969話 香也、幽霊?と結婚するってよ(強制)


「ファーストキスは生臭かった…何で最後には襲われた感出すのさ幽霊!」

「えっ?何事?」

「何故キスの話を?」

「あー…聞いた話だが、コイツは子どもの頃従姉妹と岩崎を半ば強引に肝試しに連れ出して件の住宅へ突撃しようとしたところ…幽霊に、恐らく妖怪だろうがそれに行く手を塞がれ襲われたと。

 その際に岩崎がコイツを投げつけ位置的にキスとなったらしい」

「…キスの前に激突じゃないかと思うのですが?」

「長い長いディープキスだったらしいぞ」

「美人だったけどっ!生臭いのは!あと何で襲われた感を出して涙目になる!?」

「「うわぁ…」」



「…私も行きます」

 佑那から件の家の件を聞いた紅葉さんも参加したいと申し出があったので課長に連絡を入れる。

 あと、巽さんは本日も急遽お休みを取っているとのこと。

 ずっとジムに籠もっているのは分かっているので僕は何も言わない。

「あの時の祝い言いわいごとを言わないといけないので」

「祝い言と書いてしゅうげんと読む。そのココロは?」

「香也、末永くお幸せに!」

「……あの幽霊、絶対香也を待っているだろうなぁ…マジで」

「だから祝詞をね?」

 哀れ香也…全ては因果応報だよ…

「まあ最悪を想定して僕も現場の側で課長と待機しておくから何かあったら助けを呼んで?」

「人一杯居るの?やっぱやだって言っても?」

 紅葉さんの顔色が一気に悪くなった。

「もう連絡したよ?」

「…吐きそう」

「白城さんや板額さん達相手だと平気になったのに何で!?」

「…何でだろう。人じゃないから?」

「スパルタが過ぎて人と思わなくなったと?」

「それ違うからぁ!ほら!板額さんが「ほぅ?」って!違いますからね!?…話を戻しますが、調査隊は何名ですか?」

「現在は紅葉さんと護衛士官あわせて5名だね。そして外で僕と課長「私も待機する!」と佑那も合わせた3~4名で待機予定です」

 手を挙げて参加アピールする佑那を加えて説明。

「僕としてはそろそろアレが仕掛けてくるだろうから対策を練っておきたいし…」

「見つけ次第駆除するから…兄さんは見ていて?」

 うわぁ…いきなり瞳のハイライトオフは止めて?

「多分襲いかかってきたらすぐに転移でダンジョンに連れ去ると思うから遠距離攻撃でお願いね?」

「それは遠距離攻撃が使えない私に対する挑戦ですか!?」

「いや最近使えるって聞いた気がするけど!?」

「使いこなせていないんですよ!自爆するんですよ!言わせないでください恥ずかしい…」

 そこは、頬を赤らめて言う部分じゃないと思うな、僕。



「聞いて来た!そういった境界は存在しないはずだって!」

「いやあるんですが?兄さんがその境界ダンジョンに潜った記録もあるんですが?」

「あれえっ!?…騙された!?」

「仙人達の境界に異常はないと言うことでは?妖怪達の潜む境界は関知していないとかそういう感じで」

「………」

 あっ、せお姉様表情が死んだ!?

「…長年そうやって言葉遊びで作業放棄しておきながら自治権を主張していたと?…ちょっと他の神々と話してくる」

「あ、せお姉様。この映像資料も持っていって皆さんで確認お願いします」

 僕は兄さんの映像資料を渡した。


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