　一応エリーゼさんにお任せはしましたけどやっぱり不安なので私は【木の家（ツリーハウス）】に残り彼女の動向を見ていました。

　彼女はりんごを手に取って見せてポニーさんにこう言いました。

「いいですかポニーさん！　これはりんごです！　り・ん・ご！」

「い..ん...こ？」

「り・ん・ご！」

「り..ん...こ」

「そうそう！　その調子ですよ！」

　エリーゼはポニーに何度も同じ言葉を復唱させました。

「まずはりんごと言えるようになりましょうか」

　意外にも普通に教えているので驚く私。

「エリーゼさん、意外と教えるの上手ですね」

「意外とはなんですか...、私だってずっと屋敷の中でお勉強してきたんですからこのくらい当然ですわよ」

　ふふんと得意げにそう話してくれたおかげで彼女が貴族出身だと言う事を思い出しました。

「そう言えばエリーゼさんってお嬢様でしたね」

「そう言えばって...、私は最初っから貴族の出ですわよ！」

「ごめんなさい、最近のエリーゼさんを見ていると冒険者業が板についてきているのでそう言う感じがなくなってきていると言いたかったんですよ」

「えっ！？　それは本当ですか！？」

　目を輝かせてそう呟く彼女に私は言いました。

「勿論ですよ、エリーゼさんはもう立派な冒険者ですからね」

　他人から冒険者だと思われるのが嬉しいのでしょう。

　彼女は両手を広げて飛び跳ねているのでした。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい