第476話 お爺様②

 ズズ...。


 暖かいお茶を啜りながら私達の方を見てくる【お爺様】の視線が気になる。


(一体誰を見ているの...?)


 最初は私に視線を移したかと思ったら次にレイナ、そしてエリーゼにプラルと見て行き最後にサラを見つめて意味深げな言葉を呟いた。


「ふむ...、が同時に現れたか...」


(光と闇? どういう意味?)


 私がその言葉に気になったので話しかけてみました。


「【お爺様】でいいのかしら? さっきの言葉はどういう意味?」


「んっ? 光と闇か?」


「そう、その部分」


 私の口出しにさっきの紅白少女が私に刃を向けてきた。


「お爺様に質問なさる時は敬意を持って接して下さい」


 素早い動きで私の喉元に短刀を突きつけながらそう呟く彼女の言動は氷のように冷たい。


 どこから刀なんて出したのかと思ったら、巫女様ご要達しの祓串がそのまま仕込み刀となっているでした。


(神社に刀って...、ここはやっぱりそういう所なのね...)


 一時だけでもこの地に神聖さを感じていた私が馬鹿でした。


 やっぱり神社とは言っても所詮は武装集団なのだという事がよくわかりました。


「...分かったからその刀を下ろしてくれないかな? えっと...」


「私はカトラと申します、そちらでお座りになっている方こそが我ら【ガライ教徒】を収める【お爺様】クラール様でございます」


 カトラは美しい黒髪をなびかせながら、私にそう注意をしてくるのでした。

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