第369話 玩具箱の家⑮

 メイアは私の顔を見ながらこう呟きました。


「う〜ん...、お姉さんが友達になってくれるのは嬉しいんだけど...、やっぱりその2つの要求を飲むことはできないかな...」


「それはどうして?」


 少し突っ込んだ話をして彼女から情報を引き出そうとする私。


「どうしてって言われても...、私達姉妹はケロナお姉ちゃんの中にいる【次元龍リギリアル】に深い恨みがあるからね...、結果的に【次元龍】をケロナお姉ちゃんから引き出す術が無いと分かれば殺すしかないからかな...」


 彼女の口からとんでもない者の名前が飛び出てきたので思わず飛びつく私。


「【次元龍リギリアル】って...、あの伝説上の生き物の事ですか?」


「ええ、【白銀勇者の伝説】の一節にも出てくるでしょう? それこそ我ら【大帝軍】がこの地に召喚された理由が【次元龍リギリアル】の存在なのだから...ね」


【次元龍リギリアル】の名前を聞いたことくらいはありますが、所詮あれはお伽話に過ぎません。


【白銀勇者の伝説】をそれっぽく飾るために誰かの手によって足された嘘の話だと思っていました。


 大体【大帝】を召喚した物がいるですって? それこそあり得ません。


「貴女達が本当に【大帝の眷属】なのかも私からすれば怪しい所ですが...、その話の全てを信じていいんですか?」


「信じる信じないはお姉さんの自由だよね? でも私はちゃんと答えてるよ? しかもその話は最初の要求にはなかったよね?」


「そ...それは...」


 私の出した要求は2つです。


【ケロナの解放】と【私達を襲うな】。


 これ以上を求めるなら私からも何か差し出せと言う事でしょうか?。


 ...。


 しばらく沈黙が続き空気が悪くなる。


 少しでも情報を引き出したい私と早く私達と友達になりたい彼女との間で複雑な心理戦が繰り広げられているのでした。

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