第199話 オーカムヅミ
ヴィルガレッドとヨームズオームの微笑ましいやり取りを眺めていると、ヴィルガレッドが不意に右前足を私のすぐそばまで近づけてきた。
「して、ノアよ。」
「ん?何?」
そして私に声を掛けたかと思うと、指を弾いて私の額に爪を当ててきたのだ。
「あだ。」
与えられた衝撃は凄まじく、魔力を纏った状態だと言うのに額に軽く痛みを感じ、少し首が後ろへと仰け反ってしまった。
流石は
ちなみに、ヴィルガレッドほどの強い力を持った巨体がデコピンを放てば、本来は非常に広範囲にその影響を及ぼす筈なのだが、彼の放ったデコピンは魔法か何かを使用したのか、私の額にのみ影響が現れた。
つまり、私が抱きしめて宥めている、意気消沈したルイーゼには全く影響が無かったのである。
「そなた、その娘っ子に余が何者かを告げずに連れて来たであろう。」
「うん。驚くと思って。」
ルイーゼに対して悪い事をしている自覚はあったのだが、どうにも感情を抑えられなかった。
彼女は私との力関係を理解していながらも、私に遜る事なく、対等の存在として私に接してくれているのだ。
私にとっては、この上なく嬉しい対応だった。それこそ、彼女に対して強い友情を抱くほどに。
ルイーゼとのやり取りが、心地よかったのである。
だからだろうな。ルイーゼの私に対する遠慮の無さが、彼女に対しての気遣いを失わせ、私に悪戯心を生み出させたのだ。
が、流石に調子に乗り過ぎたらしい。今のルイーゼは、ヴィルガレッドを前に、若干正気を失った状態になってしまっている。
「伝えてから連れて来ぬか、この馬鹿者が。その娘っ子がそなた等にした事を考えれば、思うところもあるやもしれぬが、限度というものがあるであろうが。すっかり怯えてしまいおって、可哀想に…。」
「まぁ、今のルイーゼを見てしまったら、流石にやり過ぎたと反省してるよ。」
怒られてしまった。ヴィルガレッドに怒られるのはこれで二度目だ。
彼もまた、私に対して遠慮無しに接してくれ、そして今みたく悪い事は悪いと叱ってくれる、とても有り難い存在だ。
今の言葉に訂正は無い。反省して、今後はやり過ぎないように注意しよう。
「ルイーゼ、ゴメンってば。ヴィルガレッドも貴女に味方してくれてるよ?そろそろ起きて?」
「無理よぉ…。私にどうしろっていうのよぉ…。もう、煮るなり焼くなり好きにしなさいよぉ…。」
駄目だ。すっかり弱気になってしまっている。先程の私達の会話も今のルイーゼの耳には入っていなかった様子だ。
先程までヴィルガレッドの宝物に夢中になっていたヨームズオームもルイーゼの異変に気が付き気になったようだ。
―ルイーゼどうしたの~?具合悪い~?―
「ヴィルガレッドが凄く大きかったから、ビックリしてしまったんだよ。」
―そうなの~?ヴィルおじちゃん、怖くないよー?―
「うむうむ。坊は良い子だのぅ!このおおらかさ、どこぞの幼き姫にも見習ってもらいたいものだのぉ!そうは思わぬか?ん?ノアよ?」
非道い言われようだ。それに加えてヴィルガレッドは愛称で呼ばれて今まで以上に上機嫌である。調子に乗りに乗っていると言っても良い。まぁ、調子に乗るだけの事なのかもしれないが。
私に対しての皮肉は一応冗談だと分かっているから、その事に対して特に言及するつもりはない。
それよりもルイーゼだ。
このままでは皆に酒や料理が振る舞えない。どうしたものか。
「仕方が無いのぅ。ここは一つ、余が威厳というものを見せてやるか。」
そうは言っているが、実際にはヨームズオームにカッコいいところを見せたいだけだと思う。下心が丸分かりだ。
だが、それでルイーゼが正気に戻るのなら、頼らせてもらおうじゃないか。
ヴィルガレッドが姿勢を正し、表情を引き締めてからルイーゼに向けて思念と共に声を送る。
「〈いつまで呆けておるか!気を確かに持て!テンマの末裔よ!そなたそれでも魔を統べる者かっ!?〉」
「はぅっ!?」
おおっ!ヴィルガレッドが声を掛けただけでルイーゼが正気に戻った!
