第211話 レオンハルトの胸中

 ある程度ジョッシュも落ち着きを取り戻したので教会の中央部に戻り、私とオリヴィエの寵愛について説明する事となった。


 ジョッシュが勢いよく教会に戻って行ったという事もあり、教会の外にいた街の住民達も教会に集まってきてしまっている。


 そんな状況で私達の寵愛について説明をした結果―――



 「す、すげぇーーーーーっ!!!二柱の神から寵愛を授かるなんて、俺、聞いた事ねぇぞ!?」

 「い、いや、一応アドモゼス歴以前に極少数確認された事があったはずだ!」

 「ソレってもう!伝説とかおとぎ話とかそういう次元の話じゃないか!」

 「そんな凄い人がこの国に…っ!この国で…っ!なぁっ!?これって、凄い事だよなぁっ!?一大ニュースだよなぁっ!?」

 「記者ギルドって無事なのかっ!?急いで新聞にしてもらおうぜっ!」

 「は、早くギルドからキャメラ持って来いっ!!明日の新聞は増刊だぁ!!」



 まぁ、概ね予想通り、凄まじい熱狂ぶりだ。人間達の五大神に対する信仰心は非常に大きい。その五大神からの寵愛を受けた者が二人も、しかも片方は二つも所持しているのだ。


 これでオリヴィエの正体が知られていたら、今以上の騒ぎになっていたのは間違いない。いや、それどころの話では無いだろうな。特定の所属している国が無い私と違って、この国の王族だ。国の代表としての一面がある。


 そんな人物が天空神からの寵愛を受け取っていると分かれば、国を挙げての祭りが起きていただろう。いや、一通りファングダムが抱えている問題が片付いたら実際にオリヴィエの正体を公表するのだ。国を挙げての祭りが起こるのはほぼ確定していると言って良いだろうな。



