第234話 事情聴取兼説得
オリヴィエを城に戻してこの場に私とマコトだけになった事で彼は変装を解き、本来の口調で語り始めた。
「それにしても、人と言うのは変わるものですね。別人だと思いましたよ。大したものです。」
「最初に化粧をしたのはアイラだよ。私はそれを真似ただけに過ぎないさ。」
オリヴィエが大きく変化していた事に対して化粧の事を褒めたと思い、誰の手によるものかを説明したのだが、マコトが言いたいのはそういう事ではないようだ。
「いや、見ただけで化粧を真似られるのも大概だと思うんですが…って、それも確かにそうなんですが、そうではなくてですね、彼女の内面的な話ですよ。ここに勤めていた時の彼女とは、まるで別人の雰囲気でした。」
「貴方がそう言うのなら、そうなのだろうね。実際、あの娘は強くなったよ。色々と連れ回した甲斐があるというものさ。」
二人でファングダムの都市を見て回った事で、オリヴィエの精神にいい影響が出たのだと思う。それに、わだかまりがあった家族としっかり話し合う事で、他者に対して必要以上に怯えなくもなった。
加えて今の彼女は使命感に満ちている。弱音を吐いてなどいられないのだ。
オリヴィエの精神は大きく成長したと言っていいだろう。
「今の彼女があのまま受付嬢をやってくれていたら、間違いなく人気ナンバーワンだったでしょうねぇ…。」
違いない。今のオリヴィエならば他人に対して事務的過ぎる反応をする事も無いだろうからな。その容姿に魅了される物が続出するのは間違いない。まぁ、もう叶わぬ事なのだが。
さて、そろそろ本題に入ろうか。マコトもそのつもりのようだしな。少し間をおいて、オリヴィエが自国に帰還する件について言及してきた。
「ノアさん、彼女が国に帰るという事は、それはつまり…。」
マコトは少し不安げな表情をしているな。ああ、そうか。彼はまだ人工魔石の事を知らないだろうから、彼女が受付嬢の職を辞して国に帰るという事は、彼女がティゼム王国の真実を知り得たかもしれないと考えているのか。
さっさと事情を説明して安心させてやらないとな。
「大丈夫。アレについては結局知らず終いだよ。もう、知る必要も頼る必要も無くなったからね。」
「必要が無くなった?」
人工採掘場を知られたわけでは無い事に安心するも、安心はできていない。流石にファングダムの事情を把握しているわけでは無いようだからな。
人工魔石の件は明日にでもファングダム中に知れ渡る事だろうから、マコトに話してしまっても問題は無い。
ファングダムが何故ティゼム王国の本当の財源を知ろうとしたのかも含めて、ちゃんと説明しておこう。
「そもそも、何故彼女がこの国に来ることになったのか、そこから話をする必要があるね。まぁ、明日のファングダムの新聞に目を通せば分かる事だけど、あの国は財政危機に陥りかけていたんだ。ファングダムの象徴の一つである金が、枯渇し始めていたのさ。」
「それで、ティゼム王国の財源に目を…。やはり外部からでは気付かれてしまうものなんでしょうか…。」
事情を知ってやや不安気にマコトが訊ねる。認識阻害装置が他国にまで働いていない事に不安を覚えたのだろう。
「そこは単純にオリヴィエが優秀だったからだね。少なくとも、彼女以外のファングダムの人間は誰も気づいていなかったよ。」
「そうでしたか…。はぁ…。出来る事なら、彼女にはこのままこの国で働いて欲しかったなぁ…。まぁ、無茶な事は分かってますが…。」
オリヴィエが優秀な事はマコトも知っているからな。以前から色々と助けられていたのだろう。そうした接点があったからこそ、彼女もマコトに好意を寄せるようになっていったんだろうしな。
