オルディナン大陸へ往く!!
第573話 お互いに報告しよう
ホーディがエプロンを身に付けてる…。
凄いぞ!想像以上に可愛いじゃないか!
ラビックに服を着せようと思っていたら、まさか先にホーディが衣服を身に付けていたとは…!なんというサプライズだ!
今すぐホーディに抱き着きたいが、残念ながらそれはできない。
何故ならば彼は現在料理を配膳中なのだ。
ホーディの両手には現在彼のサイズに合わせて作られた大皿が乗せられていて、更にその大皿には山盛りのチャーハンが盛り付けられている。
非常に食欲をそそる香りで何とも美味そうだ。
ホーディがエプロンを着て出来立てのチャーハンを運んでいると言おうことは、まさかこの子が作った!?料理を覚えたのか!?
本当に凄いな!味の方はどうなんだろう!?ご機嫌な様子だし、やっぱり美味いのか!?
どうしよう、家に帰って来てすぐに嬉しさで胸がいっぱいになるだなんて全く予想できなかった。
ラビック達も帰って来てすぐに食事ができるとは思っていなかったようでとても驚いている。
〈すごーい!ここにある料理全部ホーディが作ったの!?ボク達もコレ食べて良いの!?〉
〈美味しそうだわ!早く食べましょ!〉〈帰って来たらゴハンがあるのよ!嬉しいのよ!〉
〈…私達が旅行に行っている間に、ホーディは新しい道を見つけたようですね…。私も負けていられません…〉
ラビックが対抗心を燃やしている…。今のラビックなら自分からフレミーに服を要求するのかもしれない。
しかし、ラビックがホーディに対抗するとして何を始めるつもりだろうか?既に何かやりたいことを思い浮かべているようにも見えるが…。
もしかしてホーディと一緒に料理でも始めるつもりだろうか?
エプロン姿で料理をしているラビックの姿を想像してみよう…。
あっ!良い!思った以上に良い!可愛い!ルイーゼと一緒に騒ぎたくなるぐらいに可愛い!
これは堪らないな!ラビックが料理をしたいと申し出るのなら、喜んで私は支援しよう!
いつかホーディとラビックと私で一緒になって料理を作ってみるのも良いかもしれない…。
ああ!いいぞ!ちょっと想像してみただけだというのに、悶絶してしまいそうな光景だ!こんな状態ではまともに料理なんてできる気がしない!
調理作業をしているホーディやラビックの姿が可愛すぎてその場で抱きしめてしまいそうだ!
〈主よ、どうしたのだ?既に食卓には料理を並べられているぞ?食べぬのか?〉
「ああ、ごめんごめん。勿論いただくよ。帰って来たら急にホーディが凄い格好をしていたから、びっくりしたんだ」
〈そうか!びっくりしたか!見ての通りフレミーの品だ!似合っているか!?〉
「勿論。とても可愛いよ」
感動して固まっている場合ではないな。ホーディの自信作を是非とも堪能させてもらうとしよう。
ああ、何て幸せな時間なのだろう…。
私を慕ってくれている者が、私の可愛い配下が、私のために美味い料理を作ってくれただなんて…。
ホーディの作ってくれた料理がどれも文句無しに美味い!
この子は強火で一気に過熱する料理を得意とするようだ。それでいて火加減焼き加減を見極めている。実に見事だ!