 これだけの熱狂だ。教会内に響く歓声は相当なものとなっている。それこそ、教会内部が微弱な振動を起こしているほどだ。

 それだけの大音量が自分の傍で発生していれば、流石に意識を戻さずにはいられなかったのだろう。

 元より彼の肉体は元の健康な状態に回復していたのだ。後は時間の問題だったと言える。


 レオンハルトの意識が回復した。

 流石に今の状況を飲み込めていないようだ。無理もない。自分が教会に運ばれてきた事すら、彼にとっては朦朧とした意識の中での出来事だったのだ。

 目が覚めたら歓声に包まれているという状況は、訳が分からないだろうな。


 レオンハルトの近くに『幻実影ファンタマイマス』の幻を出して彼に近づき、声を掛ける。


 「気が付いたね。気分はどうかな?ああ、始めまして。知っているかもしれないけど、私は"上級ベテラン"冒険者のノアだよ。」

 「……そなたは…私の記憶が確かならば、緑と紫の光沢を放つ髪と鱗を持つ、と聞いていたのだが…。」


 周囲の状況が分からない今、レオンハルトは目の前にいる私に意識を集中する事にしたようだ。

 彼の視線からは困惑が消えていない。自分が聞いていた姿と今の私の姿が違っているからだろうな。

 やろうと思えば以前の、彼が聞き知った私の姿の幻を出す事も勿論できたが、どうせすぐに私の事は知られる事になるので、特に外見を変更しなかったのである。


 「さて、レオンハルト。こう大きな歓声に包まれては落ち着いて会話も出来ないだろう?落ち着いた場所に移動しない?」

 「有り難いが、可能なのか?」

 「気配を遮断させるのは得意なんだ。ついて来て。」

 「あ、ああ。分かった。」


 周囲の人々に気付かれずに、音も立てずに移動を始める私を見て、驚きを隠せないでいるようだ。

 それでも、レオンハルトはこの場で話をするよりはましだと考えたのだろう。足音を立てないよう、慎重な足取りで私の後をついてきた。


 人知れずレオンハルトを人のいない個室に連れていく事など造作も無い事だ。気配を遮断して移動してしまえばいいだけの事だからな。

 それに、今は周囲の人々はジョッシュ達に集中してしまっている。勿論、本物の私とオリヴィエもその場にいるので、良い目くらましになっているのだ。

 これに加えて眠りについている彼の幻も用意してやれば、レオンハルトが意識を回復させてこの場から移動しているなど、考えもつかないだろう。


 再びジョッシュの部屋を勝手に使わせてもらう事になるが、その点は事後承諾となる。後で謝っておこう。



 ジョッシュの部屋に入り、彼をソファーに腰かけさせる。

 さて、ここからは結構腹を割った話となる。のどを潤すためにも、紅茶でも用意しておくか。レオンハルトも紅茶は飲むだろうか?聞いてみよう。


 「とりあえず、何か飲む?紅茶なら入れられるよ?」

 「いただこう。」


 喉が渇いていたようだ。迷う事なく返事をしてくれた。では、スリメン茶の様な刺激物ではなく、ちゃんと誰でも気軽に飲める紅茶を淹れさせてもらうとしよう。勿論、茶葉は自前である。無断で部屋を使わせてもらっているうえに消耗品まで勝手に使うわけにはいかないからな。


