第451話 お姉ちゃん...

「ミルティ...お姉ちゃん...」


 そう呟きながら目を覚ますと...。


「ケロナお姉ちゃん!!」


 といきなりサラに抱きつかれました。


「サラ...?」


 よく見ると私の腕に包帯が巻かれている事に気がついて妹に礼を言いました。


「ありがとう、私の傷を癒していてくれたんだね」


「うん...、でもミルティお姉ちゃんって誰のこと?」


 妹の言葉に私はこう答えました。


「さぁ...? 夢の中での出来事だからね」


「? まあ良いや! ケロナお姉ちゃんの目が覚めたって皆に言ってくるね」


 私はボケ〜っとしながら窓から外を見てみました。


(あの夢...、多分夢ってだけじゃない、私の記憶の一部だ...)


 なんとなく【ミルティ】という名前には記憶がある。


 しかし、それにしても夢の中の私はまるで人間ではなかったので思わず自分のお尻の上辺りを触ってみました。


「...やっぱり私に尻尾なんてないよね」


 夢の中での私は尻尾を動かして水の中を泳いでいましたが、今の私には尻尾なんてありません。


(あの夢が本当にあった事だと仮定したとしても夢の内容を全部鵜呑みにするのはおかしい話よね...)


 私はそう思うと静かに笑みを浮かべる。


(そもそも夢で見た話を現実であった話だと思う事自体おかしな話よね...、どうかしてる)


「ははっ...」


 もしかしたら記憶の一部かもと思っていましたが、恐らくただの夢だと思う自分とそうではないと思う自分の討論はもうちょっと続きそうですね...。

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