第61話 最東端都市イスティエスタ

 門番の彼が言うには私の人間部分、とりわけ顔は、客観的に見てとても美しい造形をしているのだと言う。


 正直なところ、あまり嬉しくないな。

 我儘な意見である事は承知の上だが、醜悪でありたいわけじゃないんだ。ある程度の美しさは欲しいとも。かと言って、誰もが振り返る様な美貌が欲しいかと聞かれれば、拒否したい、というのが私の本音だ。


 魅力的な外見というものは武器になる。見る者を魅了し、自らの要望を叶え易くするものだ。

 だが、それ故に自分にとって不都合な者を引き付ける事にもなる。

 自身にとって有益でない者、害悪な者も、魅力的な外見に引き付けられ、此方が望もうが望むまいが関係なく寄って来てしまうものだ。


 それは私の望むところではない。そういった輩に一々対応して、自分の時間が削られてしまうのは、何とも不愉快な事だ。

 楽しいだとか、嬉しいだとか、喜ばしいだとか、そういったプラス方面の感情を得ている最中に外的要因によって水を差されてたら不愉快になってしまうは、私だけでは無い筈だ。

 とは言え、顔を変える事など出来るわけも無いのだから、潔く諦めよう。よからぬことを考える輩には容赦をしない。それだけだ。


 それはそれとして、だ。竜人ドラグナム、とな。門番の彼が言うには、ドラゴンと人間との間に生まれた者を指す言葉であり、恐らく"楽園"に襲撃してきたドラゴン共が言っていた"混じり物"の事でもあるのだろう。


 ルグナツァリオが数は少ないが人間として認識されていると言っていたし、珍しくはあるのだろうが、問題無く人類として判断されているようだ。


 ・・・・・・ん?


 いや、待って欲しい。今更な話だが、私のような例外はあるかもしれないが、ドラゴンという生き物は基本的に総じて巨大な生物である。どうやって人間との間に子を成すというのだろう。


 「人とドラゴンとの間に、子供を成せるものなのかい?サイズが全然違うと思うのだけれど。」

 「はははっ、流石にドラゴンとそのまま子を成すわけではありませんよ。力を認められた人間と同じ種族に、ドラゴンが変身すると聞いています。」


 なるほど。向こうが人間側に寄せてくれるのか。となると、ルグナツァリオ達が生み出した魔族の祖と似たような性質を持っているのだろうか。興味があるな。


 まぁ、今考える事ではないか。とにかく、これで門番の彼から聞きたい事は聞き終えた。仮身分証も受け取っている事だし、そろそろ街の中に入るとしようか。


 「色々と教えてくれて本当にありがとう。おかげで街で不自由する事は無くなりそうだよ。」

 「お役に立てたのなら光栄です。改めまして、ティゼム王国へ、そしてその最東端都市、イスティエスタへようこそ。良い滞在を。」


 門番の男性へ別れを告げて門の内側へと入って行く。さぁ、いよいよ人間達の街だ。どんなものがあるかな?楽しみで仕方が無い。



 「お、お前ばっかりあの人と話をするなんて、ズルいじゃないか!!最初に声を掛けてもらったのは、俺の方なんだぞ!?」

 「馬鹿野郎!!お前がキョドったりしてなかったら、俺が話しかけたりしてねぇんだよ!!お前がまともに話せなくなってたから、仕方なく俺が出張るしかなくなったんじゃねぇか!!」

 「あんなに露出が多い美人に話しかけられたら、誰だってああなるだろ!?平然と会話が出来たお前がおかしいんだ!」

 「お前が女に免疫が無ぇだけだ!お前は街を出入りする似たような恰好をした女冒険者にだってキョドったりするじゃねぇか!!」



 ・・・・・・聞こえているよ。私の事で口喧嘩をするなら、私がもう少し離れてからにするべきじゃないかな?まぁ、少し離れた程度では私の聴力なら聞き取ってしまうだろうけれど。


