第33話 賞金首
私達はディール達と一緒に昨日薬草を取りに行った森へと足を踏み入れた。
「...、昨日も来たのに今日はなんだか森の様子が不気味だね...」
サラが辺りを見渡しながらそう呟くと、ディールは笑って応える。
「怖かったら帰ってもいいんだぜ、おチビさん、まあそん時にはそっちの嬢ちゃんにも帰って貰うことになるがな」
彼のそんな態度に彼女は怒って指をさした。
「なんだと〜!! 別に怖くなんかないし!」
彼女の反応を見て笑い声をあげるのは勿論ディールだ。
「プハッ! 簡単な挑発にあっさり乗るなんてやっぱりガキだな! おもしれぇ!」
ゲラゲラと笑う彼の態度に腹が立ったのかサラの顔がどんどん険しくなる。
「むっか〜!! 私もう怒っちゃうからね!! 賞金首なんて速攻でボコしてやるんだから!!」
ふんふんつ杖を振り回しながら勢いつく彼女を見てニカリと笑うディール。
(やれやれ...、簡単に乗せられちゃうなんてやっぱりまだまだ子供ね...サラは)
そう思いつつも彼女の行動は可愛いので許そう。
そんな感じで談笑しながら森の中を進んでいると...。
「しっ!」
ディールの仲間である盗賊が私達に手を出した。
「静かにして...、今標的の居場所を探るから...」
彼女はゆっくりと地面に手を置いて何かを確かめている。
「足跡がまだ新しい...、きっとこの先にいるよ」
「なるほど...、よくやったサーシャ」
サーシャと呼ばれた女性は簡単に頷くとディールに先導を譲る。
「では作戦通りにな、俺が前で壁役をやるからおチビさんは遠距離から火球を放ってくれ、サーシャは隙を見て短剣投げを頼む、そして怪我をした者が出たらマーヤ頼むぞ」
マーヤと呼ばれた少女もコクリと頷く。
「でっ、私は何をすれば良いわけ?」
一応私の役割を聞いてみたのだが、返ってきた答えは「...石ころでも投げてる?」なのでした。
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