第747話 前準備

 サラの作戦を聞いた我達は彼女同行の元、とある部屋へとやってきていた。


「この部屋は?」


 そう呟くミカにサラは答える。


「ここが幻夢界への入り口となる部屋、今から貴方達3人にはその世界で経験を積んでもらうよ」


「今から修行なんかやって作戦までに間に合うの?」


 いちいち文句を垂れるゴーレム娘の言葉に彼女は「大丈夫」と答えた。


「幻夢界ではその名の通り時間の流れが夢のように虚ろなんだ、故に修行を1日してもあまり時間がかかっているようには感じないはずだよ」


「そうなの?」


 サラの事を怪しむミカに我が言っておく。


「サラの言葉なら信じられる、それに今のミカとミルシュじゃあ一緒に戦っても足手まといになりかねないから修行は必要だよ」


 そう、言うなればこれはミカとミルシュの前準備。


 今のままでは【帝王】相手に役不足だろうとサラの下した判断は間違いではない。


 そして扱う【夢】は勿論だ。


【幻夢界】であれば死んでしまう事がないらしく、好きなだけ修行ができるらしい。


 ただし、パーティ内の誰かが対峙した事のある敵限定という条件があるのだが...。


「なんでも良いや! ここで修行すればミルシュはもっと強くなれるんだよね!? だったら断る必要はないじゃん!」


 明るいミルシュの能天気な言葉のおかげでミカの緊張感がほぐれたようで助かった。


「じゃあいい? 2人とも、私もついて行くからちゃんと修行するよ」


 そう言いながらフカフカのベッドの上に転がる3人。


「じゃあ行くよ、ケロナお姉ちゃん」


 サラがそう呟くと我達の意識は徐々に虚ろになっていき、徐々に夢の世界へと侵入するのでした。

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