 それにしても、丁寧な口調で会話をしていた門番の素の口調が、やや粗暴なものだったのは面白いな。彼は彼で、私に異性としての魅力を感じて、覚えを良くしてもらいたいと思ったのだろうか。


 まぁ、感謝はしているし、ああも口調が変わる人物というのは面白いからな。赤面していた男性を含め、忘れる事は無いだろう。



 門番が言っていたこの街の名前、イスティエスタ、か。地図で確認はしていたが、ティゼム王国の都市としては最も東に位置する都市だ。

 態々こんな言い方をしたのは、実は門に到着する前に、もっと言うのであれば付近の森に着陸した時点で、私はティゼム王国に入国していたのだ。


 あくまで都市として東端にあるのであって、ティゼム王国の国境は更に東方向に存在する。また、小さな村がここよりも更に東側にいくつか存在する事が地図には記載されていた。今回の滞在では行くつもりは無いが、余裕が出来たら行ってみるのも良いかもしれない。それよりも、今はこの街だ。


 この街、都市というだけあって、活気がある。

 人が歩く、もしくは走る足音、その振動によって装備がぶつかる音、幼い子供が笑い合う声、商いをする者達の話し声、飼育しているであろう動物の鳴き声、そういった喧騒に力強さを感じて、なかなかに心地良い。時間があれば、一日中眺めても飽きが来ないかのもしれないな。


 ルグナツァリオ達も、こんな気持ちでこの星の生命を見守っているのだろうか。

 いや、今はよそう。今度彼に会った時に聞いてみればいい事だ。そんな事よりも、この道を見てみよう。


 今、私が立っているこの道は、通過した入口の門の広さと同じ幅で、長々と真っ直ぐに続いている。地面は平らに切り揃えた石を並べてとても歩きやすく、石の表面が少しざらついているため、滑り止めにもなっている。

 これならば、慌てて走って足を滑らせて転ぶ、という事もないだろう。・・・靴の方が滑り易くなっていたら、その限りでは無いだろうが。


 この都市の住宅の作りは、木造が主体だろうか。壁の表面には、何らかの塗料を塗っているらしく、白い壁の建築物が道に沿って並んでいる。

 屋根の形は頂点の低い三角形をしていて、土を焼き固めた板を隙間なく並べているようだ。屋根の色は灰や青、橙など多様な色彩をしていて、空から見たらこれもまた面白そうだ。


 高さはどれもホーディが直立した時よりも、一回り以上は高い。扉の大きさや窓の位置からして、二階または三階建ての建築物だと見て良いだろう。


 この広い道の両脇には、様々な露店がちらほらと見えている。

 扱っている品物は、食べ物であったり装飾品であったり、武器や防具、中には本を始めとした様々な書物まで置いてあった。


 武器や防具といった装備品や装飾品はともかく、食べ物と書物は非常に興味深い。特に食べ物。調味料を加熱しているのか、甘さと辛さが絶妙に絡み合った、匂いを嗅いだだけで美味いと分かる様な香りと、香ばしい焼き肉の匂いが、私の鼻孔を刺激して止まない。今すぐにでも匂いの元へ向かい、購入してしまいたくなる。