いやはや、声と共に思念も同時に送るとは、どちらかで意思の疎通が出来ればそれで十分だと思っていたから、こんな方法は考えつかなかったな。
いや待てよ?よくよく考えてみれば、私は家の皆と会話をする時は常に同じような事をやっていた筈だ。
だとしたら、アレはただ思念と声を同時に送っているだけでは無いという事か。
「〈ようやっと戻って来おったか。今のそなたの不甲斐なさをテンマが見れば、どのような顔をするであろうな?〉」
「お、お見苦しいところをお見せしましたっ!」
「〈うむ。そなたはまだ若いとは言え、既に今代の魔を統べる者である。あまり不甲斐ない姿を晒す出ないぞ?精進するがよい。〉」
「はいっ!」
威厳を見せると言うだけあって、確かに今のヴィルガレッドはカッコ良かった。
アレならヨームズオームも喜ぶんじゃないだろうか。そしてあの子が喜んだ姿を見て一瞬で威厳の欠片も無い姿になりそうだ。
―ヴィルおじちゃん、かっこいいー!―
「そうであるか、そうであるか!まぁ、余は竜帝、ドラゴンの頂点に位置する者ゆえな!坊がそう思うのも無理はあるまいて!クァ―ッカッカッカ!!」
うん、知ってた。思った通り先程の威厳に満ちた竜帝の姿はどこにも無い。再びだらしのない表情をして高笑いをしている。
正直、気持ちが分からないわけでは無いのだ。ヨームズオームはとても可愛いし、ヴィルガレッドは自分の子を可愛がる前に失っている。
裏表のない純粋な好意と憧れを持ってあんな可愛い子に慕われたら、誰だって調子に乗ると思うし、可愛がるし甘やかすと思うのだ。
「ええぇ…。さっきまでの威厳に満ちた竜帝様は何処に…。」
「だから言ったじゃないか。怖くないよって。」
「…それとこれとは、話が別よ…。」
ヴィルガレッドの豹変ぶりにルイーゼも拍子抜けしてしまっている。
もう大丈夫だろう。すっかり調子を取り戻したみたいだ。良かった良かった。
しかし解せない事がある。本人に直接問い質してみよう。
「ねぇ、ルイーゼ?」
「何よ。」
「ヴィルガレッドよりも私の方が力関係は上なのに、どうして彼に対しては畏まった態度をとるの?」
ルイーゼの私に対する態度が不満と言うわけでは無い。むしろそのままでいい。
ただ、彼女がヴィルガレッドに対しても私と同じような態度を取らない事が不思議なのだ。
「そりゃあ、威厳よ、威厳。竜帝様には長い年月ドラゴンの頂点にい続けた経歴があるから、その分威厳もしっかりあるのよ。」
「あの姿に威厳はある?」
なるほど、威厳ね。ゴドファンスが私に身に付けて欲しいものの一つだろうね。
ルイーゼの言い分だと、組織の頂点と言う立場にい続ければ、いずれは身につくものなのだろうか?
それはそうと、ヨームズオームを可愛がっているヴィルガレッドには威厳のかけらも感じられないのだが、ルイーゼはあの姿に威厳を感じているのだろうか?
