第477話 お爺様③

「ふぉっふぉっふぉっ...、カトラよ、流石にやり過ぎじゃよ、お客様が萎縮しておるではないか」


「...そうでしょうか? むしろこの者の敵意が高まっている分、注意しておいた方が良いかと...」


 刀を収めながらも私に敵意を向けてくるカトラという巫女の存在は侮れない。


(こいつ...、かなりできる...!)


 私の首元にまで刀を持ってくるその動きに一切の無駄がなかった所を見る限り、彼女の力量はそれなりの物だと分かりました。


「次に変な敵意を見せれば斬る...」


「そりゃどうも...」


 私と彼女は互いに敵を見るような目で接し合う中、クラールが声を出した。


「2人とも、喧嘩は良くないぞ? 仲直りの握手でもして貰おうか」


「なんで私が...?」


「はい、分かりました」


 聞き分けの良い言動を見て彼女が私の苦手なタイプだと実感できました。


 スッと出してくる手には一切の謝罪の念もなく仲直りをする気も感じられません。


 なのに彼女はしようとしているのです。


 その行動見た私は彼女に言いました。


「貴女、私と仲直りする気なんてないでしょ?」


「だからどうした? 私の意思などどうでも良い、全てはお爺様のままに...」


 その言葉を聞いた瞬間に私は思わず顔を顰めました。


 私はこういう他人の意思で自分の行動を決める人間が大の苦手なのです。


 そんな彼女のに私はとある質問をしてみました。


「なに? じゃあ貴女はお爺様に命令されればその命も投げ出すと言うの?」


「...それがお爺様の命令とあらば」


(狂ってる...)


 私はそう思いながら彼女をまるで可哀想な人を見るような目で見ているのでした。

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