第68話 子供達は、魔術が大好き!

 一通り衣服を試着した後、今日から依頼を少しづつでも片付けて行こうかと思ったので、店主が選んでくれた冒険者向けの服を着ておく。


 代金を支払おうと思ったのだが、店主が何やら申し訳なさそうな顔をしている。何か不都合でもあったのだろうか。


 「ノアさん、本当にごめんなさいね、こんなに予算をオーバーしてしまうなんて。貴女に良い物を着てもらおうと思ったら、引っ込みがつかなくなってしまって・・・。」

 「構わないさ。むしろ礼を言いたいぐらいだよ。三着とも、とてもいい出来栄えだと思っているよ。この出来ならば、文句の一つも無く支払わせてもらうとも。良い服をありがとう。」

 「うふふ。喜んでもらって何よりだわ。それじゃ、確かに銀貨六枚頂きました。また利用してくれると嬉しいわ。」


 いつかまた、機会があればこの店に訪れるとしよう。そう思えるぐらいには、この店が気に入った。


 支払いが終わる頃には既に十五回目の鐘、すなわち一日の折り返しが始まる、正午の時間だ。子供達も、腹を空かせてきた時間では無いだろうか?


 「そろそろ腹が減ってきたよなー。」

 「うん、何だか今日はいつもよりお腹がすいてる気がするー。」

 「そうか?いつもと変わんないぞ?」

 「アンタ達はノアさんに魔術を見せてもらってはしゃぎすぎなのよ!お店の中にいるのに叫び声が聞こえてきたわよ!」

 「だってスゴかったんだぜ!!?水だ出てきたり、風が吹いたり、光ったりしてスッゲ―綺麗だったんだぜ!?」

 「ノアお姉さんの周りがキラキラしてて、虹に囲まれてたんだ。すごくきれいだったんだ。」

 「何それぇっ!?それって、アタシの周りにも出来たりするの!?」


 テッド達が、女性陣が服を選び終わるまでの間に、私が彼等に見せていた魔術の一部を説明する。

 あれだな。大量の小さな水球を風で位置調整しながら光を屈折させて、全身を動く虹で覆ってみたのだが、子供達には大分好評だったようだ。

 その光景を想像したクミィが自分にもやって欲しそうに私に聞いてくる。お安い御用だとも。


 魔術を発動させてクミィの周囲を虹で覆わせる。


 「はあぁ~。きれい・・・・・・。」

 「クミィがあんな感じになるのって珍しいな!ノア姉チャン、この魔術ってオレ達にも出来るようになるかな?」

 「どうだろう?出来るかどうかは私には分からないけれど、やり方は一応説明しておこうか。他の皆も聞くかい?まぁ、魔術のやり方では無くて、私が何をしているかの説明だけれど。」

 「うん!教えてっ!」

 「知りたいです!」「俺も俺も(僕も)―!」


 クミィが恍惚とした表情をしているけれど、彼女がこういった表情をするのは珍しいのだそうだ。

 子供達にとって、やはり魔術という物は一般的な者では無いのだろう。

 この子達が将来こういった事が出来るかどうかは私には分からないけれど、今私が何をしているかの説明ぐらいは出来る。恍惚な表情を浮かべていたクミィも興味があるようだ。


 将来この子達が魔術を学ぶ事があるのならば、参考ぐらいにはなるだろう。


 「使っている魔術は『水球』、『微風』、『発光』の三つ、『水球』はそのまま使っても一つしか出てこないから、少し構築陣を組み替えて小さく、沢山出るようにしてあるよ。それらを『微風』でゆっくりと自分の周りを漂うように動かして、『発光』で光を当て続ける事で周囲に虹が出来上がるんだ。・・・・・・えっと、難しかったかな?」

 「ノア姉ちゃん簡単に言ってるけど、とんでもねえ事やってんな・・・。普通の人は魔術を同時に使用する事なんて出来ないし、そもそも魔術を作り替えようなんて考える奴いないぞ・・・?」