ただ、今のところ彼は優秀な人材が国から、と言うか自分の職場から離れた事にショックを受けているようだな。
「私もそのつもりだったんだけどね。これからファングダムは忙しくなるだろうからね。今後は彼女の力がどうしても必要になって来るのさ。」
「ファングダムの財源が危うくなったからオリヴィエがこの国に来て、問題が解決したから帰ったとなると…新たな財源が見つかったのですか?」
流石はマコトだ。此方が説明する前にある程度正解に辿り着いてくれた。話が早くて助かる。
「その通り。さっきも言ったけど、明日のファングダムの新聞でどうせ周知される事だから貴方にも教えておくよ。人工魔石の製造に成功したんだ。しかもある程度量産の目途が立った状態でね。」
「んなぁっ!?!?ノ、ノアさんがそう言うって事は、事実なんですよね…。魔石を人工的に、しかも安定して作れるのなら、確かに金を採掘するよりもよっぽど大きな稼ぎになりますね…。ひょっとして、ノアさんも関わっていたりします?」
やはりそこに疑問が生じるか。まぁ、私が魔術具研究所に協力したのも新聞に多少は記載されるから、話してしまっても大丈夫だろう。それに、マコトは信用できる友人だ。いちいち他人に不要な情報を言いふらすような事はしないだろう。
「まぁ、流石に気付くよね。ああ、そうだよ。私もある程度助力した。知識の提供と言う形でね。」
「ちょっと前まで魔術具の事、碌に知らなかったんですよね?いつの間にそれだけの知識を身に付けたんですか…?」
「私が図書館に足繁く通っていたのは知っているだろう?」
「それはまぁ…。って、えっ?まさか、あの図書館の本、全部読破してしまったのですか!?」
それが出来れば良かったのだが、残念ながらまだ中央図書館の全ての本を読破出来てはいない。
「流石に全てに目を通してはいないよ。ただ、魔術具と言うのは私にとって、とても興味深い技術だったからね。知識を得る優先順位が高かったのさ。」
「なるほど…。まぁ、ノアさんなら図書館の知識を読み漁る事で実現できてしまうのでしょうね…。」
そんなわけは無い。私がティゼミアに訪れてから家に帰るまでの間、読書にだけ集中できていれば可能だったかもしれないが、この目で実際に見てみたいものが山ほどあったし、やらなければならない事もあれこれでもかとあったからな。
本の複製すら、まだ全て終わっていないのだ。またいつかティゼミアにも訪れて、複製も読破もして見せるのだ。
それと、魔術具にの知識に関しては図書館の知識よりも"ヘンなの"から得た知識によるものが多いな。
なにあの"ヘンなの"には人類で最も発展した文明国であるヴィシュテングリンの魔術具に関する知識が、これでもかと詰め込まれていたからな。
その中で人工魔石を製造するのに必要な知識を披露させてもらったのだ。
だから結果論になるが、ヴィシュテングリンも作ろうと思えば人工魔石を作る事が出来るのだと思う。ただ、あの国にはそれを安定して作るだけの潤沢な魔力が無いのだろうな。
だからこそ楽園に"ヘンなの"をよこして魔力を回収しようとしていたのだろう。
別に多少の魔力を持って行くぐらいなら何も言うつもりは無いが、彼等は流石に魔力を回収する量に遠慮が無さすぎたのだ。だから排除させてもらった。
おかげで、魔術具に対して深い理解を得ることが出来たのだ。その事に関しては深く感謝している。
礼と言うわけでは無いが、もしもヴィシュテングリンに訪れる機会があり、彼等が魔力を欲しているのなら、少しぐらいは提供しても良いかもしれないな。
まぁ、私が彼等に対して友好的に接するかは、彼等次第ではあるが。
