第323話 紫髪の少女

 私が声の方向を見てみると骨(?)ぽい悪趣味な人形を抱いている紫髪の少女が立っていました。


 とても小さくて可愛らしい幼女は私の横にちょこんと座るとこう続けてきます。


「ねぇ? 聞いてるの? お姉ちゃんは誰かを待っていたの?」


 そう呟いてくる彼女に私は答えました。


「違うよ、私は今仲間達が仕事に出てるからここで帰ってくるのを待ってるだけ」


 私の答えに少女は「ふ〜ん」と呟いては私の方をチラ見しているのが分かって少しイラつく私。


「なに? 私の顔になにかついてる?」


「ううん、なにもついていないけど、今のお姉ちゃんは独りぼっちなの?」


「貴女には私が1人ぼっちに見えるの?」


 何気なく聞いた一言に彼女は嬉々として答えました。


「うん! さっきまでのお姉ちゃんの表情はメイアと同じで寂しさを感じている独りぼっちの目だったよ!」


「私が1人ぼっちか...」


 最近まで皆と一緒に旅していただけに、いきなり1人になって少し寂しくなったのかもしれない。


 もしかしたら目の前にいる少女の言う通り、私は本当に寂しさを感じているのかもしれないな...。


 私が「はぁっ」とため息を吐くと彼女はこう言いました。


「ねえ? お姉ちゃん今暇なんだよね?」


「だったら何?」


「お姉ちゃんの仲間が戻ってくるまでの間だけでいいいからさ...、メイアと一緒に遊んでよ!」

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