第671話 【フィルア王国】再び⑦

「起きろ」


 私の言葉と共にアカギは目を覚ます。


「くそっ...、この様子だと俺はミカなんかに負けちまったのか...」


 そう呟く彼に一応言っておきましょうか。


「ミカに勝てないのは当たり前だよ、元々あんたよりもミカの方が数段レベルが高いし実力もある、いくら【変異ヴァリエーション】を使った所で埋まらないはっきりとした差がそこにはあるの」


「だが、変身する前に俺はあいつを打ち負かしたぞ!」


「それはミカが冷静な判断をせずに戦ったからでしょ? あんななりふり構わない攻撃なんて避けれて当然だし当たらない、けどミカが一旦冷静になってからは全く逆の立ち位置になったのが答えよ」


「...」


 その言葉を聞いた彼は黙りこむ。


「さて...と、そんな話は置いといて今からは私の話しに答えてもらおうか、ちなみに逃げようとしても無駄だよ?」


 私はアカギの四肢に水流を流し込んで動きを封殺している。


 いつでも四肢を切断できるようにだ。


 仮に彼が【変異ヴァリエーション】を使おう物ならば、その時点で私は彼の四肢を削ぎ落とすつもりでいる。


「私の言葉には素直に答えて欲しい、少しでもおかしいと思えば地獄の苦しみを与えながら殺す、ちゃんと答えてくれれば苦しみ無く殺してあげる」


 その言葉に彼は笑う。


「どちらにせよ殺すんじゃねぇか...」


「そうよ、貴方達もよくやってた事でしょ? それくらいの覚悟があるからこそ他人からここまで奪ってきたんだよね? 自分が奪われる覚悟がある上で他人から奪ってたんだから今の現状も受け入れようか」


 私の脅しに彼は笑みをこぼす。


「良いぜなんでも答えてやる、どうせ死ぬんだ、好きな事を聞くと良い、最も俺がお前に必要な情報を持っているかは分からないがな」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る