第704話 彼の目的

「ならばせめて教えて、


「僕の目的? そんなの出会った時から言っているじゃないか」


「...?」


 彼はせせら笑いながらこう呟きました。


「歴史上で起きた【次元大戦】の再来...、そしてその目撃者となること...、それが僕の目的だよ、最初から最後まで偽りなく...ね」


「本当にそれだけ...なの?」


 あまりにもしょうもない野望に私は呆気に取られてしまうのだが、彼は子供のように無邪気な笑顔で答えてくれる。


「君にはわからないのだろうけど、僕にとって新時代の目撃者になる事はとてつもなく大きな目的なんだよ、この世界の大きなうねりの中心の一つに今の僕は存在している...、こんなにも誉れ高い事は他にはないよ」


 その笑顔には邪念のかけらもない。


 本当に彼は歴史の証人となる為に【眷属】となり【大帝軍】の軍門にくだったのだろう。


「狂ってるわね、貴方」


「それはお互い様だろう? 【次元龍】様に致命的な一太刀を浴びせたパーツのお一人様...」


 その言葉に私は驚いていた。


「貴様...! 何故それを知っている!!」


 思わず声を荒げてしまった事でライファーが仲裁に入る。


「どうしたの? ケロナちゃん!?」


 彼女がくるとなると【魅了】されているフリをしないといけないので、この場で彼と話合う事はもう出来ないだろう。


「い...いえなんでもありません」


「...アポロ、今後もケロナちゃんと話がしたい時には私を通しなさい、いいわね?」


「はい、ライファー様」


 彼はそう呟くと、クスクスと笑いながら私の方を見つめているのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る