第152話 元気すぎる老人
子供達が全員元気そうにしているのは大変喜ばしい事ではあるのだが、何故皆して私の事を女神と呼ぶんだ?あー、こらこら、私に祈らない。信仰心が私に送られてきてしまってるから、祈るのなら、ちゃんと信仰している神様達に祈ってあげなさい。
「姫君様の次は女神様ですか・・・本当に何してこうなったんですか?ただ事じゃない筈ですよ?」
「あー、うん。子供達の前ではあまり話したくないのだけど、簡単に言えば打ち合わせの時に言ったように、肉体を再構築させたんだよ。」
「・・・ノアさん、それが出来ちゃったらもう神様だって言われても文句言えないですよ・・・?」
文句を言ったっていいじゃないか。私は神になった覚えなんてないんだ。誰が何と言おうと、私が神であるなどと、認めてたまるか。
それはそうと、子供達にはちゃんと挨拶をしておかないとな。どういう形であれ、純粋に慕ってくれているのは間違いないのだから。この子達の想いを無下に扱うわけにはいかない。
「こんにちは。皆元気そうで良かったよ。」
「「「「「こんにちはーっ!」」」」」
「女神さま!助けてくれてありがとうございました!」
「「「「「ありがとうございましたーっ!」」」」」
おおう。まるで示し合わせたかのように・・・。いや、本当に元気になってくれた事は嬉しいし、フウカも喜ぶとは思うのだが、神として崇めるのはどうにかならないものだろうか。
私は自分を"姫"である事すらガラでは無いと思っているんだ。"神"なら尚更ガラじゃない。
慕ってくれているこの子達には悪いが、伝えるべき事は伝えておかないと。
万が一私の事を"めがみさま"と呼び慕うベルカとこのまま遭遇してしまった場合、彼女を中心として宗教の一つでも立ち上げてしまいかねない。
ベルカもそうだが、この子達からもそれだけの意志の強さが感じ取れる。
「感謝の気持ちを伝える事が出来るのは良い事だね。だけど、一つあなた達に訂正してもらいたい事があるんだ。」
「「「ていせいー?」」
「「「なぁにー?」」」
「私は別に神様じゃないよ。他の人達よりもちょっと強いだけの
「「「「「ええーっ?」」」」」
えー?じゃないよ。確かに本当は竜人じゃないけど、神様でも無い事は事実だ。少なくとも、私は自分をそう判断している。
「貴方達は、どうして私の事を神様だと思ったのかな?」
「うー?だって、皆と離れ離れだったのに、いつの間にか一緒になれたよ?」
「ずっとずっと、怖くて痛くて苦しかったのが、女神様が来たらあっという間になくなっちゃったの!」
「その後すぐに眠くなっちゃって、起きたらフカフカであったかいベッドの中だったの。」
「やさしいお姉ちゃん達が、あったかいご飯を持ってきてくれたの!」
子供達の受け答えは年齢に対してかなり幼い。肉体的な年齢は皆、9歳~14歳と十分ものごころが付いている年齢の筈だ。にも関わらず、彼等の精神年齢は2歳~7歳程度と感じ取れる。
無理もない。この子達は世間の事情を知る事なく只々何年もの間苦痛を与えられ続けてきたのだ。精神的な成長など、出来る筈もない。
今後、この子達が人間社会で問題無く暮らしていけるようにするためにも、この場所でしっかりと様々な事を学んでもらいたいところだ。多分だが、この場所ならばそれが出来ると思う。
「ご飯を食べ終わって落ち着いたら、マコト兄ちゃんが色々教えてくれたの!」
「ここで色んな事を学んで欲しいって!」
「それで、僕達が大きくなったら、僕等で村を作っても良いし、都会で暮らしても良いって言ってくれたんだ!」
マコト兄ちゃん?まさかマコトは、本来の姿で子供達と接触したと言うのだろうか?彼の方を見やる。