ファングダムの現状を知り、マコトも気苦労が減ったみたいだな。心底安心した表情をしている。
ティゼム王国にコレと言った問題が起きた気配も無いので、後は彼に後継者が出来れば言う事なしだ。
「そうだ。この情報、ユージェンにも伝えておかないとかな?」
「そっちは僕の方でアイツに伝えておきますよ。」
「そう?それなら、証拠集めに協力してくれた事に感謝していた事も伝えておいてもらえるかな?彼は『
今更だが、悪徳貴族達の証拠集めの際は、彼の協力が無ければああまでスムーズにはいかなかったと思う。
その時の礼を、私はまだユージェンに伝えていなかったのだ。
彼は私の正体をある程度知っているためか、私との接触を極力避けようとしている節があるのだ。以前此処で彼に『通話』で連絡を取った時はそれだけで酷く驚いていたし、怯えの感情もあったからな。
私にとっては人間社会の常識を教えてくれた恩人でもあるので、出来ればあまり精神的な負荷を掛けたくはないのだ。
「引き受けましょう。他に何か聞きたい事や言っておきたい事はありますか?」
マコトとしては、そろそろ話を切り上げたいのだろうな。相変わらず忙しそうにしているようだ。なら、最後に一つだけ確認を取っておこうか。
「それなら、一つ聞きたいんだけど、マコトは"魔獣の牙"って組織に、心当たりはある?」
「接触したんですか!?あの連中と!」
「知っているんだね?」
あの連中、と言っている以上、彼も"魔獣の牙"の事を知っているらしい。それも、あまりいい感情を持っていないようだ。もしかしたら、過去に辛酸をなめさせられたのかもしれない。
「詳しくは分かりません。ですが、非常に危険な組織である事は間違いないでしょう。多くの
「詳しくは語れないけど、貴方も新聞で目を通したファングダムの騒動なんだけど、アレの根本的な原因がその"魔獣の牙"の仕業でね。今は個人的に連中の拠点を探しているところなんだ。」
「難しいでしょうね…。世界中に複数存在しているでしょうし、古代遺物によって隠蔽もしているでしょうから。」
まぁ、以前までの私だったのなら確かに難しかっただろうな。隠蔽に関してはどうとでもなるが、確実に拠点の空間を歪ませて、転移で直接訪れる事が出来ないようにしている筈だ。
だが、それは既に過去の話だ。龍脈に繋がり、"蛇"から古代遺物の解析が終わった私には通用しない。今の私は、例え空間に歪みが発生していようとも転移する事が出来るのだ。
更に、彼女が用いていた他の行動に関しても対策は既に出来ている。なので心配する必要は無い。当然、油断も慢心も容赦もしない。確実に仕留める。
「ノアさんは、連中をどうするんですか?」
「始末するよ。それと、何故連中が世界を滅ぼそうとするのかも知る必要がある。他にも似たような組織は存在しているようだし。」
「生け捕りが出来る相手ではありませんよ?連中は機密を保持するためならば、例え幹部クラスだろうと自爆も厭わないような奴等ですから。」
「承知の上さ。だけど、その点については問題無いよ。相手の生死は、私にとっては重要じゃない。事実があればそれで良いんだ。」
そう。例え連中が全員消滅していようとも関係ない。『真理の眼』を利用すれば、既に起きた過去を視聴する事など、容易に可能なのだから。
当然、膨大な魔力を消費する事にはなるだろうが、私ならば微々たる量だ。何も問題は無い。
万が一魔力が足りなかったとしても、龍脈から魔力を拝借する事も出来るからな。まったく問題は無いのだ。
「新たな寵愛を得て進化したからでしょうけど、益々とんでもない存在になってますね…。まぁ、連中に対しては微塵も同情しません。思いっきりやっちゃってください。連中は間違いなくこの星に生きる者達にとって、害悪以外の何物でもないでしょうから。」