 紅茶を淹れ、レオンハルトの元まで運んでいけば、彼は大分落ち着いたようだ。やはり静かな場所で一人になると言うのは、考え事をするのに適しているのだろうな。


 「お待たせ。一応、紅茶にうるさい人物からも及第点はもらえている味だよ。」

 「ああ。香りで分かる。そなたは、紅茶を淹れるのが上手いのだな。」

 「紅茶というものを私はかなり好きになってね。自分で美味いものを淹れられるようになりたいと思ったんだ。」

 「それで実際に出来るようになれれば、苦労はしないのだがな…。」


 レオンハルトの言う事も尤もだな。本を読み、熟練者の動きを見ただけでその動きを習得できてしまう私は、一般的な人間から見たらさぞ理不尽な事だろう。


 レオンハルトは武芸も政治もどちらも優れた才覚を表しているそうだが、与えられた才能だけで今の地位に就けたわけでは無い筈だ。

 彼が王太子であり、国民から信頼されているのは、幼少の頃から才能に驕らず、努力を怠らなかったのが理由だろう。


 レオンハルトがコップを手に取り、紅茶に口をつける。


 「そなたは気が利くのだな。出されてすぐに飲めるとは思わなかった。」

 「ネコ系統の因子を持つ獣人は熱いものが苦手な人が多いと本で読んだからね。」


 彼は獅子の因子を持つ獣人だ。熱いものが苦手だと思ったので少し冷ましてから用意したのだが、どうやらそれで正解だったようだ。

 目の前に良い香りをした紅茶があるのに飲む事が出来ないとなっては、気の毒に思えたからな。


 紅茶も飲んで気も一息ついたところで、レオンハルトが再び私の発する光沢について訊ねてきた。


 「それで、そなたの髪や鱗がそのような輝きを発するようになった理由は聞かせてもらえるのか?」

 「ああ、それに関してはあの場所にいる皆も知っている事だしね。後で皆に聞いてみると良いよ。」

 「あの歓声の理由はそれなのか…。」


 私から伝えても良いのだが、この場ははぐらかせてもらった。本当の事を言うわけにはいかないし、私の信条として、この口からあまり嘘の言葉を出したくないのだ。


 さて、そろそろこちらからも話を切り出させてもらうとしようか。


 「さて、レオンハルト。貴方を此処に連れてきたのは、貴方に落ち着いてもらう時間を与えるためだったわけだけど、私にとってはあくまでついでだったんだ。」

 「本来の目的は別にあると…?」


 察しが良くて助かる。此方の話を聞く姿勢を取っているようだし、このまま切り出させてもらうとしよう。


 「うん。一度、一対一で話がしたくてね。」

 「そなたが、私とか?」


 レオンハルトが右手を口元に当て、考え込む動作を取った。

 王侯貴族とあまり関わろうとしない私が、他ならぬ王族である自分と話がしたいと言う私の言葉に対して、困惑しているのだろう。


 「解せぬな。そなたが興味を抱くようなものが、私にあるとは思えないが?」

 「そうでも無いさ。それに、貴方は意識を失う際に私にとってとても興味深い事を口走っていたようだからね。」

 「私が…?」


 私の言葉に益々困惑してしまっているようだ。この様子だと、意識を失う直前、自分が何を言っていたのか覚えていないのかもしれないな。


 「レオンハルトは、意識を失う前の事はどのぐらいまで覚えてる?」

 「む?…ふむ…兵を率いて魔物をあらかた討伐し、逃げ遅れた民を庇った所までは鮮明に覚えているな…。」


 なるほど。となると、その際に鎧は破壊されてしまったが、その程度ではレオンハルトの命には別条が無かったと考えるべきか。

 となれば、いくら鎧に施された魔術の効果が失われていたとは言え、防具越しにそんな頑強な人間を死に追いやる爆発と言うのは、一体どれほどの威力だったのだろうな?当然衝撃も相当に強力だった筈だ。

 そんな強力な衝撃を受け、しかもそれが原因で瀕死の重傷を負ったとなれば、記憶が朧気になったとしても仕方が無いか。


 「その後は?」

 「むぅ…。庇った民が眩く光ったような…そこから、だな。そこから、私の記憶が朧気になっている…。何者か、おそらくは率いていた兵に担がれ、その後、尊き者に懺悔をしたような気がする…。」


 つまり、オリヴィエに言った言葉の内容までは覚えていないという事か。

 だが、許して欲しいと言う言葉を述べ、それを懺悔として捉えているのなら、彼にとって臆病である事は、罪悪感を覚える行為と受け止めていたようだ。


 「貴方が庇った民と言うのは、テロリストが装っていた姿でね。自爆をして、自分もろとも貴方を亡き者にしようとしていたみたいだよ。」

 「な、なんと…!?では、最初から私を庇わせて…?」

 「みたいだね。尤も、自爆したテロリストと思わしき人物は跡形も無くなってしまったようだけど。」

 「それだけの爆発を受けて、何故、私は無事だったのだ…。」


 助かった理由を、レオンハルトに正直に言ってしまって良いのだろうか?エリクシャーは非常に貴重な薬だ。王侯貴族が所持しているならばともかく、一般人がおいそれと持ち歩ける品ではない。

 オリヴィエがエリクシャーを使用したと彼が知れば、彼女の正体に気付いてしまうかもしれないな。


 …確認を取るか。


 〈え…っ?こ、この音は…。ノア様?どういたしました?〉

 〈ああ、レオンハルトにリビアがエリクシャーを使用した事を説明してしまってもいいかどうか、確認を取りたくてね。〉

 〈態々そんな事で…。別に問題無いと思っています。確かに、今は立場を伏せていますが、近い将来公表する事になりますし、その前に家族には説明する事になりますから。ですがノア様?なぜ今その事を?〉


 今、レオンハルトは教会の隅、人目に付きづらい場所に横たわっているように人々からは見えている。オリヴィエの目にも当然そのように映っている。

 私が態々一般人に移動させている幻を使用してそう認識させているのだ。


 つまり、オリヴィエからすれば私が彼女にエリクシャーの件を確認するのは、今でなくてもいい筈なのだ。

 このタイミングで確認を取ってきた事に、オリヴィエは疑問を抱いた。


 ならば、正直に説明させてもらおう。


 〈実は、レオンハルトは既に意識を回復させていてね。今は私の幻を使用してジョッシュの部屋で落ち着いてもらっているよ。〉

 〈お、お兄様がっ!?あ、あの、皆さんに伝えなくても良いのですか!?〉


 レオンハルトが意識を取り戻したと知って、オリヴィエの声に喜色が含まれた。恨まれていない事が、嫌われていない事が分かった以上、彼女が恐れる理由は何も無いのだ。素直に無事を喜んでいる。


 〈意識が朦朧とした中でこの場に運ばれてきたからね。目が覚めた時に周囲が歓声に包まれ自分が蚊帳の外だったら、困惑してしまうだろう?〉

 〈なるほど…。それは確かに。分かりました。それではノア様。お兄様への説明をお任せしても?〉

 〈うん。まぁ、私の寵愛については、この歓声を聞かせれば良いとして、何故自分が助かったのかを知りたい様だったからね。〉

 〈ああ、それで確認を取ってくれたのですね?気を遣っていただき、ありがとうございます。〉


 例には及ばないさ。それに、オリヴィエはエリクシャーの事を伝えてしまっていも構わないと言ってくれた。

 正直助かる。仮に伏せて欲しいと言われてしまったら、説明が不明瞭になり、不審に思われていたかもしれなかったからな。


 許可ももらった事だし、包み隠さずレオンハルトに彼が助かった理由を説明するとしよう。


 「エリクシャーだよ。私の連れが所持していてね。彼女は躊躇いも無く貴方に使用したようだよ?」

 「例の聖女と言われている少女が、か…。ふっ、そのような希少な薬を何のためらいも無く使用するとはな。」


 やはりエリクシャーを所持していた事に思うところがあるようだな。含みのある表情で笑っている。やや自嘲が含まれているのは、気のせいでは無いな。

 まさか、オリヴィエの正体に当たりを付けたか?


 「そのリビアなんだけどね。貴方が伝言を託していたんだよ。覚えてる?」

 「伝言?いや、覚えていない。何と言っていたのだ?」


 ふむ。となると、レオンハルトの懺悔と言うのは、臆病な自分という部分に関係があるのだろう。


 では、そろそろ聞かせてもらおうか。レオンハルトがオリヴィエをどのように思っているのかを。


 心配はいらない。彼はオリヴィエの事を恨んでいたり嫌っていたりしていたわけじゃないのだ。


 「[臆病な自分を許して欲しい]と言う言葉を自分の妹、つまりオリヴィエに伝えて欲しいと言っていたそうだよ?」

 「っ!?」


 レオンハルトの目が驚愕で見開かれる。オリヴィエに対する思いは、彼の中では心の奥底に留めておきたい感情だったのだろう。

 それを無意識の内にこぼしてしまったという事は、よほど自身の死を覚悟していたのだろうな。

 実際、エリクシャーを使用しなければ助からなかったのかもしれない。


 震えた声でレオンハルトが私に聞き返してきた。


 「じ、事実なのか…?私が…そのような事を…。」

 「事実だね。リビアから、嘘をついている気配は無かった。それで、だ。私は貴方に確認を取りたかったんだ。だからこそ、こうして一対一で話が出来る環境を用意させてもらった。」

 「…何を、聞きたいのだ?」

 「貴方も私がオリヴィエと仲が良いのは知っているだろう。そんな彼女に許しを請う理由が知りたい。率直に聞こう。貴方は、自分の妹、オリヴィエの事をどう思っているのかな?」


 レオンハルトを直視しながら訊ねる。彼は両手を組んで俯き、深いため息を吐いている。その姿からは諦めと、何故か安堵の感情が含まれている。


 どういう事なのだろうか?


 「…そなたには、隠し事など出来ないのだろうな。」

 「そうだね。私に嘘は通用しないと思ってもらおう。」

 「………。」


 少しの沈黙の後、ゆっくりとレオンハルトは自身の思いを吐露し始めた。


 「……私は…怯えていたのだ…。恐ろしかったのだ…。」


 恐ろしかった?それは、オリヴィエの事か?

 彼女はあんなにも可愛らしい女性だと言うのに、レオンハルトは彼女のどこに恐ろしさを感じたのだろうか?


「あれは8年前の事だ。まだ10才になったばかりの幼い少女が、瞬く間に他国の不正の証拠を集め、力ではなく、社会的に高位貴族の令息を抹殺してしまったのだ!たかが10才の娘がだぞっ!?」


 オリヴィエがレオンハルトから嫌われた原因だと思っていた事件の事だな。

 彼女は自分のせいで彼の婚約者の命を奪った事が避けられる理由だと思っていたようだが、違うのか?

 むしろ、彼は彼女の才覚に恐れを抱いているようだ。


 「あの時、私の目に映った、アークネイトとラディニカを見て、私は恐怖した。狂ったように取り乱したあの二人は、未来の私なのではないかと。」


 罰せられ、気が触れた婚約者の姿と、未来の自分を重ねたと言うのか?

 将来自分の悪事も見抜かれ、追い詰められ、罰せられると思ったのだろうか?


 「国を治める立場である以上、清濁併せ呑む事は免れない。不正も止む無しの場合も出て来るだろう。い、妹は潔癖な少女だ。私の不正を暴き、いつの日か私を裁く日が来るのではないかと…。」

 「そう思ったら、怖くなって声を掛ける事も出来なくなってた?」


 私の言葉にレオンハルトが反応した。恐れたという事は告白したが、声を掛けなくなったと言う事実は、今のところ口に出していないからだ。


 「な、何故それを…?」

 「あの娘、大分悲しんでいたよ?その事件があってから、貴方から口をきいてもらえなくなった。きっと自分は恨まれ、嫌われたんだって。」

 「ち、違うっ!!私は妹を嫌悪してはいないっ!まして、恨んでなどいるなどある筈もないっ!!ラディニカの件では、むしろ恩を感じているのだ!」


 なるほど。オリヴィエがアークネイトの不正を暴かなかった場合どうなっていたのか、彼にも理解できているようだ。だが、そういった感情は直接口に出して伝えなければ、伝わるものでは無いだろう。


 オリヴィエには家族との会話が必要だと思っていたが、それは彼女だけではなかったようだな。


 「貴方がオリヴィエに口を利かなくなった事で、あの娘は家族と接する事を避けるようになってしまったみたいだよ?自分の行動が原因で、貴方の様に口をきいてもらえなくなる事を恐れたんだ。」

 「わ、私の…私が原因で…?お、おおぉぉおお…。な、何という事だ…!私の、臆病さが、妹を、オリヴィエを、それほどまでに傷付けていたと言うのか…!うっ、うぅ…うぉおおおおっ!」


 嗚咽を漏らし、その場で人目もはばからずに涙を流している。レオンハルトからは強い自責の念と、自分自身に対する悔しさが現れている。


 レオンハルトが語っていたオリヴィエに対する感情に偽りはない。彼は彼なりに妹の事を大切に想っていたようだ。


 「ゆ…許せ…!私が…私が臆病で愚かであったばかりに…!」

 「その言葉は、本人に直接言うべきだね。貴方も、オリヴィエもちゃんと生きているのだから。」


 気持ちは内側に留めておいても伝わるものではない。しつこいかもしれないが、想いはしっかりと口に出さなければ、伝わらないのだ。

 大抵の人間には心を読む力など無いのだから。…まぁ、あったらあったでそれはそれで恐れられそうだが。


 謝罪の言葉をオリヴィエに直接伝えるように言えば、少し晴れやかな表情でレオンハルトは語る。


 「……そうだな…。不思議なものだ。その言葉、少し前にも誰かに聞かされたような気がする…。」

 「実際、聞かされているよ?リビアが貴方の伝言を聞いたら怒ってしまってね。本人に直接言えって言いながら、エリクシャーを振りかけたそうだよ?」

 「な、なんと…!?それは何と言ったらいいか…。ははは、後でその少女には謝罪をしておこう。これもまた、直接伝えねばな。」


 事実を伝えられたレオンハルトは気まずそうに苦笑いを浮かべている。


 これで一番の懸念だったレオンハルトとの問題はほぼ解決できたかな?


 ならば、後は街を復興しながらさっさと魔石製造機を完成させてしまおうか。

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