何やら気まずそうな表情をしながら慌てて弁解しだした。
「い、いやだって、いかつい爺さんよりもそれなりに若い人が対応した方が怖がらせないで済むじゃないですか!?」
「・・・・・・本当にそれだけ?この子達はフウカとも面識があるのだし、彼女に違和感持たれない?」
「・・・ハイ、スイマセン。気が緩んでこのままの姿で出て来ちゃいました。」
「マコトにとってこの場所は気の休まる場所なんだね?いいさ。フウカに関しては多分だけど問題無いよ。」
「そ、そうですか・・・。」
うん、気が抜けてしまいついうっかり、と言うミスは私も多分やるだろうからな。少なくともついうっかり、というミスは以前にもした記憶がある。これまでが緊張続きだったのだし、これぐらいの事は大目に見るとしよう。
この子達が人間社会で生活していく頃にはきっとマコトも引退してるだろうし、大丈夫だと思いたい。
「女神さまー!フウカお姉ちゃんの事知ってるのー!?」
「フウカお姉ちゃん元気ー?」
「フウカお姉ちゃんに、会えるー?」
「会えるよ。彼女も、あなた達に会いたがってる。後で連れてくるよ。」
「「「「「やったー!!」」」」」
この子達のフウカへの認識がどういったものかは分からないが、皆彼女の事を慕っているのは間違いないな。会えると知った途端、今まで以上に喜び出した。
「子供達の健康状態も問題無いようだし、私はフウカを此処に連れてくるよ。マコト、王都までの移動を頼めるかな?」
「ええ、分かりました。みんな、今からフウカさんを連れてくるから、良い子にして待ってるんだよ?」
「「「「「はーいっ!」」」」」
いい返事だ。やはり素直で元気な子供の声というものは何時聞いても私に安らぎを与えてくれる。まぁ、何時聞いても、と言えるほど私は生きていないと思うが。
一度王都に戻ってからフウカに『通話』で連絡を入れれば、彼女は30秒足らずで私の影から出現して恭しい礼を取りながら現れた。子供達に会える事を心待ちにしていたのだろう。
一刻も早く子供達の元気な顔を見たいフウカにもったいぶる素振を見せるつもりは無い。
とんぼ返りになってしまうが、再びマコトの秘境へと移動する事となった。
フウカを連れて再び館の前まで向かえば、館の前でフウカの到着を待っていた子供達の顔を見て、フウカがその場で膝から崩れ落ち、両手で顔を覆って泣き出してしまった。
彼女からは、これ以上ない程の歓喜が伝わってくる。それに加えて、感慨無量のようでもある。見る事も叶わないと思っていたであろう光景を見たからだろうな。
「フウカお姉ちゃんだーっ!」
「「お姉ちゃーんっ!」」
「私は館の中でマコトと話をしてくるよ。落ち着いたら、メイドール、彼女達に案内してもらうと良い。頼めるかな?」
「承知いたしました。」
ケトラが私の要求に即答してくれたのだが、待って欲しい。貴女達の主はマコトだろう?というか、私はマコトに聞いたつもりだったのだが。
ケトラの対応にはマコト自身も困惑したようだ。普段と様子が違っていたようで、その事を彼女に訊ねている。
「ケトラ?何か僕の時よりも恭しく接してない?」
「ノア様はご主人様以上に敬うべき御方と判断しましたので。」
「えっと、一応、僕は君達の主だよね?」
「ご主人様。お言葉ですが、自分の主以上に敬うべき存在がいる事は別におかしい事では御座いません。」
メイドール達の間で、いつの間にやらこの秘境に訪れた者達の序列が決まっていたらしい。彼女達は私を最も敬うべき相手と判断したようだ。
自分達の主を見失わなければ、私は別に何かを言うつもりは無い。好きにしてくれればいい。
ああ、一つ問題があった、神様扱いしないで欲しい。それだけは本当に頼むぞ?