当然そのつもりだが、マコトにしてはやけに過激な態度をとるな。もしかしなくても、過去に相当嫌な思いをさせられたのだろう。
彼の敵討ちと言うわけでは無いが、思う存分やらせてもらうとも。既に決めていた事だしな。
「話しておくべき事は大体こんなところかな?それじゃあ、時間を取らせてすまなかったね。また会おう。」
「はい。貴女のおかげで、この国は大きく救われました。本当にありがとうございました。またいつか、会える日を楽しみにしています!」
まぁ、この国が危険な状況になったのはカークス騎士団が"楽園"に遠征する羽目になった事も含めて私が原因なのだ。
その責任を果たしたと思えば、何の苦にもならない。
笑顔で別れを告げ、私も転移で城へと戻るとしよう。
そろそろいい時間だ。風呂に入って今日はもう寝よう。おそらく明日は早朝から"魔獣の牙"と取引をしていた有力貴族と話をする事になるだろうからな。寝坊しないようにしておかないと。
ちなみに、風呂は当然ファングダムの城にも配備されている。それもカンディーの風呂屋すら上回る規模の浴場だ。コレが王族専用だと言うのだから、贅沢にも程があると言えるだろう。
ここ3日間、風呂には大体オリヴィエとレーネリア、ネフィアスナと一緒に入っている。
時間が合えばリナーシェも一緒に入っているのだが、彼女の場合、いつぞやの食事の時と同様、時間を忘れて一つの物事に熱中してしまう事があるので、一緒に風呂に入れるとは限らなかったのだ。
後、カインの入浴はメイド達に任せているようだ。私達が利用する浴場は底が深いから、カインでは足が底につかないのだ。
風呂に入った時の反応なのだが、オリヴィエを除く3人から私の髪はともかく、肌の状態をとても羨ましがられた。特に母親の2人からの視線が凄かったな。確かに娘たちと比べれば肌の艶などが衰えている。だが、2人とも同年代の女性に比べれば十分に良い状態だとは思うぞ?
なお、オリヴィエから羨ましがられなかったのは、彼女は既に私の肌の状態を知っていたからだ。
当然、初めて一緒に風呂に入った時には非常に羨ましがられたさ。
翌日早朝。レイブランとヤタールに起こされて朝食を食べた後、レオナルドから招集が掛かった。
既に昨日の内に招集をかけていた有力貴族達が、彼の執務室に集まっているとの事だ。
当然、レオナルドも彼の執務室に在室している。それは私も『
では何故私は招集が掛かるまで朝食を取ってのんびりとしていたのか。
招集が掛かるまでのんびりしていて欲しいとレオナルドに頼まれたからだ。
会議や昨日行った授与式のような催しでは、大抵身分や地位が高いものほど後から会場に現れるのが定番となっている。
つまるところ、今回の事情聴取においては、私が最も地位が高い存在として扱われているのだ。
ちなみに、有力貴族達はこの事を知らない。何故自分達が呼び出されたのか、訳が分からないと言った様子で困惑しているところだ。
執務室に鍵が掛かっている様子も無かったので、ノックもせず、許可も得ずに入室させてもらった。
当然、この辺りも打ち合わせ済みだ。
やたら横暴で失礼な態度だと思うのだが[上の者が下の者に気を遣ってノックをしたり入室の許可を得るのはおかしいだろう?]と言うのは、レオナルドの言い分だ。
分からなくも無いが、流石に少し招集された者達に同情するな。彼等は格式を重んじる人間だったから、私の授与式での態度に関しても憤慨していたのだ。
これまで積み重ねて来たファングダムの歴史や誇りを踏みにじられたと思っているんじゃないだろうか?
