第703話 アポロとのお話②

「...気がついていたの?」


 私の言葉に彼は笑う。


「ああ、勿論さ」


(...まずいな)


 そう思った私はこの窮地を脱する為の策を考えましたが、即席で考えつくはずがありません。


 今確認できているだけでも、ライファーにラグネル、そして目の前のアポロと言う強敵がいるのですから、きっと逃げる事さえ出来ないでしょう。


 そしてもう一度【魅了】をかけられれば本当に残っている自我すらも消されてしまうかもしれません。


 そうなったらもう誰にも【大帝軍彼ら】を止められる者はいなくなってしまうでしょう。


 なのでここは慎重に言葉を返さなくてはなりません。


「...」


「黙り込むなよ、いつもの君らしくない」


「私をどうするつもり?」



 彼の言葉は意外その物でしたが、信じられる訳がありません。


「ふざけるなよ、アポロ、貴方は【大帝軍】の一員でしょう? 信じられる訳がない」


「信じられなくても結構、でも僕が本当に君を消すつもりなのならとうの昔に消されている事をお忘れなく...」


「うっ...」


 それを言われてしまうと弱い。


 確かに彼は何度も私を殺せるタイミングはあった。


 それなのにまだ殺されていないという現状には気持ち悪さしか感じられない。


 なので私は彼に聞いてみる事にした。


 彼の目的を...。

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