「それじゃあマコト、フウカ達の再開に水を差すわけにもいかないし、私が何をしてきたか、子供達が、彼等の村で何が起きたのかを説明するから、館の中に行くとしよう。」
「分かりました。ウーナ、来てくれる?」
「はい。では、四人共、後を頼みましたよ?」
ウーナを含めた3人で館へと向かう。フウカの邪魔をしないためにああは言ったものの、正直気が重かったりする。
私があ後に齎した破壊は、正直一人の人間が出来るような事では無いからな。
まぁ、あの場所で行われた事に関しては包み隠さず書類も含めて説明はするが、私が何をやったのか、事細かに詳細を伝えるような事はしない。
それと、マコトが怒りをあらわにしても良いように、部屋の周囲を以前と同様私の魔力で覆っておくとしよう。
書類を渡して、あの場所で何が行われていたか、子供達がどういった状態だったか説明すれば、案の定マコトは怒りの感情を隠す事なく魔力を放出させた。
「・・・・・・それで、その場所やそこに勤めていた連中はどうなったんですか?ノアさんの言っていた仕上げと言うのは、彼等の始末ですか?」
「そうだよ。ただ、私が思いっきり暴れた場合、彼等は苦しむ事なく一瞬で逝ってしまうから、簡単には死ねないように色々と魔法を施しはしたよ。」
マコトも流石に、あれだけの事をしていた連中を放置しておく気は無いようだ。私が行動しなかったら彼が直接あの施設を破壊していたかもしれないな。
「その・・・ノアさんが暴れた場所って、どうなりました?」
「まぁ、しばらくの間は人が、と言うか、生物が住めるような環境ではなくなっているね。元の施設の面影とかそういったものは一切無いよ。」
「本当に自重しなかったんですね・・・。」
「ああ、一切の手加減抜きだったよ。そうでもしなければ私の気が済まなかったからね。」
マコトの声色からは、若干の悔しさが感じ取れる。多分だが、彼も自分の手であの連中をさばきたかったのかもしれないな。
だが、人間達に裁かれるべき人物は別にいる。その人物の断罪こそ、マコト達人間に任せようと思っている。
「・・・子供達に、感情移入できなかったんじゃなかったんですか?」
「なかなか意地悪な事を言ってくれるじゃないか。あの時は可能性の話をしてただけだし、子共達の顔も知らなかったんだよ?あの時も言ったけど、それで感情移入できるマコトが特別優しいだけさ。」
「逆を言えば、直接会って関わったら憤慨するのは当然だ、と?」
「そう言う事。ソレに記されている内容を知って、何とも思わないほど、私は非道では無いと思っているよ。」
「ふぅ・・・。そんなこと言ってる時点で、ノアさんも大概優しいと人だと思いますよ?」
「誉め言葉として受け取っておくよ。」
はて、私の場合、優しさと言えるかな?家の皆からは散々過保護だの甘いだの言われていたからな。
自分の行動が優しさによるものなのか、甘さから来るものなのか、判断しづらいものがある。
今にして思えば、私の行動は人間達に対して、結構甘やかしと思えるような対応をしていたような気がしないでもない。
とは言え、甘やかした事で私に対して増長した態度を取っていると思えた行為は、マックスの無茶ぶりぐらいなものだ。
そのマックスも今は反省しているだろうし、人間達の倫理観を見失わずにそれにのっとって行動すれば、多分大丈夫だとは思う。気を付けるに越した事は無いが。
今後も、自分の振る舞いには気を付けるとしよう。ただでさえ、私は周囲に大きな影響を与えてしまうのだから。