他の子達も美味そうにホーディの作った料理を食べているな。
家に残っていた子達なんかはホーディの料理の美味さを知っているからか、食べるペースが早い。
〈ホーディが料理を作ってくれるようになったおかげでこの広場が賑やかになったよ!〉
〈あれ以来、ホーディに料理を教わりに来る精霊もおりましてなぁ…。この地に儂等以外にも料理を知る者が増えて活気に満ち溢れておりますぞ〉
〈我が教えてばかりというわけではないがな。我も精霊達から教わることも多い。主よ、料理とは奥深いものであるな〉
そうか…。この広場に住む精霊達まで料理を…。
将来はこの広場で人間達の国にも負けないほどの文明が築けるかもしれないな。勿論、すぐにとはいかないが。
「とても美味しいよ、ホーディ。私が旅行に行っている間に、よくこれだけの腕を身に付けたね」
〈グハハ!実は主から提供された我の分の料理が早々に底をついたのが始まりでな!少しでもあの味を味わえないかと思った際に、自分で作ればいいという結論に至ったのだ!〉
うんうん。無ければ作ればいい。創作に置いて大事な発想だな。それをホーディは実施して見せたということか。
素晴らしい!ただ、ホーディの食欲を見極められずにこの子が満足できる量の料理を渡せていなかったのは、反省すべきだな。
結果的にホーディが料理に目覚めてくれたとしても、悲しい思いをさせたのは間違いないのだ。今後はこの地に残る子達にもっと沢山の料理を―――
〈姫様。また私達を甘やかそうとしていませんか?〉
「ええ?いや、ホーディに渡す料理の量が少なかったみたいだから…」
〈気持ちは嬉しいがな、主よ。我が我慢すればよかっただけの話なのだから必要が無いのだ。ただの甘やかしであるぞ?〉
〈それに、きっとホーディはあるだけ食べちゃうもんね〉
〈む……。まぁ、そういうことだ。それに今後は食べたくなったら自分で作れるのだ。気遣いは不要である〉
なんてこった…。もう、皆に私の料理を渡すことができなくなってしまうのか…。
〈ノア様落ち着いて。ノア様の料理が要らないわけじゃないから。今まで通りの良を渡してくれればそれで良いよ〉
〈その通り。おひいさまは今まで通りでよろしいのです〉
ああ、そうか。甘やかすのが駄目であって料理を渡さないでほしいとは言われていなかった。変に早とちりをしていたようだな。
ところで、今並べられている食器は私が人間達の国から持って来た物ではない。どれも初めて見る物ばかりだ。
これはやはり、ゴドファンスが用意した物だろうか?
〈ほっほっ!お分かりいだだけますか!いやはやホーディの作る料理の匂いの香しいことといったら、儂の創作意欲にまで刺激しましてな!しばらく食器しか作れませんでした!〉
〈私もすぐにホーディ用のエプロンを作ったよー〉
胸の中が暖かさで満たされていくのを感じる。
それはホーディの料理の熱ではない。いや、確かに料理は熱いし私の胸の中に熱を伝えているが、そういう話ではないのだ。
ウチの子達が自らの意思で協力し合って1つのことを為し遂げているのが、とても感動を覚えるのだ。
自分達が趣味や仕事として得意にしていることで助け合ったのだから、なおさら感動を生むのである。
そうだ。ホーディのエプロン姿が衝撃的だったので忘れてしまいそうになっていたが、フレミーにラビックの服を作ってもらうように頼んでおこう。
〈ラビックの服?ラビック、何か服を着たいの?〉
〈私が着たいと言いますか、姫様やルイーゼ陛下が私が服を着た姿を望まれまして…〉
〈ふーん。ねぇノア様、ラビックにどんな服を着せたいの?〉
ラビック用の服を着せることに特に反対しないようなので、私とルイーゼの要望をそのまま伝えておこう。
〈ふんふん…。分かった、作っておくね。ホーディのエプロンが似合ったんだからきっとラビックも似合うと思うよ!期待して待ってて!〉
〈ありがとうございます〉
フレミーが作る服はどれも質が良いからな。しかも複数のファッション誌を参考にデザインも人間や魔族の流行を捉えながらも独自性のあるデザインに仕上がっている。
ラビック用の服の完成が楽しみだ。完成したら服を着たラビックの絵を沢山描いてルイーゼに送ってあげよう。
食事を終えた後は恒例のお土産タイムだ。魔王国で体にいれた数々の品物を取り出して家に残った子達が喜びそうな品を渡していく。
〈陛下は我等にも使えそうな家具を用意して下さったのだな。コレほど巨大な家具を作るのは苦労しただろうに、ありがたいことだ〉
〈ほほう…この粉末を湯に投入することで普段とは変わった風呂にできるのですか…〉
〈お酒♪お酒♪魔王国のお酒♪〉
― いろんな本がいっぱいあるねー。どれから読もうかなぁ ―