「………。」
「目を逸らすって事は、ルイーゼから見ても威厳を感じないって事でいい?」
「いちいち言わなくて良いわよ…。」
感じていないようだ。良かった。こういう部分での私とルイーゼの感性はあまり変わりがないようだ。
それはそれとして、いよいよもってルイーゼが私に抱きかかえられている事に対して不満を抱くようになってしまった。
「で?何時まで私はこうされてなきゃならないの?いい加減、放してくれると嬉しいわね?今更逃げたりなんてしないわよ?…逃げ場も無いし。」
「むぅ…分かったよ…。」
「何でそんなに不満そうなのよ…。」
不満にもなるとも。正直に白状すると、ルイーゼは抱き心地が良いのだ。彼女の髪から香る匂いも好みの匂いだし、マントの肌触りも悪くなかった。
…いかんな。ここ数日間ルイーゼを抱きかかえ続けていたせいで、いざ彼女を手放すと、左腕が手持無沙汰に感じて落ち着かない。
やっぱり抱きかかえさせてくれないだろうか?
「ううむ…。何かを抱きしめてないと、無性に寂しさを感じるね…。」
「赤ん坊かっ!?ああいや、アンタ生まれたてだったわ。もぅ!何だって変なところで子供っぽくなるのよっ!?」
何故と言われれば、さっきまでずっとルイーゼを抱きかかえていたからなのだけど、それを言ったら逆効果になりそうだな。
かと言って、今のルイーゼは抱きしめさせてくれなさそうだし、この気持ちを紛らわせるために幻でオリヴィエを抱きしめたら、確実に不審に思われる。
現在彼女の周りには、多くの人の目があるのだ。唐突に抱きしめてしまったら目立ってしまって仕方が無い。
どうしたものかと悩んでいると、大きな影が私の顔にぶつかった。
大きさはルイーゼよりも一回り小さいぐらいだろうか?
感触はフカフカとしていて柔らかく、それでいてそれなりの弾力がある。思わず抱きしめてしまったが、とても抱き心地が良い。
フカフカに顔を埋めて心地良さを堪能していると、このフカフカの正体をルイーゼが教えてくれた。
「あげるわ。私が小さい頃に使ってたぬいぐるみよ。」
「ああ、コレがぬいぐるみというものなんだ。良いのかい?」
私が抱きしめているこのフカフカは本で読んだ事のある、ぬいぐるみという愛玩物のようだ。
大きさからして、ぬいぐるみの中でも抱きぐるみと呼ばれる部類の物のようだな。
とても状態が良いので、ルイーゼも大事にしていた物の様に思うのだが、貰ってしまって良いのだろうか?
「もう抱きしめて寝るような年齢でも無いし、他にもぬいぐるみはあるもの。」
「…ありがとう。とても嬉しいよ。」
嬉しくなってルイーゼを尻尾で手繰り寄せて抱きしめる。
彼女との最初の接触は最悪にも等しい接触だったのは違いないだろうが、私にとって彼女は、最早かけがえのない友と言える存在だ。
「だぁ!かぁ!らぁっ!!抱きしめるんなら!ソレを抱きしめなさいっつってんのよぉおおおおおっ!!」
無理だ。それとこれとは話が別だもの。ぬいぐるみは確かに抱き心地が良い。
だが、今ルイーゼを抱きしめているのは純粋に感謝の気持ちを表しているからだ。
もう少しだけこのままでいさせてくれ。
私の感動が収まるころ、ヨームズオームもちょうどヴィルガレッドからもらう宝物をどれにするかを決めたようだ。あれだけ大量に会った宝物の中から、良く選び抜いたものだ。
―ヴィルおじちゃん、ありがとー!大事にするねー!―
「うむうむ、坊はちゃんと礼が言えて偉いのう!して坊よ。そなたは『収納』を使用する事は出来るかの?」
―うん!ノアが教えてくれたよー!―
3日間の間に私がヨームズオームに教えていたのは縮小化だけではない。
私が紅茶や食事を『収納』から取り出すのを見て、自分も使えるようになりたいと言ってきたから教えたし、空中でも行動できるように魔力による足場を形成する術も教えている。
今は地に体を付けているが、今のヨームズオームは魔力の足場を利用して、空中を自在に移動できるようになっているのだ。
「そうかそうか。では、帰る時はしっかりと『収納』に仕舞っておくのだぞ?」
―うん!分かったー!―
「……習得しておらねば、余が教えたのだがのぅ…。」
微笑ましい光景である。だがヴィルガレッド。こっちを見て露骨に悔しそうな表情をしないでもらえないだろうか?