まぁ、だからと言って頭を下げる気は無いのだが。
ああ、やはり私がノックも確認もせずに入室してきた事に全員憤慨しているな。まぁ、レオナルドに睨まれて何も言えないでいるが。
「全員、集まっているね?それでは、早速事情聴取を始めようか。」
「じ、事情聴取だとぉ!?」
「まるで我等が罪を犯したかのような言い分だな!?いかに複数の神から寵愛を授かろうとも、言いがかりで我等を陥れようなど、許される事ではないぞ!?」
入室するなり、無遠慮に私が言葉を発したため、流石の彼等も我慢の限界が来たのだろう。怒気を露わにして私に食って掛かっている。
だが、それを許すレオナルドではない。
「貴様等、ノア殿がどのような扱いを受けているか、知ったうえでの狼藉か?彼女は我が国やティゼム王国と対等な大国の姫君として扱う事が暗黙の了解とされている事を忘れたか?今この場で、貴様等に不敬罪を科す事も出来るのだぞ?」
「し、しかし陛下!?」
「彼女の態度は我等ファングダムを軽んじる行為では無いのですか!?」
「何故こうまで好きにさせて、そのような事をおっしゃられるのです!?」
ううむ、彼等に対しては私は悪感情を持っていないからなぁ…。何だか可哀想に思えてきてしまう。彼等にとっては、レオナルドの態度があまりにも理不尽に感じられるだろうからな。
「まずはノア殿の話を聞け。貴様等の言い分を聞くのはそれからだ。」
「く…っ!」
有力貴族達が渋々とこちらを睨みつけてくる。[罪を犯した証拠があるのならサッサと出してみろ]とでも言いたげな目だ。
まぁ、彼等が受け取っていた古代遺物はしっかりと回収済みなので、この場で証拠品として提示するとして、まずは事情を説明しないとな。
「言っておくけど、私達は、貴方達を罪に問うつもりは無いんだ。ただ、説得をするために集まってもらったんだよ。」
「「「説得だとぉ?」」」
口を揃えて異口同音に返されたな。それだけ彼等の私に対する気持ちは同じだったのだろう。
「貴方達、得体のしれない連中から、古代遺物を受け取っていただろう?金の採掘の報告を条件に。アレ、もう受け取る事は出来ないよ?」
「「「なぁっ!?!?」」」
目を見開いて驚いているな。その驚愕は、私が彼等の事情を知っている事に対してなのか、それとももう古代遺物を得られない事によるものなのか、あるいは、その両方か。
両方のようだな。もう古代遺物が手に入らないと言う私の言葉を聞いて、言葉には出していないが非常に残念がっている。
そして彼等は私がティゼム王国で人知れず、しかも瞬く間に悪徳貴族達の悪事の証拠をかき集めてしまった事を知っているのだ。
既に自分達の事も調べられてしまっている事を把握しているのだろう。顔から血の気が引いている。
有力貴族である以上、清濁併せ吞む事もある事はある。悪徳貴族達と比べれば、幼児の悪戯に思える程度の不正の痕跡は確認できた。
彼等は、それらを理由に強引に裁かれるのではないかと恐れているのかもしれない。
流石にそんな事はしないし、レオナルドも目を瞑るようだ。私が退室した後で釘は刺すようだが。
「ちなみに、これらが証拠の古代遺物だよ。窃盗に当たるだろうけど、回収させてもらった。まぁ、貴方達もコレ等に関しては報告できないだろうから、大目に見てもらおう。後、ちゃんと返すからそんなに不安そうにしないでもらえるかな?さっきも言ったけど、私達は貴方達を説得したいんだ。」
「こ、この期に及んで、何を説得するつもりだと言うのだ…。」
有力貴族の一人が私に疑問をぶつけてくる。彼等としても取引をしていた連中が得体のしれない連中で、まともな人間では無い事は承知していたのだろう。罪に問われない事に不振がっている。
「簡単だよ。金の採掘を諦めて欲しいのさ。」
「し、しかしそれは…。」
「さっきも少し言ったけど、もうあの連中は貴方達の元に現れない。あの連中の目的は達成され、そしてその目論見は失敗に終わったからね。あの連中の目的は、御伽噺の魔物の復活だったんだ。」
「「ば、馬鹿なっ!?」」
簡単には受け入れられないだろうな。彼等とて御伽噺の『黄金の夜明け』の内容は知っているのだ。
だがそれ以上に、御伽噺の魔物の真実はともかくとして、自分達がこの国にとって害になっていた事が信じられないのだ。
彼等の愛国心は強い。彼等とて金の採掘量が日に日に減少していた事は把握していたのだ。だからこそこの国の財源を確保するために金の採掘に躍起になっていたのだから。
彼等にとってはとても辛い事実だろう。だが、告げなければならない。彼等にとって残酷な真実を。
私は、レオナルドも含めこの場にいる全員に真実を伝える事に決めていた。
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