〈ひょぉおおおおお!!!今回も妾に大いなる栄誉を与えていただき、感謝感激に堪えませぬぅううううう!!!〉
ホーディが特に喜んだのは、タンバックにて作られていた銘木を使用した家具だ。
家具は私とウチの子達の全員分用意してくれたのだが、ホーディはその中にあるロッキングチェアという椅子を気に入った。
椅子の脚の下に、カーブをつけた板が2本取り付けられていて、身体や足を揺らして身体の重心を前後させて椅子を前後に揺らせられるのが特徴だ。
ホーディがロッキングチェアを気にったのは、この揺れが心地よかったからのようだ。
ちなみに、後日ロッキングチェアで寛いでいるホーディの姿が非常に可愛らしく、腹の上に寝転がってみたのだが、あまりにも心地良くていつの間にか眠ってしまっていた。
フカフカな感触に全身を包まれ、優しく体を揺すられれば、ある意味当然の結果だったな。
ゴドファンスは温泉の素が気に入ったようだ。
魔王国で体験した温泉。どうにか家に帰ってからでも楽しめないかと考えていたのだが、ルイーゼが温泉の素なる道具を紹介してくれたのだ。
その名の通り温泉に含まれる成分を抽出した粉末であり、ふろの湯に溶かせば温泉として楽しめるという品物だ。
素晴らしい商品だとルイーゼを絶賛したのだが、彼女曰く完全に温泉を再現できたわけではないらしい。あくまでも温泉気分を楽しむための品だと注意を受けた。
それでもゴドファンスとしては普段の風呂との違いを明確に理解できたようで喜んでいた。
今度魔王国へ往く時は彼も一緒に連れて行こう。
フレミーは相も変わらず酒だ。
魔王国でも私達が知らない酒が大量にあったからな。勿論購入したとも。
ちゃんとフレミーだけでなく他の子達にも渡している。単純にフレミーが一番喜んだのが魔王国の酒という話だ。
そして何より、複数の酒や飲料物を混ぜ合わせて新しい味を作るという行為に非常に強い興味を持った。
〈魔族って凄いこと考えるねー。相性の良い飲み物や果物を探すの、凄く大変そう…。でも、とっても美味しい組み合わせを見つけたら…きっと凄く達成感あるんだろうなー…〉
「それなら、時間のある時にでもいろいろな組み合わせを試しながら飲んでみようか」
〈賛成!エへへ…!ノア様と一緒にお酒飲めるのも嬉しいけど、一緒になってアレコレ試すの楽しみ…!〉
私も楽しみだ。今の私達には沢山の素材があるからな。思いついた組み合わせをドンドン試していこう。
…一応これも料理に含まれるなら、ホーディも誘ってみるか?
〈う~んどうだろう…。ホーディは火を使う料理が好きみたいだけど…。お酒も好きだし、誘った方が良いのかな?〉
〈聞こえていたぞ?何やら非常に興味深い話をしていたな。その話、我だけでなくおそらくゴドファンスも参加したがる筈だ〉
「それなら、皆で好きな酒の組み合わせを考えるとしようか」
参加は自由。好きな時に好きな酒を好きなものに混ぜて味を確かめてみよう。思わぬ発見があるかもしれない。
ヨームズオームが一番喜んだのは、ヘルムピクトで購入した小説だった。
現実架空問わず話が好きなこの子にとって大量の長編小説はとても嬉しい土産となったようだ。
こうなって来ると、やはりヨームズオームもヘルムピクトへと連れて行きたくなるな。
今回も"追憶の宝珠"を用いて私の記憶を疑似体験してもらうが、やはり実際にあの都市を体験してみたくなるのは間違いないだろうからな。
ただでさえヨームズオームにはこの地に留まり続けてもらっているのだ。私が正体を世界中に公表した暁には、この子を様々な国へと連れて行こう。実際の旅行先の光景を見てもらい、様々な感動を知ってもらうのだ。
ラフマンデーにはもはや恒例となってしまった植物の種子や苗が一番喜ばれた。
毎回同じお土産で少し申し訳なく思うのだが、これが彼女の一番望むお土産だと彼女自身から直接言われているのでこれで良いのだ。勿論、皆に配ったお土産もラフマンデーには渡している。
そして最後、オーカドリアなのだが…。
「どれも嬉しいよ。ありがとう」
「なにかこう、特に嬉しい物とかないの?」
「うん。ノアが持って来てくれた物だから、どれも全部とても嬉しい」
その喜びの感情は本物なのだろうが、特にこれが好きというものはなかったようなのだ。
まぁ、仕方がないと言えば仕方がない。
会話ができるようになったとはいえ、自由に動けるオーカドリアは現状コアパーツである球体の身体だからな。
好き嫌いを付けられないのかもしれない。
となれば、これから私が優先してやるべきことは決まったな。
オーカドリアの身体を完成させよう。
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