そんなにその子と触れ合いたいのなら、さっさと縮小化してしまえばいいのに。きっと興味を持って、絡まってくれるよ?
そんな風に思いながらヴィルガレッドの悔し気な視線をあしらっていると、ルイーゼから声を掛けられた。今度は何だろうか?
「で?ノア。アンタが私達を此処に連れてきたのは、私達に何かを振る舞いたかったからなのよね?今のところ、人間には誰にも振る舞っていないそうだし、期待しても良いのよね?」
おお!ルイーゼからその話を振ってくれるとは!有り難い。それでは、早速振る舞わせてもらおうか。
ああ、だけどその前にヴィルガレッドには小さくなってもらわないと。
ヴィルガレッドに視線を送れば、先程のルイーゼの言葉から、私が何かを振る舞わないのは自分の体のサイズが原因だと気付いたようだ。
「む?アレには労力を使うのだがのぅ。まぁ、良かろう。だがノアよ。余を納得させるだけの品を出すのだぞ?」
―ふおおぉー…ヴィルおじちゃんがドンドンちっちゃくなってくー。―
言いながらヴィルガレッドは体のサイズを以前の様に縮めていく。
ヨームズオームにとって他者の体が小さくなるところを見るのは初めてのためか、とても感心している。
さて、相応の品を求められたのだから、最初からとっておきを提供させてもらおうか。私は未だにコレを越える果物を知らないのだ。
「勿論。味は期待して良いよ。皆なら問題無く食べられるだろうしね。」
そう言って私は好物であるあの果実を私を含めた全員分、4つ取り出す。
ここにいる誰もが私が提示した果実を見た事の無かったようで、私を除いた全員が首を傾げている。
「コレは、私の家の周囲にある樹木が実らせている果実でね。とてもみずみずしくて甘いんだ。私が一番最初に口にした食べ物でもあるよ。」
「ら、"楽園深部"の…道理で見た事が無い筈だわ…ゴクリ…。」
―甘い匂いするー!美味しそー!―
「ほぉぅ…。なるほどのぅ…そなたが余に縮小化を求めるのも頷ける。何という芳醇な香りであるか…。」
皆に一つずつ果実を配り終えると、そのまま私は自分の果実を丸かじりする。
久しぶりの至福の味わいに、思わず尻尾が揺れてしまう。ああ…。やはりこれに勝る果実は無いな。
決めた。家に帰ったらこの果実を使ってパイやフルーツタルトを作ろう。冷やしても美味かったのだから加熱してもきっと美味い筈だ。
他の皆の様子を見てみよう。是非感想を聞かせて欲しい。
「ぬ…。なかなかに皮が硬いの…。だが!牙を突き立てた際に皮から溢れ出るこの果汁の味よ…!うむ!ノアの言葉に偽り無し!実にみずみずしく、それでいて甘美な味わい!実に天晴である!!」
―んぐんぐ…硬いねー。でもとってもいい匂いー…。んー…ん!割れた割れたー!ふ、ふおおぉー…。すっごく甘い~!おいしーっ!!―
「なに、これ…っ!かっっった!!?何なのコレ!?何でアンタは平然とかじりつけてんのよ!?」
ヴィルガレッドは問題無く食べられているようだな。皮を齧るのに少し手間取ってはいるものの、しっかりと齧る事が出来ている。
…いやいや、ヴィルガレッドの顎の力で簡単にかみ砕けないって、どれだけ硬いんだあの果実の外果皮は。
ヨームズオームは噛み砕かずに飲み込んでから体内で押しつぶしたようだ。
あの子の体内には味覚があるらしく、果実を潰した事で溢れ出た果汁の味を存分に楽しんでいる。とても幸せそうな表情だ。
そしてルイーゼ。『収納』からナイフを取り出して皮を剥こうとしたのだが、外果皮にはまるで傷が付いていない。外果皮の耐久力に驚愕してしまっている。
「ルイーゼ、良かったら切り分けようか?」
「結構よ!魔王を舐めるんじゃないわよ!」
果実を『収納』から取り出した皿の上に置き、ルイーゼは深呼吸した後、精神を集中させて果実に向けて素早く手刀を放つ。
