第256話 若頭との宴会②

「くは〜っ! 美味い!!!」


 私は食後の甘酒を飲み干してそう叫びました。


「おっ! 良い飲みっぷりだな! ケロナ!

 ほらもう一杯!」


 私の飲みっぷりを見たマサツグがそう呟くと私はついつい手が伸びてしまいます。


「ああ! ありがとう!」


 トクトクトク...と注がれる甘酒に歓喜の笑みを浮かべる私。


 ふと宴会の会場を見て軽く酔った勢いからか、こんな言葉を漏らしてしまいました。


「ここは本当に良いところね、ご飯もお酒も美味しいし、殆どの人が怖い見た目だけど心優しい...」


「ああ、俺の生まれた故郷で誇りに思うよ」


 カコンと木で作られた酒器をお互いにぶつけて音を鳴らすのも風情があって良い。


 そして2杯目を口にすると、強い甘さと喉の奥からむはぁ~っとこみ上げる本格的な甘さが口内に蔓延しました。


「やっぱり美味い!」


 皆が眠る時間になってもまだまだ宴会が終わる様子はなく、妹であるサラとまだ子供なエリーゼはうとうとし始めています。


「ケロナ姉ちゃん...、サラもう眠い...」


 眠たそうに目を擦る妹を見てそろそろ宿に戻ろうかと考えていると...。


「眠いのか嬢ちゃん、だったら今日はうちで泊まって行くといい、布団なら余ってるのが沢山あるしな」


 パンっと彼が手を叩くと、ヤ◯ザの兄ちゃんが現れて奥の部屋に連れていかれるサラとエリーゼ。


 側から見ているとまるで誘拐されているようにすら見えてしまいます。


 でもまあ、相手が彼の手下達なので何も問題ないでしょう!。


 私と彼は一日中酒を組み合ってお互いの考えや意見を言い合うという、最高に楽しいひとときを過ごすのでした。

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