第746話 経緯と作戦

 サラは合間を空けてから今までの経緯を語ってくれた。


 細かい部分や今回の件とあまり関係性のない部分を省きながらの説明だったので非常にわかりやすい。


「...なるほど、【幻夢界】って所の存在をあの勇者の坊主が知っていて、そこを拠点にレベリングをしていたからこそ今のレイナ達でも【帝王】と渡り合えると」


「ええ、記憶とは言え【魔女アルフィ】が戦ってきた歴史も彼女達は知らず知らずのうちに体験しているからね、足手まといになる事はないよ」


【魔女アルフィ】の戦いの記憶となると、我との戦いの記憶もあると思う。


 そんな戦いを夢の中でとは言え経験していたのならば多少の擁護はできるだろう。


 強気な言葉を並べる彼女の表情が凄く自信に満ち溢れているのを見ていると、妙な不安が少しは薄らいだ。


「ほう...、ぬしにそこまで言わすならば問題はないのだな?」


「ええ、戦闘能力に関しては問題ない」


 我の一言にもそうやって言い返してくる辺り、ちゃんとした勝算があるのだろう。


 ある程度納得した我は次に彼女の作戦を聞いてみる。


「では作戦の方はどうする? 相手にするのは【大帝】と【帝王】達、一筋縄ではいかないぞ」


「それは分かっている、けれど決して戦えない相手でもないよね? 特に【次元龍】の力を得たケロナお姉ちゃんならば【大帝】を相手にしても引けは取らないと思うよ」


「分かっているではないか、1対1ならば互角の戦いをしてみせよう」


「うん、でも先に【帝王】達から片付けないと後で面倒な事になる、【帝王】を先に片付けるから貴方にも参加してもらうよ、その後で多対1を【大帝】に強いる、その状況になれば私たちが圧倒的有利に立てる」


「ふむ、【大帝】を複数人で叩くと言うわけだな? だがそんな上手くいくものなのか?」


「上手くいくかいかないかは実際にやってみないと分からないよ、でもやらなくちゃどのみち皆死んじゃうからね、やれるだけの事はやるつもりだよ」


 その言葉にじっと彼女の瞳を見つめてみる。


 真っ直ぐに我の表情を見てくる幼い瞳は力強く輝いていた。


「ふっ...、分かった、では作戦を述べよ」


「うん、じゃあまずは...」


 我は【魔女アルフィ】...もとい【サラ】の作戦をしっかりと聞き入れるのでした。

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