第460話 剣の腕前③

「はぁ...負けたわ」


 私が刀を下ろすと彼もレイピアを鞘に収める。


「ケロナさんも剣技に関してはそこまで上手ではないですね、それではほぼ振り回しているだけです、どうせなら旅の途中にでも僕と剣の特訓でもしてみますか?」


 この提案には喜んでおこう。


「...頼もうか」


 なんだかいい雰囲気になっていたがただボコボコにされたキィアは半分怒りながらこちらに寄ってきた。


「いやいやいや、ケロナちゃん! こんな怪しい奴に剣の鍛錬を頼んじゃダメだよ! ここは勇者である俺がちゃんとレクチャーしてあげるからさぁ...ってえ...?」


 皆が勇者キィアの事を無視して進み出す。


「あっ!? へっ!? ちょっと! 俺は勇者だよ!! もうちょっと【仲間になった!】風のテロップ出てもいいんじゃないの!?」


 後ろで何やら言っているが、私は別に彼をパーティに入れたつもりはない。


 言うなればただなんか着いてくるNPCだとさえ思っている。


 あっちが私に対して好意を持つのは勝手だけど、私が彼に好意を持つかは別だしね。


 そう思いながら新たな地域【ガライ】へと旅立つのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る