウウウッ!!!』

 全力承認いただきました。

 白獅子さん達に現状を軽く説明すると頷き、ゲートへと駆けていった。

 僕は何よりも箱庭のみんなにご飯を届けないと…!


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