第368話 玩具箱の家⑭

「ちょっと聞きたいことがあるんだけど...」


 私の言葉にメイアはニコリと笑う。


「お姉さんは私の淹れたお茶を飲んでくれたから質問しても良いよ」


「じゃあ聞かせてもらうんだけど...、貴女は【エルサ】の親戚か何かかしら? さっきの戦いでずっと彼女とにた魔力を放っていたから気になって...ね」


 この問いにあっさりと答えてくれる。


「そうだよ、【死神エルサ】は私のお姉ちゃんでザナイン家の跡取り...、一方私は【玩具のメイア】...、ザナイン家の出来損ない...」


(ザナイン家? 出来損ない?)


 自分の事を面汚しだと言ってのける幼い娘の姿には少し同情してしまいますが、今必要なのは全員で生きてここから出る事です。


「貴女がエルサの妹だと言うのなら、私達を襲うことをやめて欲しいと姉に言って頂戴...、そしてケロナを解放して欲しい」


「メイアがその条件を飲んだらお姉さん達は何をしてくれるの?」


 私の答えを今か今かと待ち続ける彼女に言ってあげました。


「私が貴女の友達になってあげましょう」


 その言葉に彼女の目がキラキラと輝く。


「本当!?」


 まるで新しい玩具を買ってもらった子供のような純粋な瞳に思わず自分の目を疑う私。


(私達さっきまで殺し合っていた仲なのに、この程度の口約束でよくもまあそこまで喜べますね...)


 私はそう思いながらも、どうにかしてこちらの口約束(守る気はない)を通そうとする私なのでした。

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