 マイクの言葉に皆が同意して、一斉に首を縦に振る。

 家の皆と魔術を学んでいた時から、使いやすいように魔術の構築陣を調整していたのだが、それは一般的な事では無いのだな。


 だがしかし、私の言い分も聞いて欲しい。


 「ま、まぁ、三つ同時に使用するのは素質や練習あるのみとしか言いようがないけれど、作り替えに関しては魔術を作った人達がいるのだから、それに倣って同じような事をしたと思ってくれれば、そこまで難しい事では無いんじゃないかな?ほら、アレだ、使いやすいようにアレンジした、という奴だよ。」

 「ノア姉ちゃん、それが出来るのって、魔術師でも宮廷魔術師のような超一流の人達だけだぜ・・・?」

 「ねぇ、ノアお姉さん、ノアお姉さんなら絶対"一等星トップスター"になれるよ?ホントに目指さないの?」

 「今朝、同じ事を受付嬢に言われたのだけれど、今の所理由が無いからね。ある程度稼げて、美味しい物を食べて、面白い道具を見つけて、色々な本が読めて、それを家にいる皆と堪能出来れば、私はそれで良いんだ。」

 「う、羨ましい・・・。けど、もったいねえ・・・。」

 「ほ、ほら、魔術の話はこれくらいにして、お腹も空いてきた事だろうし、美味しい物が食べられる場所を案内してくれるかい?」


 私が人間達と関わろうとした理由を素直に伝えると、冒険者ギルドで聞いたものと、似たような感想を返されてしまった。


 この話を続けてしまうと、この子達にドン引きされてしまいかねない。というか、既にドン引きされている。

 話題を無理やりにでも代えさせてもらおう。時刻はちょうどお昼時だ。子供達が好きなものを紹介してもらおうじゃないか。


 「色々と言いたい事があるけど、良いぜ!ハン・バガーみたいな名物料理じゃないけど、みんなが好きなヤツみたいだからな!いっぱい食ってくれよな!」

 「今から南の通りに行って、売り切れてないかなぁ?もうちょっと早く行かないと、あの通りの屋台って、売り切れちゃってるよ?」

 「今からじゃ南通りは間に合わないから東大通りに行くぞ!あそこの肉串がケッコー美味いらしいんだぜ!」


 東大通りとな。確か、昨日私が歩いていた時にも甘辛の美味そうな匂いが漂っていたが、そこへ案内してくれるのだろうか?

 だとしたらとても有り難い。あの匂いは、昨日嗅いだ時から是非とも口にしてみたいと思っていたのだ。

 子供達が足早に足早に噴水広場へ、そしてそこから東大通りへと歩を進めて行く。


 この子達に案内してもらっている最中に街の周囲を一応は確認しているのだが、特に悪意を持った者や強い邪な感情を感じる事は無かった。


 相変わらず私に対しての視線はそこかしこから感じているが、服装が露出の少ないものになったからなのか、それとも子供達に案内されているからか、微笑ましい物を見るかのような温かさを感じる。


 この街の治安は、至って良好らしい。



 噴水広場から東大通りへと歩を進めていると、昨日この道を通った時にも私の鼻孔を刺激して止まなかった甘辛の良い匂いが漂ってきた。

 やはりあの匂いの元まで連れて行ってくれるのだろう。


 「ノア姉ちゃん、良い匂いがしてきただろ!?"楽園"に行く冒険者達は、みんなこの匂いに釣られて肉串を買っていくんだぜ!」

 「普段はオレ達、東側に用が無いから来ないけど、噴水広場にまで匂いが漂ってくる時があるからな!オレも食べるの初めてなんだ!スッゲ―楽しみ!」

 「そうなのかい?他の皆も、その肉串とやらは食べた事が無いのかな?」


 聞いてみれば皆一様に首を縦に振っている。何でも、東門へ向かう者達は皆、"楽園"へと向かう者達ばかりで、東側から街に旅人が来る事は滅多にないのだそうだ。


 そして、この街に住む一般の人々は、東側に用事があるという事はあまりないらしい。つまり、この街の東側の施設は、"楽園"に挑む事の出来る実力のある冒険者達が利用するものが多いという事か。

 

