第368話 玩具箱の家⑭
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど...」
私の言葉にメイアはニコリと笑う。
「お姉さんは私の淹れたお茶を飲んでくれたから質問しても良いよ」
「じゃあ聞かせてもらうんだけど...、貴女は【エルサ】の親戚か何かかしら? さっきの戦いでずっと彼女とにた魔力を放っていたから気になって...ね」
この問いにあっさりと答えてくれる。
「そうだよ、【死神エルサ】は私のお姉ちゃんでザナイン家の跡取り...、一方私は【玩具のメイア】...、ザナイン家の出来損ない...」
(ザナイン家? 出来損ない?)
自分の事を面汚しだと言ってのける幼い娘の姿には少し同情してしまいますが、今必要なのは全員で生きてここから出る事です。
「貴女がエルサの妹だと言うのなら、私達を襲うことをやめて欲しいと姉に言って頂戴...、そしてケロナを解放して欲しい」
「メイアがその条件を飲んだらお姉さん達は何をしてくれるの?」
私の答えを今か今かと待ち続ける彼女に言ってあげました。
「私が貴女の友達になってあげましょう」
その言葉に彼女の目がキラキラと輝く。
「本当!?」
まるで新しい玩具を買ってもらった子供のような純粋な瞳に思わず自分の目を疑う私。
(私達さっきまで殺し合っていた仲なのに、この程度の口約束でよくもまあそこまで喜べますね...)
私はそう思いながらも、どうにかしてこちらの口約束(守る気はない)を通そうとする私なのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます