第345話 光龍 スペル・シール②

「きゃぁぁぁぁ!!!」


 生まれて初めて【箒】が飛ばなくなってしまったと言う現実に私が慌てふためいていると...。


「【瞬影】」


 プラルが高速移動で私のそばに現れ、空中で上手いことキャッチしてくれました。


 そのまま地上に叩きつけられましたが、サラの【付与魔法】とプラルが肉壁となって衝撃を最大限に和らげてくれたおかげでほぼ無傷で地上に戻ることができました。


「大丈夫でしたか!? レイナさん!」


「いたた...、プラルさんありがとうございます」


 彼女が途中でキャッチしてくれなければ危なかっただろう。


 その事考えるだけで恐ろしいので私はお礼をしっかりと言っておきます。


 さて、気を取り直して何故私の魔法が一瞬発動を停止したのか考えてみましたが、恐らく光龍の瞳にカラクリがあるのでしょう。


 奴に睨まれている間は全く魔法が使えなくなった事から考える限り、奴は【呪文封殺】の瞳を持っているのだと思いました。


(あ〜...だから光龍【呪文封殺スペル・シール】って言うんですね...、名前のまんまで正直驚きました)


 しかし、悠長にそんなことを考えている場合ではないことも事実。


 魔法攻撃主体の私にとってはこれ以上ないくらい戦いにくい相手だと言うことが分かった事に違いはありません。


(どう攻めれば良いでしょうか? 私ではあいつの攻撃を【箒魔法】無しで躱し続けるのは無理ですし、かと言ってプラルさんに奴の攻撃を回避して貰うのは非常にリスクが高いと言えますね...)


 となるともう答えは決まっていますね!。


「よしっ! エリーゼさん作戦通り頑張ってくださいね!」


「はいっ?」


 にっこりと笑う私に対し、なぜか彼女の表情は雲行きが怪しくなっているのでした。

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