今も私達の嗅覚を刺激している甘辛の匂いもそうだろう。これから危険な場所へと向かおうとしている、もしくはそういった場所から帰ってきた冒険者達の舌と胃袋を、さぞ魅了して止まない筈だ。


 匂いの元に辿り着いてみれば、宿の主人と同年代ほどの男性が薄切りにしたの長方形の肉に、甘辛の匂いがするタレを塗りたくり、それを丸めた物を六つ、串で刺してから焼いている。

 大きさからして、子供なら一本で十分満腹になりそうだな。子供達の視線が屋台の肉に釘付けになっている。


 ここはやはり、皆で食べるべく、私がいっぺんに購入しておくべきだろう。他に客もいないようだし、早速注文するとしよう。


 「こんにちは。これは、一本いくらするのかな?」

 「おう!いらっしゃい!銅貨3枚だ!ちっと高いかもしれんが、ガツンとした甘辛さが、体に効くぜ!?」

 「それなら七本頼めるかい?私もこの子達も、食べた事が無くてね。」

 「おぉっ!?中央んトコのチビ共じゃねえか!?それに竜人ドラグナムの姉チャン、昨日スッゲエ食いたそうな目で肉を見てたよな!?作ってる俺が自分でいうのも何だが、コイツぁウマイぜぇ?ああ、それと、そんだけ沢山買ってくれんなら銅貨は一枚オマケだ!20枚で良いぜ!」


 それは有難い。銅貨にもまだ余裕はあるが、特に不都合があるわけでは無いけれど、中途半端な数になってしまうのは、なるべく避けたかったからな。


 それにしても、相手側から見たら、昨日の私は、相当奇異な目で見られていたのかもしれないな。

 まさか、印象に残るほどに見つめてしまっていたとは、まるで自覚が無かった。


 「なるべく、早めに宿へ向かうために気にしないようにしたつもりなのだけれどね。自覚が無いのだけれど、そんなに印象に残っていたのかい?」

 「お、おう。直ぐ近くまで来て、じぃ~っと肉を見つめててよ?ドラゴンの牙みてえなおっかねえ歯が見えてたから、あん時ゃ、ビビッて声が掛けらんなかったわ。途中で何かに気付いたみたいに噴水の方に歩き出したが、たまに振り返ってコッチを見つめてたぜ?」


 そんなにか。自覚が無いだけで相当に興味があったんだろうな。

 だが、今思えば無理もない話だろう。私が一番最初に嗅いだ、人間の作った、美味そうな料理の匂いだったのだから。


 とは言え、匂いに釣られて無自覚に行動してしまうのは問題だな。何らかの騒ぎになりかねない。何か対策は無い物だろうか?今後の課題だな。


 代金を支払い、肉串を受け取って子供達に配れば、皆とても喜んでくれた。匂いを裏切らず、とても美味かったのだろう。早速肉にかぶりついた皆の顔は、揃って頬をほころばせていた。


 この笑顔が銅貨20枚程度で見られるのなら、安いものだ。どれ、私もいただくとしようか。


 うん、店主が言っていたようにハン・バガーに使われていた物とはまた別の、強烈な甘さと塩辛さがガツンと舌を刺激してきたな。

 これから激しい運動を行おうとしている者や、逆に体を動かして疲れ切った者達にとって、この味はたまらないだろう。

 元が板状の薄い肉であったため、内側にもタレがしっかりと行き渡っている上に、とても柔らかくて食べ易い。

 一口分の大きさとは裏腹に、とても噛み切り易いのだろう。子供達も容易に肉を噛み切れている。


 ここに、昨晩飲んだような、よく冷えた炭酸のシードルでもあれば、飛ぶように売れるのは間違いない。もしも私が昨日、匂いの魅力に抗えずにこの肉串を口にしていた場合、自分のためだけに平気で10本ほど注文していたかもしれない。

 そうなっていたら、かなり非常識で迷惑な客になっていた事だろう。昨日の私よ、よくぞ踏みとどまってくれた。


 それにしても、この街は魅力的な料理が多すぎやしないだろうか?



