385話 意気投合と説明

「呼び出し時以外はフリーと…では我々と共同戦線というのはどうだろうか」

「陸上戦であればそちらに協力していただけるのは心強い」

「我々も心強い。何せ火力が足りないのでな」

「私達は後方支援と人員の部分が足りなかったので助かります。火力があっても防衛という面においてはいささかの不安がありましたので」

 ガシリと握手をするそれぞれの代表者。

「…兄さん。ぶっちゃけ白獅子10頭とこちらの全勢力ってなったら…どうなの?」

「ん?白獅子達だな。奴等空も飛ぶからなぁ…ただ、ここを攻めるとなれば話は別だ。あの箱の防衛力は…脅威だからな」

 ───うん。どんだけ反則な存在なのか分かった。

 あと、凄い顔でこっち見ないでください。神兵さん達は苦笑してるし…



「さて、何故喋ることが出来ないはずの召喚された存在が喋ることが出来るのか…だが、二つの条件が必要だ」

 屋敷に戻って兄さんから話を聞くことにしたら…ちょっと難しい話になった。

「二つ?」

「ああ。一つは召喚の核となる存在が詳細に設定されている。もしくはベースが存在する必要がある」

 ???

「キャラクターが詳細設定されている必要があるって事なのかな?」

「ああ。それもその設定年齢までの生き様をまでの、だ」

 ふぁっ!?

 それはいくら何でも……それが神様の与えたスキルって事!?

「そしてベースの存在。これはぶっちゃけ過去存在した人物のデータを抽出しただけだな。友紀のスキル軍人達は前者で佑那のは後者だと思われる」

 ふええええ…あんなに沢山のキャラクター設定って…流石神様。

「そして二つ目だが、さっきのはソフト面だが今度はハード面。つまり構成している体が神力等によって構成されているかどうかだな。

 例えば古の式神召喚は簡単なプログラムと術者のエネルギーを使うためそんなには強くない。儀式を行い練り上げたものであれば外部からの精霊を核として地脈の力と術者のエネルギーで構成されるため相応の力を持つ。

 そして使われるエネルギーの質と量が違うため、詳細まで反映できるって事だ」

 ───佑那とやった実験通りって事か…マイヤは多分精霊と神様方の神気と僕の力のミックスだから強いと…

「今式神のことを話したが、その中で精霊を核に…と言った。この場合は例外的なモノだな。学習し成長する。白獅子や友紀にひっついているマイヤがそれにあたる。そして、場合によっては神の候補だ」

 神様候補…

「白獅子達も?」

「ああ、あれらも神の候補だ…ああ、言い忘れていた捕捉だ。簡単な応対の出来る使い魔は式神の所で言ったプログラムを組んだものだ。ある程度の受け答えくらいしか出来ないし、自我はその時点では存在しない」

 その時点では…と言うことは、自我が生まれる可能性があると…

 僕の考えを読み取ったのか、兄さんは頷く。

「自我が生まれた時、どう扱われていたかによって悲惨なことが起きる。式神に喰われる…と言うやつだな。恐らくスキルでも起きるだろう」

 あ、佑那の神兵達は放置状態だからマズイ…いや、むしろのびのびとしているような…

「───あのど阿呆が放し飼いにしている神兵達の紐付けはお前だろうが。神の兵…佑那の職はお前を守護する職だろう?つまりはアレのスキルはお前とも接続されているということだ」

 兄さん…僕の思考読んでるでしょ!

 兄さんは何も言わずにお茶を啜った。


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