第325話 メイア②
「あっ! これとかメイアに似合うんじゃない?」
そう言いながら月の形の髪留めを指さしました。
「そうかな?」
最初こそ不安そうな顔をしていましたが、私が「絶対に似合うって!」と言いながら彼女の髪に留めてみると...。
「ほら似合ってる!」
と言いながら鏡をみせました。
しばらく鏡と睨めっこした後に彼女は「本当だ...」と小さく呟くのを見てごり押す私!
「そうだ! せっかくだから私がそれを買ってあげるよ!」
「本当にいいの?」
少し照れ臭そうにしている彼女でしたが、勿論髪留め一個でこの店から出られるなら安いと考えた私の策略である。
「勿論いいよ!」
〜少女会計中〜
「月の髪留め一個3000ゴールドです」
意外と高くて...泣いた!
店から出ると私は小声でついつい「髪留め一個に3000ゴールドってなに...?」と死んだ声を漏らしていました...が。
それとは対照的に喜んでいるメイア。
「ありがとう! お姉ちゃん! 絶対大切にするね!」
「喜んでくれたのならなによりだよ....」
(と言うかそれ3000ゴールドもしたんだから絶対大切にしてよ!)
と心の中で叫びました。
私は喜びの声をあげるメイアを眺めながら、少し軽くなった財布を片手に町の中をトボトボと歩きます。
(このことは絶対レイナに知られちゃいけないよな...)
こんな無駄遣いを銭の亡者であるレイナに聞かれたらきっと大変な事になるでしょう。
そう思いながらも彼女とのデートはまだ続くのでした。
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