すると、果実は皿ごと真っ二つに切り裂かれ、果実からは濃厚な香りが辺りに一面に広がった。お見事。
「皮の上からでもあんなに良い香りだったものね。半分に切り分けたら、そりゃここまで強い香りが漂うわよねぇ。んふふ…!いただきまぁす!」
切り裂かれた果実を手に取り、『収納』からスプーンを取り出して果肉をくり抜き口に運べば、ルイーゼは口の両端を吊り上げ目を閉じてその味を堪能する。
「~~~~~っ!!何っなのコレっ!?こんなに美味しい果物、今まで食べた事無いわよ!?それにこの果実が内包してる魔力っ!人間なら一口食べただけで魔力が全回復しちゃうわね!」
何と。確かにあの果実には大量の魔力が含まれているわけだが、私も家の皆も特に魔力に困る事が無かったから全然気にした事がなかったな。
しかし、一口食べただけで魔力が全回復か…。
「ちなみに、その果実を人間が丸々1個食べたら、どうなると思う?」
「え?…んー、そうねぇ…。まぁ、何ともないって事はまずありえないわよね。最上の場合は、魔物で言うところの進化を果たせるかもしれないわね。」
「最悪の場合は?」
「死ぬに決まってるじゃない。こんな大量の魔力を一気に体内に取り込んだら、人間の体じゃ耐えられないわよ?」
…人間にとってはとんでもない劇物だったようだな。気軽に提供しようなどと思わなくて本当に良かった。もしも人間に振る舞うのなら、一切れ程度が限界だな。後は、果汁を使った菓子にするぐらいか。
果実をどうやって人間達に振る舞おうかを考えていると、ヴィルガレッドから至極尤もな質問を投げつけられた。
「で、ノアよ。この実に素晴らしい果実。名は何と言うのだ?」
「ん?特に決まっていないよ?だから私もコレは単純に果実と呼んでるんだ。」
「こんなに美味しいのなら、アンタ以外の"楽園"の住民だって口にした事はあるんじゃないの?ソイツ等は何て呼んでたのよ?」
幸せそうに果肉をスプーンですくって食べるルイーゼからも質問が来る。なるべくその質問には答えたくないんだけどなぁ…。
聞かれたからには答えないと、だな。
「"死者の実"だよ。」
「ブフゥッ!?」
「吹き出さないでよ。もったいないなぁ。」
だから答えたくなかったんだ。味に反してあまりにも不穏な名前だったからな。
「アンタ…!なんてもんを私達に…!」
「いや、ルイーゼも知っての通りとても外果皮が固くてね。私以外では傷付ける事すら出来なかったから、家にいる皆も私と関わるまでは食べた事が無かったんだ。生き物は死んだら土に還るだろう?果実も誰にも食べられる事のないまま土に還るから、死者が死後の世界で食べるものだって伝わってたみたいだよ?私達にとって毒性が無いのは、食べたルイーゼにも分かるだろう?」
「…そうね…はぁ…思った以上にヤバイ果実だったわけね…。まぁ、竜帝様ですら硬いって感じる皮だものねぇ…。」
果実の事を知ってもらったので、いよいよこの果実を提供した理由を告げさせてもらおう。
ヴィルガレッドやルイーゼなら、きっといい名前を付けてくれるはずだ。
「実を言うと、皆にコレを提供したのは、この果実に名前を付けて欲しいからでもあるんだ。何かいい名前は無いかな?」
聞けば、まるで時間を掛けずにヴィルガレッドとルイーゼの口が同時に開く。
「「オーカムヅミね(であるな)。」」
―おおぉー…。一緒に答えたー。―
どういう事だ?とてもいい名前であるのは分かるが、同時に同じ名前が出てくるという事は、思い当たる果実があったという事だろうか?
でもヴィルガレッドもルイーゼもこの果実を見るのは初めてだったみたいだし。
?
本当に、どういう事だ?
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