第324話 メイア

「私が貴女と...?」


「うん! なんでもいいよ! メイアはお姉ちゃんと一緒に遊びたかったんだ!」


 ウキウキしながら紫髪の少女は私の方を見てくるのだが...。


(弱ったなぁ...、この子の身なりを見る限り何処かのお嬢様って所でしょう?)


 この和風の【カニン】大陸の服装にしてはおかしい彼女の服はゴスロリと言った感じであり、完全に風景から浮いている。


 しかもただのゴスロリならばまだいいのだが、首にぶら下げている宝石は高価な物だし、着ている物も上質な生地だと一瞬で分かった。


(正直言ってこう言う娘と関わるとロクな事がないんだよなぁ...)


 と思いつつも小さい子のお願い姿には負けてしまう私...。


「仕方ない! ちょっとだけだからね」


 私がそう答えを返すと彼女は凄く喜んでいました。


「やったぁ!! じゃあ早速あの店に行こう!」


 などと言って連れて行かれたのはゴスロリの店だった。


(なんで和風な町の中にこんな店があるんだ!)


 と心のなかでツッコミを入れつつも、彼女の趣味に付き合う。


「お姉ちゃんにはこれとか似合うかも!」


 そう言いながらゴスロリ服を出してくる彼女だったが...。


「悪いけど私はこう言う服には興味がないんだ」


 と言いました。


 すると彼女は頬を膨らませます。


「ぶ〜ぶ〜! ちょっとくらいいいじゃん!」


 そう言われても嫌な物は嫌なのでした。


(う〜ん弱ったなぁ...)


 そう思った瞬間に私は逃げの一手を取るのでした。

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