 食事を終えて、皆の腹も膨れたので、案内を続けてもらう事にしよう。

 今度は何処に連れて行ってくれるだろうか?マイクが武器に興味があったようだし、武器屋かな?


 「はぁーっ、食った食った。ここの肉串ってこんな味だったんだなぁ。スッゲ―美味かったぁ。」

 「そうね。でも、ハン・バガーほどじゃなかったわ!」

 「ハン・バガーと比べちゃダメだろ―。アレはこの街の名物料理で一番美味い料理だってみんな言ってるし。」

 「ノアお姉さん、肉串のお金、良いんですか?」

 「構わないよ。街を案内してくれているお礼だと思ってくれればいいさ。」

 「ありがとうございます!ノアお姉さんは、何処か行ってみたかったり、興味がある所はありますか?」

 「それなら、沢山の本が読みたいから、図書館に案内してほしいかな。」

 「任せて下さいっ!ここからだとちょっと離れてますけど・・・。みんなっ!ノアお姉さん図書館に行きたいんだって!案内しよ!」


 マイク達が肉串の感想を言い合っている間に、テッドが肉串の代金のお礼と、次の案内先に希望がないか訪ねてきた。

 やっぱりこの子は落ち着いてはいるけれど、とてもマイペースな子だな。これでちゃんと他の子達の輪に加われているようなのだから、大したものだ。


 それはそうと、次は私の希望する場所を案内してくれるらしい。

 ならばもちろん、図書館の場所を案内してもらうとも。要望を聞いたテッドが皆に声を掛けた。


 「ノア姉ちゃん、本とかいっぱい読むのか・・・。よく眠くならないな・・・。俺、本を読むのって苦手なんだよなー。」

 「何言ってるのよ。ノアさんったら、いっぺんに三つも魔術を使っちゃうような人なのよ!?それだけとっても頭も良いから、本だってたくさん読むのよ!」

 「たくさん本を読めば、ボク達も魔術が使えるようになるのかなぁ。」

 「魔術を使えるようにするのなら、まずは魔力を知るところからだね。図書館については場所が分かればそれでいいから、案内してもらった後は、少しだけ、魔力についての話をしようか。」


 子供達は皆、魔術に対して強い憧れがあるのは間違いないようだな。

 受付嬢のエリィは魔力の扱いは親や保護者が教えると言っていたが、それは大体10才を過ぎた辺りから、らしいからな。

 それなら少し早く私が教えてしまっても、問題は無いだろう。早い者はもっと早くに教わっている者もいるようだしな。

 図書館は場所さえわかれば時間がある時に訪れて読み漁れば良いだろうし、何より私が本を読み始めたら子供達が蔑ろにされてしまう。流石にそれは駄目だろう。


 そういうわけで、図書館の場所を教えてもらった後は、魔術を扱うための最低条件である魔力を理解する、とうい事を私が出来る範囲で教えようと思ったのだ。


 「えっ!?いいのっ!?」

 「教えて!教えてーっ!?」

 「みんなっ!まずはノア姉チャンに図書館の場所を教えてからだろっ!早く行こうぜってうわぁっ!?」

 「こらこら、シンシア。はやる気持ちは分からないでもないけれど、皆を置いてきぼりにしてはいけないよ?今度は誰かにぶつかって怪我をしてしまうかもしれないし、そうしたらまた女将さんに怒られてしまうよ?」

