875話 「おかえりなさい」と言う言葉の力
地中海沿岸諸国は黒い柱が消えるのを確認し、そして頭を抱える事となる。
領土問題もそうだが、それ以上に何もない土地だからだった。
現在ダンジョン侵攻含め数々の問題でいくつかの国が消失している。
領土はある程度増えているという現状で一番必要なものは国民であり労働力だったりする。
しかし問題のダンジョン侵攻でその国民も多数失いなおかつ食糧生産が追いついていないという最悪の状態だ。
そんな中で時限爆弾のような“神々から見放された土地”なんて誰がいる?という状態だった。
とりあえず周辺各国が共同で調査団を送り確認をするということでその日は会合を終えた。
SIDE:藤岡、巽
「「う゛っ!?」」
箱庭に転移された藤岡と巽はその神圧…神威によってベシャリと床に突っ伏す。
「こ、これで帰って来たと、実感できる自分が、嫌だ…」
「同じく…」
藤岡と巽が声を震わせながらなんとか立ち上がる。
「おっ?やればできるじゃないか」
「ふむ。あとは少しずつ緊張を解きながら慣れることだ」
メリアと白城のセリフに2人は少し引き攣った笑みを浮かべる。
「前より、キツイのですが…」
「あー…まあ、それだけこの世界が成長し続けているということだ」
「一日単位で広がっているだけにまあまあ怖いな」
「「えっ!?…っぐ!?」」
「ああ、ほら無理せずここから退去「あっ、お帰りなさい!任務無事達成おめでとうございます!」…うわぁ…」
白城の言葉に被るように友紀がみんなの元へやってきた。
水着(海パン)にエプロン姿で。
それを見た白城以外全員が「う゛っ゛!?」と呻く。
「えっ?どしたの?」
「…その格好が原因です。水着は嫌だと騒いでいたのにどうしたのですか?」
「スクール水着が嫌なだけだよ?今料理中だったんだけど、みんなが帰って来たって聞いて慌てて来たんだよ」
「だからと言って水着にエプロンは…裸エプロン、でしたか?それに似た状態だと思うのですが」
「男の僕がそれやってもねぇ?」
『いやいやいやいや!』
全員が同時に突っ込んだ。
「狼の群れの中に子羊を入れたような状態ですからね!?」
「襲っていいのか!?性的に下剋上してもいいのか!?」
「襲ってくれと言っているようなものだぞ!?もっと自分の魅力を理解してくれ!」
「妹さんは何も言わなかったのですか!?」
「えっ?佑那?…そういえば鼻血出しながらなんかぶつぶつ言ってたなぁ…ああ、お経唱えてた」
『うわぁ……』
全員が悟った。
一線を越えそうになったため必死に煩悩を消そうとしているんだろうと。
そうしなければ確実に襲いかかりかねない精神状態で、それは長兄を瞬時に召喚してしまうことになると魂で理解しているのだろうと。
「…うん。岩崎は兄に怒られろ」
「帰って来て早々なんでそんなことを言うんですか!?」
「当たり前だろ!その格好は色々アウトだ!なんならその格好でライブコンサートやってもらうぞ!?」
「あ、それいいですね………スクール水着より何億倍も良いです」
「いや、スクール水着もそれも色々ダメだろ…岩崎、正気に戻れ」
「姫様…」
先程まで自分たちが神威に耐えきれず呻いていたのも忘れ、友紀にツッコミを入れる2人だった。
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