第521話 悲惨な現状②
「【
ケロナが苦しそうに喘ぐ度にサラは回復魔法をかけ続ける。
「...朝食ここに置いておくよ」
「うん、ありがとうレイナさん」
そう言いながらケロナの手を取って常に容体を見ながら火傷がひどい部分を瞬時に治していく彼女の手際は良い。
【
【毒】などの状態異常と違って【燃焼】状態を治すには自然回復しかないのだが、とてつもない量の閃光を浴びてしまったであろうケロナの体は凄まじいまでの【燃焼】を引き起こしていたのだ。
その結果、1夜明けても治らない程の【燃焼】状態が続いてサラは眠れなかったのである。
ずっとケロナの横で看病している弟子を見た私はこう声をかけました。
「サラ、ちょっと休んだらどうですか? 昨日から一睡もしてないじゃないですか、サラの回復魔法程ではないにせよ薬草だってありますし、多少の【燃焼】くらいなら私でも充分対処できますよ」
「...ううん、私なら大丈夫だから」
目の下の隈を作り愛想笑いを振りまく今の彼女を大丈夫だなどと思えない私は思わず...。
「...【
彼女に気づかれない用に気をつけながら【睡眠】の魔法をかけました。
「ごめんねサラ...」
私はそう呟きながら調理用の包丁を手に取りました。
そしてゆっくりとケロナに近づき彼女の容体を見てみます。
(全身に火傷負っていて【燃焼】まで引き起こしている...、きっと動けない...、今なら【次元龍】だけでも殺せる...!)
私はアポロとケロナの戦いぶりを見てから得体の知れない恐怖という感情を植え付けられました。
もしもまた2人が戦う事になればあれ以上の大惨事が起こるかもしれません。
もしそうなれば、仲間である私達もタダでは済まないでしょう。
「はぁ...はぁ...」
包丁を持った手が揺れ動く...。
(今なら...、今なら【次元龍】は殺せる...!)
私は今とある物を天秤にかけています。
友人の命か【次元龍】の討伐かを...。
私的にはケロナを殺す事には反対ですが、【次元龍】を放っておく事もあの人災を見た後では不可能なのです。
ゆっくりと包丁を構えて彼女の首元を狙う...!
(ケロナ...私は...!)
様々な彼女との思い出に浸りながらも私はその手を下へと振り下ろすのでした。
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