その後、マコトにヘシュトナー侯爵が私を雇う際に、私が何を要求するのかを話している最中、部屋に扉をノックする音が広がった。
どうやらフウカがこの部屋に来たようだ。
部屋に迎え入れられたフウカの目元は、赤く腫れあがっている。盛大に泣いていたのだろう。
だが、彼女の涙は悲しみや痛み、苦しみから出た物では無い。
彼女の涙は、先日のモスダン公爵と同じく、嬉しさによる大きな感動によって流されたものだ。
彼女のこれまでの苦労が報われた事を、純粋に嬉しく思う。
「もういいのかい?」
「はい・・・。」
返事をした後、フウカは私の前で片膝をつき、頭を下げる。彼女からは非常に強い、それこそ、グリューナが私に向けた以上の忠誠心が伝わってくる。
「改めまして、このフウカ、生涯ノア様に忠誠と私の全てを捧げます。ノア様のためであれば、仕立て屋の仕事は勿論、"影縫い"としての力も全身全霊をもって振るわせていただきます。」
フウカと契約した以上、こうなる事は予想していた。彼女の思いを嬉しく思う反面、彼女を束縛してしまっている気がして、少々申し訳なく思う。
だが、今の彼女に私の事は気にせず好きな事をして欲しいと言ったところで、[ノア様に仕え、ノア様のために働く事こそ、私、フウカの一番やりたい事で御座います]と言われてしまうに決まっている。
今すぐとに、と言うのは少々時間が足りないため、余裕が出来た時に契約の内容を精査して内容を緩和することぐらいはしておきたいものだ。
「分かったよ。それなら、ヘシュトナー侯爵をその気にさせて、さっさと騎士達に返り討ちに遭ってもらうとしようか。彼の屋敷に行くのは夕食後にしよう。」
「承知いたしました。此方をどうぞ。」
「げっ・・・。」
そう言ってフウカが私に手渡してきたのは、ヘシュトナー邸への招待状と、一本の針、そして針と招待状に括られた糸である。巧妙に隠蔽されているが、針にも糸にもフウカの魔力が宿っているな。
マコトが針と糸を見て、顔をしかめている辺り、この針と糸が"影縫い"が使用しているもので間違いないだろう。
適当な時間にヘシュトナー邸へこの招待状を持って行けば、私が"影縫い"によって案内された竜人だと嫌でも分かる筈だ。
・・・分からなかった場合は、少々手間だが、フウカに来てもらおう。多分だが、慌てて態度を豹変させると思う。
「さて、それじゃあ王都に戻ろうか。学院の方の打ち合わせもする必要があるだろうしね。マコト、あれからワイスワンから何か連絡は来たかな?」
「ええ、ノアさんの予定を聞いて午後の稽古を見学したいと言ってきましたよ。稽古が終わった直後に、打ち合わせをするんだと思います。」
「見学したい、という事は私が使う召喚魔術を見てみたいのかな?」
「それだけじゃなくて、例の幻の事も知りたがると思いますよ?見た直後に使用を諦めると思いますけど。」
そうだな。召喚魔術の方はともかく、『
もしも人間が使用する場合、意識を本体から幻へ移して使用して安全に行動する、と言う使い方が一番理想的だと思う。
まぁ、少々強引な人物ではあるが、ワイスワンの対応はそれほど問題では無い。
私としては、向こうの要求は冒険者達の稽古に関わらなければ概ね受け入れるつもりでいるのだ。
それはそれとして、先程からフウカの様子がおかしい。
しきりにマコトの事を見て声を掛けようとしては躊躇うようなそぶりを見せている。何か聞きたい事があるのだろうか?
「フウカ、どうかしたのかい?」
「え、ええ・・・その、ノア様は自然とそちらの男性と会話をなさっていますが、そちらの方は"ウィステリア"、マコト様でよろしいのですか?」
「うん。その"ウィステリア"?は良く分からないけど、皆がよく知る冒険者ギルドティゼミア支部のギルドマスター・マコト=トードーでよろしいよ。普段とは姿も言葉遣いも全然違うから、驚いたかい?」
フウカが困惑している理由があるとしたら、これ以外には理由が無いだろう。
何せ、多くの人間にとってマコトの風体は、粗暴な口調の良くて初老、一般的には老人と呼べる外見年齢のいかつい男性だ。
それが今ではやや線の細い好青年の姿をして物腰柔らかい口調で会話をしているとなれば、困惑するなと言う方が無理がある。
実際のところ、私も最初は驚いたしな。
「ええっと・・・その、どちらが本来のマコト様なのでしょうか・・・。」
「今の姿、今の喋り方の方だね。彼、なりたい自分の姿に魔術で変装して役作りをしていたら、あの姿では元の口調で喋れなくなってしまったそうだよ?」
「あ、あのっ、ノアさんっ!?こういう場で暴露大会ってどうなんでしょう!?僕はよろしくないと思いますがっ!?」
「そうは言うけど、マコトだってフウカの、"影縫い"の秘密を知っただろう?少しぐらい教えてあげても不公平では無いと思うんだ。」
「いや、それを言うなら僕の正体を教えるだけで公平なのでは・・・?」
「まぁ、まぁ、貴方の事が子供達の口から伝わるかこの場で伝わるかの違いだよ。どうせなら本人の前で知ってもらった方が、好印象だと思うんだよ。」
「あっ、はい。あの子達から今のお話を伺った場合、少々マコト様に対する印象が変わっていたかもしれません・・・。」
「うぐぅっ!?」
ナイスな援護だ、フウカ。どうせならこの調子でマコトには人前に出辛い状況を作っていき、半ば強制的に引退へと誘ってやろうか?
マコトの後継者候補の問題が片付いたのなら、一考の余地ありだな。頭の片隅に入れておこう。
そんな事を考えていたら、私の表情に目に見えて変化があったようだ。マコトからツッコミが入ってしまった。
「ノアさん?その、あからさまに悪巧みと分かるような表情をするの、やめてもらって良いですかね。貴女の場合、思いついた事はたいていの場合出来てしまうでしょうから、怖いなんてもんじゃないんですけど・・・。」
「ああ、そんな顔をしていたのかい?まぁ、大丈夫だよ。確かにマコトに関わる事で考え事をしていたけど、別に死人が出るような考えじゃないから。」
「例えその考えが誰も傷付かず、苦しまない内容だとしても、嫌な予感しかしないんです・・・。」
なかなかに鋭いじゃないか。このままでは何を言っても嫌な予感を払拭させる事は出来そうにない。強引に話題を切り替えて話をはぐらかそう。
そう言えば既に時刻は午前14時過ぎ。少し早いが、昼食にするか。マコトもここにいる事だし、彼から直接昼食を頂くとしよう。
「じゃあ話題を買えよう。マコト、少し早いけど昼食を食べようと思うよ。そう言うわけだから、いつものを頼めるかい?」
「話の変え方強引過ぎません?ええっと、既に今日の分のお弁当はオリヴィエに渡しているのですが・・・。」
「そうなのかい?なら、王都に戻ろうか。フウカ。貴女も一緒にどうかな?マコトの作った料理はそれはもう絶品だよ?いつもオリヴィエと美味しくいただいているんだ。」
「非常に嬉しいお誘いではあるのですが、遠慮させていただきます。何やらとてもやんごとなき御方の御名前も耳に聞こえてしまいましたし、ノア様はどうぞ、その方との食事をお楽しみください。」
あれま。フウカは物怖じしない性格だとは思っていたのだが、流石に身分を隠している(隠せていない)一国の姫と同じ席で食事をする気は無いようだ。
少し寂しいが、お弁当はオリヴィエと二人で味わうとしよう。
フウカ達と別れ、オリヴィエと早めの昼食を取り留めのない会話をしながら楽しんだ後、いつも通りに午後の稽古を始めるために訓練場へと移動した。
時刻は午後0時30分。訓練場には見覚えのある老人がそわそわした様子で待機していた。
「おおぅ!やぁっと来おったか!あまり年寄りを待たせるもんではないぞ!?」
なんとまぁ、元気な老人だ。そもそも、稽古の開始は午後1時からだ。
ワイスワンは強引なだけでなく、かなりせっかちな老人らしい。まぁ、それは親善試合の時に分かっていた事か。
まぁいいさ。稽古が始まるまでの間、この老人に付き合うとしよう。いい暇潰しになりそうだ。
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