 が、ここは我慢だ。私にはまず第一にやらなければならない事がある。ギルド証を手に入れたら、必ず購入させてもらうとしよう。


 第一に身分証を、と思っていたが、それよりも門番が紹介してくれた宿泊所、"囁き鳥の止まり木亭"だったか。そこを訪れて宿泊可能かどうかを確認しないとな。

 聞いた限りでは見つけ易い場所にあるようだし、早速この道の先にある噴水広場を目指して歩いていくとしよう。

 まぁ、道が広い事もあって噴水は既に見えているのだが。



 「・・・なぁ、あの人って、竜人か・・・!?」

 「オレ、初めて見た・・・・・・。ほんとにいるんだ・・・・・・。」

 「スッゲェ美人じゃん!声かけてみようかな。」

 「よしとけよ。見た目は確かに人と変わらないが、ドラゴンの血を引いているんだぜ?機嫌を損ねたら火傷じゃすまねぇそ?」

 「尻尾の先にカバーを付けてるのか。意外とオシャレなんだな・・・。」

 「あの人の髪や尻尾、何だかキラキラしてない・・・?」

 「結構大胆な格好してるわよね・・・。大きな尻尾があるから、あんまり着込みたくないのかしら・・・。」



 ・・・・・・この広い道を歩いていると、そこかしこから視線を感じる。というか、私の容姿の感想を私に聞こえないように小声で話し合っている。まぁ、私の聴覚はかなり優れているから、聞こえてしまっているのだけれど。


 若干煩わしく感じはするが、私の容姿が客観的に見て非常に整っている事と、竜人という種族が非常に珍しい事を考えれば、何もおかしいことは無い。気にせず噴水広場まで行こう。


 耳に入ってきた人間達の会話の内容から、何人かに声を掛けられるかもと思ったのだが、幸いにして噴水広場にたどり着くまでに声を掛けられることは一度も無かった。・・・視線は常に感じていたが。


 多分だが、私が尻尾を左右に動かしながら歩いていたからだと思う。

 私の尻尾は伸ばさずともそれなりに長い。しかも先端には鰭剣きけんを隠すために鞘のような木製の尻尾カバーを取り付けている。

 見ただけで硬い物だと分かるだろうから、尻尾の動きに巻き込まれたら間違いなく痛い、と認識されたのだと思う。

 ・・・スムーズに噴水までたどり着けたのだから良しとしよう。


 噴水の大きさは大体20人くらいが両手をつないで輪を作ったぐらいの大きさだ。かなり大きい。中央には皿の付いた柱の形状をした彫刻から勢いよく真上に水を噴き上げている。

 縁は石を加工して作られた正五角形で、それぞれの角に等身大の人間の石の彫刻が取り付けられている。彫刻からも中央に向かって勢いよく水を噴き出している。


 石像の内の一体に、何故か既視感を覚えたが、今は気にする必要は無いだろう。宿泊所の目印である青い鳥の看板を探すとしよう。


 噴水広場は、四つの道が交差している構造をしている。

 それぞれの道の先には城壁の門に繋がっているようだ。さしずめ、私が通ってきた門は東門といった所だろう。

 北門へ続く道の通りに青い鳥の看板を見つけたので、そちらへ向かって歩みを進めると、此方に向かって小さな気配が、私にぶつかる勢いで近づいてきた。

 聞こえてくる音から察するに、気配の正体は子供だな。


 「こっちこっちー!早く来いよーってうわぁっ!?」

 「後ろを向きながら走っていたら危ないよ?気を付けなさい。」


 そのまま私にぶつかれば間違いなく怪我をしそうだったので、尻尾で受け止めて持ち上げる。そして私の前に降ろして、後ろから追って来る遊び相手に顔を向けながら前方に走ってきた事を、なるべく優しい声色で諭しておく。


