第459話 剣の腕前②

 私が刀の切先を彼に向けると彼も同じようにレイピアの先端を私に向けてくる。


 こうして対峙してみるとレイピアという武器の厄介さが見えてきた。


(切るのではなく突く為に作られた剣...、瞬時に判断できないと必殺の一撃が喉や心臓に突き刺さるか...、相手が鎧などを着ていてた場合防御の薄い関節部を狙う...、なるほど良くできた武器だ...)


 先程の戦いでレイピアの戦い方を見ていましたが、アポロの奴はその中で凄まじい技量を見せつけていたのです。


(アポロの突きの最大スピードは私が刀を振りかぶるよりも速い...と言うことは最初の一撃を急所以外の場所で受けてから体を叩っ斬るのが合理的だけど...、決闘だし他の方法の方がいいよね?)


 そうなると私が取れる手段は一つです。


(先に動いてレイピアの最大スピードを出されるより先にこちらの攻撃を当てる!)


 そう思って刀を構えながら奴に突進する!


 そうすると彼は一歩引いて間合いを測った!


(引いた? 罠か? だけどこれくらいしかレイピアの速度を防ぐ方法が思い浮かばないし、やるしかない!)


「はっ!」


 私が体を素早く動かして奴の体勢が整う前に攻め続ける!


 しかし、私の攻撃は細身のレイピアによって簡単に躱されていた。


(こいつやっぱり力の流し方が上手い...)


 遠くから見てただけでもその技量は分かっていましたが、こうして戦ってみるとその技量の高さに驚いてしまった。


 私が一瞬引いたその瞬間にレイピアの切先が私の首筋を捉え、勝負がついてしまったのは言うまでもないことだろう。

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