第386話 サラの介護③

 サラに体を拭いて貰った後、私が眠ろうとしていると...。


「ケロナお姉ちゃん、今日も一緒に眠っても良い?」


 ちらちらと私の方を見つめて来る妹の姿は可愛いので一緒に寝る事にしました。


「いいよ、一緒に眠ろう」


「良いの!?」


 その言葉を聞いた瞬間に煌めく妹の瞳に見惚れる私。


「ああ、良いよ」


 私は笑顔を振りまきながら手招きをします。


「じゃあ...、お姉ちゃんの隣も〜らい!」


 そう言いながら布団に潜り込んで来る妹は本当に楽しそうだ。


 しばらく甘えていた妹ですが、ふとした瞬間に冷静な表情をしてこう言いました。


「ねぇ、ケロナお姉ちゃん」


「うん? 何?」


「エルサとメイアは姉妹なんだよね? なのになんでメイアはケロナお姉ちゃんを姉にしようとしていたのかな? 私には分からないよ...、他人のお姉ちゃんを自分のお姉ちゃんにしたいって感覚が...」


「サラ...」


 突然難しいことを呟く妹に対し、私はなんと返せば良いのでしょうか?。


 しばらく考えてから答えを出しました。


「メイアはきっと寂しかったんだよ、今もエルサと一緒には住んでいないみたいだし、きっとお姉ちゃんの温もりが恋しかったんじゃないかな?」


 そう答える私の回答に不満の声を漏らす妹。


「だからって...、他人のお姉ちゃんを自分のお姉ちゃんにして良い訳ないよね? 分からないよ...、私にはメイアの気持ちが分からない...」


「サラ...」


 これはエルサとメイアの問題だと言うのに何故妹がその事について考え込んでいるのだと気が付いた私はこう答えました。


「サラ、人にはね1人1人違った価値観が存在するんだよ...、サラにはサラの価値観があってメイアにはメイアの価値観があるってこと、今回の件はそれがやっちゃダメな事だったってだけ」


「サラにはサラの...メイアにはメイアの価値観...か」


 何やら難しく考えているサラの頭を私は優しく撫でてあげる。


「無理に理解しなくても良いよ、こう言う難しい事はちょっとずつ理解していけば良いから...」


「うん...」


 そう静かに答える妹を私はにっこりと微笑みながら抱きしめてあげるのでした。

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