 少年、に服装を寄せた少女か。性別を間違われそうな恰好を、何故あえてしているのは聞かないでおこう。別段困っている様子もないしな。


 それよりもこの少女、妙に瞳を輝かせているな。それに私の尻尾が気になって仕方が無いようだ。


 「スッゲエー!!姉チャン竜人なの!?尻尾でフワァって持ち上げられちゃた!!」

 「そのままぶつかっていたら怪我をしていたからね。尻尾が気になるのかい?」

 「うん!!初めて見た!!スッゲェなぁ~。黒い鱗なのに、紫色とか緑色にキラキラしてる!!」


 やはり珍しいのだろうな。それに、光の当たり具合で色が変わる鱗にも興味があるようだ。

 何やら期待のまなざしで此方を見つめているが、何か要望があるのだろうか?どうするべきだろうか。


 おや?この娘を追っていた他の子供達が追い付いてきたようだ。


 「シーン―ッ!走るの速すぎだってばぁ!って誰?このお姉さん?」

 「や、やっと追いついた。ちょっとは手加減しろよなー!って、うわっ!スッゲェキレーな人がいる!?」

 「ふ、ふんだっ!べ、別に悔しくなんてないもんっ!アタシだって、少ししたらそれぐらい綺麗になるもんっ!」

 「竜人!?初めて見たや!?シン!この人どうしたの!?」


 後から来た子供たちは三人の少年と一人の少女か。少女の発言を考えると、この少女は私の事を綺麗だと言った少年に好意を寄せているようだ。

 少女も当たり前のように遊びに混ざっているという事は、このシンと呼ばれた足の速い少女は、別に少年のフリをしているわけでは無いという事か。


 背丈は全員同じぐらいで、私の腰ほどの高さまでしかない。どの種族も、子供の頃は種族的な特徴を除き、見た目通りの年齢をしているらしいので、この子供達の年齢は、全員六~八歳くらいといったところだろう。


 いやはや、それにしても、子供の好奇心というのは凄まじいな。噴水広場に辿り着くまでの間、私の気配や尻尾に気圧されて誰も声を掛ける事が出来なかったというのに、この子達は、そんな事はお構いなしのようだ。

 さて、この状況、どうしたものかな?


 「この姉チャン、スッゲェんだぜ!さっき走ってる時にぶつかりそうになっちゃったんだけどさ!尻尾でオレのこと掴んで、フワァって持ち上げたんだぜ!!」

 「ええええ!!いいなー!楽しそー!」

 「俺も!俺にもやってー!」

 「アンタ!またそうやってワガママ言って!この人にも用事があるでしょ!!」

 「あの!お姉さんは、何処から来たんですか!?」


 おおう。一気に賑やかになったな。なかなかにパワフルな事じゃないか。


 ふむ。それじゃあ、この子達の要望にいっぺんに応えるとしようか。

 尻尾で持ち上げられた事を羨ましがっていた二人の少年と、片方の少年に好意を寄せているであろう少女を纏めて尻尾で囲んで持ち上げる。


 尻尾を伸ばすつもりは無いので、長さが足りるか少し不安だったが、子供なだけあって体が小さく、座らせるように彼等のお尻に尻尾をあてがい、鰭剣の部分で腹と腿を押さえて落ちないようにすることで解決できた。持ち上げる高さは、シンを持ち上げた時と同じく、私の目線ぐらいにしておこう。

 高く上げすぎると、シンから彼等の方が高く持ち上げられていたからと、もう一回をせがまれそうだ。


 「わっ!浮いてる!浮いてるよ!凄い!いっぺんに持ち上げられちゃった!!」

 「うおおおおお!!すげぇえええええ!!飛んでるうううう!!」

 「ぎゃあああああ!!なんでっ!?!?なんでコイツとピッタリくっつけて持ち上げるのよおおお!!」

 「私はずっと遠い東にある森の方から旅行で遊びに来たんだ。」

 「東の方って"楽園"がある方角ですよね!?やっぱり危ない所なんですか!?」

 「あーっ!オレも―っ!姉チャン!オレにももう一回やってー!?」


 そっかー。もう一回を回避する事は出来なかったかー。

 とはいえ、尻尾で持ち上げるのは子供だとしても、長さ的に考えて三人が限界だ。この娘は私の腕で我慢してもらおう。


 彼女の服の襟を掴んで、そのまま私の目線の高さまで持ち上げる。


 それはそれとして、好意を寄せている少年と体を密着させて持ち上げた事に対して、少女が顔を真っ赤にして叫んでいる。気を利かせたつもりだったんだが、お気に召さなかったらしい。降ろしてあげるとしよう。