 「あぅうう、走り出す前に捕まえられちゃうなんて・・・。ノア姉チャン、やっぱりスゲェな・・・。」


 魔術を扱える足がかりが得られると知ったら、皆凄い食いつきようだった。

 特にシンシアの興奮ぶりが凄くて、直ぐにでも全力疾走を始めてしまいそうだったので、尻尾でシンシアの腰を掴んで浮き上がらせておいた。


 この娘の行動力は感心するものがあるのは確かだけれど、皆を置き去りにしてしまうせっかちなところが玉に瑕だな。

 女将さんとも話したが、成長する事で周りを見る余裕が生まれてくれる事を切に願うとしよう。


 「ハハッ、いつも俺達を置いてっちゃうシンも、ノア姉ちゃんに掛かれば簡単に捕まえられちゃうんだな!」

 「シンが走り出す前に捕まえちゃうなんて、女将さんにも出来なかったわ!改めてみると、凄いシッポよね!」

 「ノアお姉さん、そのままシンを捕まえててもらって良い?多分、シンは放しちゃうと直ぐに走って行っちゃうよ?」


 皆、いつもシンシアに置いてきぼりを食らっていたみたいだからな。それが事前に防がれたことで今までの溜飲も多少は下がった事だろう。

 シンシアには少し辛いかもしれないが、このまま移動させてもらうとしよう。



 図書館の場所は街役所の向かい側にあると門番が言っていた通りだった。

 街役所が西大通りの近くに建てられていたのだが、そこに向かい合うように"囁き鳥の止まり木亭"と同じぐらいの規模の施設が建っていたのだ。

 丁寧な事に、施設の門上部には看板が立てかけられており、そこに"イスティエスタ図書館"と大きく書かれていた。


 文字が読めなければここが図書館とは分からないだろうが、そもそも、文字を読めない者が図書館に用があるとは思えないからな。

 この看板の文字が読める事が、この図書館に入る必要最低条件じゃないだろうか?


 「ここが図書館か・・・。そういえば、皆は文字の読み書きは出来るのかな?」

 「アッタリ前だろ!この街の生まれの奴は皆文字を習うんだぜ!」

 「小さな村から冒険者になりに来るような人達は出来ない人が多いらしいわね!それに、覚えようともしないって聞いたことがあるわ!」

 「もったいねーよなー?文字が読めなきゃ、オレ、まともに家の仕事の手伝いも出来ねえぞ?」


 ああ、やっぱり文字の読み書きが出来ないと、この社会で苦労すると予測したのは間違いでは無かったようだ。

 だが、それでも覚える必要性を、彼等は感じないのだろうな。覚えなくとも、冒険者という職業があるのだから。


 まぁ、赤の他人の事など、気にする事は無い。図書館の場所も覚えた事だし、この子達に魔力について少し教える事にしよう。


 というか、マイクは本を読む事に拒否感があったように見えたが、決して読めないというわけでは無いのだな。


 「案内をしてくれてありがとう。それじゃあ、早速魔力について教えよう、と言いたい所なのだけれど、流石に図書館の入り口でそんな事をすれば迷惑になるからね。何処か、広い場所があれば教えてもらって良いかな?」

 「任せてくれよ!またちょっと離れた所になるけど、今ならあんまり人もいないし、十分な場所が確保できるぜ!」

 「へへへっ、帰ったらジェシー姉をビックリさせてやるんだ!・・・で、ノア姉チャン、オレってまだこのまんまなの?」

 「ノアさんがやったみたいな虹を出す魔術が出来なくても、水が出せたり、風を起こしたりできたら、最高ね!」


 皆楽しみにしているようでなによりだ。直ぐに魔術が使えるようになるわけでは無いが、この子達は皆文字の読み書きが出来るのだ。

 しっかりと魔力を認識し、魔力の操作を練習していけば、将来必ず魔術を覚えるうえで役に立つことだろう。


 そしてシンシア、君の今の状態からして、放してしまったら確実に一人で走って行ってしまうだろう?悪いけれど、今しばらくこのままにさせてもらうよ?


 ちなみに、今シンシアが言っていたジェシー姉というのは、彼女の実の姉であり、本名はジェシカという。気の強い女性で、昨晩、シンシアが私にしか対応していなかったのを見て、シンシアの頭に拳骨を落としていた。


 率直な感想として、女将さんをそのまま若くしたような女性だった。シンシアにとって、一番頭の上がらない人じゃないだろうか。

 私にも、あまり仕事中のシンシアに構わないで欲しいと注意されてしまった。

 いや、まあ、シンシアと話をし続ける事で、彼女の仕事を止めていた私が全面的に悪いから、文句は無い。


 さて、そんなジェシカを驚かせてやるためにも、皆の案内に従って、広い場所へ向かうとしようか!

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