 「危ないかどうかは人によるとしか言えないだろうね。ただ、街の外には当然魔物も魔獣もいるから、そういった意味では危ないよ。」

 「お姉さんは、これから行きたい所とかありますか!?街を案内したいです!」

 「うわあああ!?!?姉チャン!待って!待ってええ!!服!服がめくれるから!襟を掴んで持ち上げないでええ!!」

 「凄かったなー!大人と同じ高さの目線って!!」

 「なーっ!あーあー。クミィが騒がなきゃ、もっと持ち上げてもらえてたのかもしれなかったのになー。」

 「う、うっさい!レディとピッタリくっつけたんだから、もっと喜びなさいよ!!」

 「レディって言ってもクミィだしなー。って!イッテ!ちょっ、叩くなよぉ。」

 「むうぅぅぅうっ!」


 少年の質問に答えていると、この街の案内を提案してきてくれた。なかなかに嬉しい申し出だが、私の行きたい場所は既に見つかっているんだ。まずはそこへ向かわせてもらいたい。


 シンを持ち上げてみたら意外な反応を見せられた。ほんの少しだけ腹が見えただけなのだが、それだけでもこの娘には耐え難い程恥ずかしかったらしい。

 顔を真っ赤にして降ろすように要求してきた。少女を泣かせるような趣味は無いので、直ぐに降ろしてあげるとしよう。


 一方で降ろされた三人はというと、少年二人は素直に高い位置まで持ち上げられた事に喜んではいるが、直ぐに降ろされた事を残念がっているようだ。

 クミィと呼ばれた少女の方は、これはどういう表情なのだろうな?羞恥と歓喜の感情が激しく入り乱れているというか。ううむ、好意を寄せている異性と密着する事が出来た喜びと、その事による羞恥、だろうか。分からん。


 それはそれとして、好意を寄せている少年から異性扱いされなかった事に対して怒っているようだ。頬を膨らませ、両拳を握り締めて、好意を寄せている少年をポカポカと叩いている。

 見た目だけなら可愛らしいものだな。クミィの心情を考えると、そうも言っていられないのかもしれないが。


 「今、私が一番行きたいのは、そこにある青い鳥の看板の建物だよ。宿泊の手続きを済ませたくてね。」

 「それじゃあ、ボク達、お姉さんの邪魔になってましたか?ごめんなさい!」

 「構わないよ。素直に謝れる事は良い事だ。その気持ちを、これからも大事にすると良いよ。」


 素直な性格というのは、種族、年齢関係なく可愛らしいものだな。つい、案内を申し出た少年の頭を撫で回していた。

 うん。サラサラとした髪質は、なかなか触り心地が良い。人間の頭髪というのも、悪くないじゃないか。ま、ウチの子達の毛並みには負けるがなっ!


 「うっ、おっ、おっねっえさっん、ちかっら、つよっ。」

 「あぁ、ごめんよ。森にいる動物達と同じ感覚で撫でてしまった。大丈夫かい?」

 「はい。何とか・・・。竜人って凄く力が強いんですね。」


 大失態だ。軽く撫でたつもりだったのだが、ついレイブラン達を撫でるのとほぼ同じ感覚で撫でてしまった。

 思いっ切り頭を揺さぶられてしまった事だろう。危うく大惨事になるところだった。今後は気を付けよう。


 少年は大丈夫と言っていたが、安心はできない。念のため『検査』と念じて魔力を目に通す。・・・少年の首も脳も問題は無いようだ。

 だが、それでも安心が出来なかったので、『治癒』と念じてほんの少しの魔力を少年に送る事にした。


 「わぁ、何だかクラクラしてたのが楽になった気がします。何をしたんです?」

 「何、大した事はして無いさ。ちょっとだけ元気になるおまじないだよ。」

 「はぁ、ひん剥かれるかと思った。っていうか、姉チャンウチの客かよ!?早く言ってくれよな!案内するぜ!」


 頭を撫でた少年に微弱な『治癒』の魔法を施していると、地面に降ろされて服装を整えたシンが、意外な事を口にしだした。

 私の目的地はシンの実家であるようだ。


 宿まで案内すると言って、先程まで顔を真っ赤にしていたシンが、私の目的地に向かって走り去ってしまった。


 なんとまぁ、偶然というのは面白いものだな。

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